こぐれ日録 KOGURE Diary 2005.4-5
立命館大を入れると、10コマですよというと、どうりで、顔がやつれています、と。
自分の顔をそういえばこの数日鏡で見たこともないことに気づく。まあ、ほとんど姿を見ていないのね。
断酒歴104日。
朝に会議。2時限目授業。昼休み、学生のブログ指導。
3限目、4限目は、2つの専門演習。
そのあと、演劇ビジネス研究会。次回は、5/30、同じく16時半。
プレゼンテーション(ビジネスパーソンの表現力、ビジネストップの危機管理対応・・・)に演劇ダンスの力はきっと活かされるだろうと確信に近い気持ちになる。
もちろん、就職活動ともいつか関係するに違いない。
終わってから明日の準備。
なかなかに、仕事師である。もうすぐ休みが来ることだけを希望の光にして。
缶入りの美しい鳩サブレを持ってきてくれた鳩好きに、鳩時計の店のカードをあげようと思って、どこかに見失った。鳩時計というのは、ドイツ産なのだそうだ。
4/26(火)
断酒暦105日。
手帳をみないでいると、大学の授業以外の約束をすべて忘れてしまいそうになって、こわい。今日は忘れずに、京都刑務所の庶務の人に会いに行く。京都刑務所の受刑者と職員さんのことがよく分かって収穫が多かった。リーフレットに収容者の罪名別割合というのがあって、それを見ると、覚せい剤取締法違反が4割を超えていて、すさまじいことになっていることを実感。ドラック依存症からの離脱プログラムなど、アーツプログラムの前に考えるべきことも多く、それよりも何よりも、収容者が多すぎることで大変なのである。
授業でネクタイを珍しくしていたのは、刑務所に行くので、無礼にならないためだった。帰りにかえるの木彫りとカスタネットを買う。豚のカスタネットは京都刑務所の作業グッズ。保育園に持っていこうと、林さんも買う。
突然の突風があったり、またからりと晴れたり。
午後の授業のあと、その授業の次を考えていく。皇室典範をちゃんとはじめて紐解く。親族法とかはあんまり興味がなかったことを思い出す。
4/27(水)
1時限目、基礎演習。前回よりもやってこない学生が少しだが増える(いままでとは随分違う)。少しずつ、しんどくなってきたかな。それでも「文化」がつく複合語を40ほどあげてもらってから、「文化とは」の自分的定義づくりに没頭。生活様式、ライフスタイル論みたいな身近なところから始まって、文化とは、「世界をどう見るか」、「世界がどう見えるのか」に関する社会的規範である、というように、かなり高度な定義にも突入。この調子で行ってくれれば、嬉しい限り。
こういう授業をするというのが、5年目にして初めてだからかも知れないが、なんだか実に面白い。できるだけ、何でも受け入れていきながら、知のタピストリーを紡いでいく感じになればいいなあと思いながら。
午前中の会議のあとに、紙芝居セットを教務課からとってきて、さっそく一つ上演してみる。観客はひとりだったが。なかなかに面白い。舞台があるのと無いのとは確かに「ぬき」一つとっても全然違う。どれぐらい、声を使い分けるといいのか、そのあたりが工夫のしどころ。はたよしこさんの絵がある「食育」紙芝居も手に入れる。観客になってもらった院生に今度はやってもらう。うーん。この繰り返しだけで考えることが山ほどあるわい。すべて鑑賞演習は紙芝居でもいい気がするなあ。
15時から、大学内で大学の劇団、洗濯氣の新歓公演があり見る。丁寧に作っている。ナンセンスコメディ、「くすっ」という感じのもの。文化政策学部の学生が入ったらいいなあと思って見ている。就職活動ネタはもっと深めていける気がする。いちばん悲喜こもごもなのだから、先輩に取材すればいいし、身近なストーリー採集に期待したいなあ。
断酒暦中断。18時から、この前行ったアンリで1回生ゼミの懇談会。ビールを少々。帰りに、悪い癖で、また1ぱい。戻ると、地震対策でずいぶん部屋が模様替えされていた。はなのおかげである。
4/28(木)
断酒暦106日。
授業のあと、近江八幡NO-MAの自主企画展『縫う人』の始まりに行き、そのあと、京都芸術センターでアフリカンダンスがあったのだが、間に合わないので、早く帰宅する。微酒すると、どっと眠くなる。ひと時まどろんで起きると、諦めていた野球が思いがけない展開になっていてびっくり(中日―阪神戦)。
今日で、忙しかった4月のお仕事の最後である。行きしなに、今度1回生ゼミでする「文化政策ききとり調査」について思いつき、始まる前に、速攻でブログ(http://kogurearts.exblog.jp/1626329/)に書き込む。
立命館大学産業社会学部アートマネジメント論。遠藤先生からTAをつけるように言われたと事務職員さん。どうしてと聞くと、今年は受講者が470名ほどに上るのだそうだ。400名以上にはTAというルールがあるそうで、でも、まあ、いいです、中間テストのとき、名簿順に答案を事務局で並べていただければ、と答えておく。実際の受講数は300名前後だろうと推測する。
はじめの学生からの紹介も活発で、劇団とっても便利に出ている院生からも紹介がある。アーツマネージャーの心得10か条で終わる。進度は遅いようにも思えるが、丁寧に話せた気もする。
JR二条駅で待っていると確かに運転手がいて、そばにベテランが付き添っている。当分、JRに乗るとき、ちょっといやなことを頭に掠めることになるだろう。近江八幡からバスで大杉町下車。ゆっくりと回りを見ながらNO-MAへと歩く。今日見たテーマは、屋根や壁の草と、牛乳瓶いれ。これは、NO-MAのアンケート入れに牛乳瓶入れ(木製のもの)が使われていて、このまちの一つのシンボルかも知れないとも思う。NO-MAの隣が牛乳屋さんだし、駅から歩いていくと牧場があったし。地産地消が少しだけ残されているのだろうね。
今日から、6/12まで。『縫う人〜針仕事の豊かな時間』。ボーダレス・アートギャラリーNO-MA春の企画展である。「春の」と書けたのは「秋の企画展」のめどがたったからだ。二つのワークショップに行きますね、とはやよしこさんにいうと、5/15の伊藤存さんのワークショップはすぐにいっぱいになったそうだ。だから、実際にワークショップ参加の学生は、5/28にどうぞということである。ぼくは、見学なのでどちらも行こうと思っている。
入ってすぐは、萩野トヨ。あざみ寮の彼女は刺繍を50歳から始めたという。藍染ゆえに紺色中心の優しい同系色の色合いに、またまた優しい丸っこい模様やお魚である。階段の上ったところにもあって、室内装飾的な藍染刺繍としての実用性・工芸性も伴っているように思われる。室内から表を見ていると、本当にときたま、自転車が通り過ぎ、子どもたちがすーっと姿を見せては、消えて行く。学校からの帰り道なのだ。そのあと、ずっと誰も通らない。
奥に山本純子のアップリケ。大きなものは壁に展示されているが、小さなものは、丁寧に聞き取られたタイトルとともに、机に置かれ、手にとって見ることが出来る。フェルトの厚みとふわふわした感じ。意外なタイトルとの出会い。日常の台所にあるもの中心の世界なのに、なかなかにその全体は理解できない。この世には、簡単に分かる一つの世界というものは存在しないということが、自然に気づかされる。
伊藤存の「ぞんざい」な刺繍。これなら、ぼくでもできそうに思えるところが罠かも知れない。イメージが収斂しないまどろっこしさに、しばし呆然と出来るような布である。本になって触れるものには、かわいい具象なども入っていて、その対比もまた展示の妙であり、山本純子についての展示とパラレル(対)でもある。
坂元育代(菖蒲学園)と、上前智祐(具体出身)の関係は、より渾然一体となった展示である。内面に入り込んだような坂元の刺繍には、かわいらしさや優しさとは違うきりりとした重厚さと諦観があるように思える。上前作品も「具体」協会のイメージとはほど遠く、より求心的、求道的な静謐感に溢れている。
スリッパを履いて、奥の蔵に入る。中央アジアの伝統刺繍「スザニ」が天井から吊るされている。シンプルな展示で、向かいは上前智祐だったか。おっと記憶があいまいになっている。2階は、野間口桂介の過剰に刺繍を縫い付けて、シャツの機能を阻害してしまったオブジェの展示である。まあ、そんな野暮な機能云々は、彼にとってもぼくらにとっても、もうどうでもいいのかも知れない。
こちらも、2階の縁側で何の意味も目的もない刺繍の続きをやってみる。のどかなひと時。帰ろうとすると、かわいい赤ちゃんが来る。伊藤存−青木綾子の子どもさんであって、赤ちゃんは存さんの刺繍つき涎掛けをしている。
17時からは、ちかくの酒遊館でオープニングパーティがあるのだが、それはパスさせていただいて、トキハ館などを写して、のんびりとまたバスを待つ。ここのバスは、夕方などは生徒がいっぱい乗るのでいいのだが、21時にはもう終バスとなるのである。
4/29(金)
断酒暦107日。
目がかゆい。昨日、はたさんからおめでとうございますって言われちゃったなあ。
新聞で「春の叙勲」の記事を見たからもあり、ココルームに行くまで、叙勲などの栄典制度について調べていた。すると、1億円以上の高額所得の年金受給者に対して、栄典を与えることによって、年金を辞退してもらう案とか面白いことを書いている人がいたりする。
皇室典範もそうだが(皇室典範における天皇・皇族の人権制限ということだけ考えてもいい憲法問題にはなるのだが、なかでも「退位の自由」問題はクルーシャルなものだ)、どうしても、敬遠しがちで、本当はそうではないのだが、いささかアナクロリスティックに感じてしまっていて(県の地方課長のとき、市町村長・議員などの叙勲申請についてクールで熱心でなかったことを思い出す〜これも懐柔策として使うのが官僚的技法なのだとは知りつつ)、最近の栄典制度の改正とか(等級を隠し、自己推薦的なものも一部導入された模様)調べていないことが天皇制についてはいっぱいある。
18時過ぎから21時過ぎまで、ココルームにいる。いつも閉店するといって人を集めている文房具屋で無地のノートを10冊(450円)買ったあと、PPPPCBN世界と新世界博、READING THE BIG ISSUE『スリランカからの手紙』に参加する。前回は60名以上いたが、今回は少なくて寂しい。授業でずいぶん撒いたが、みんなGMに入ってしまったから、高校時代の友達とかと会って話しているのだろう。
前回「桃太郎」を演じ喝采を得たかまなびごえんは、今回は紙芝居「おむすびころりん」。70歳以上のおじいさんだけの劇団自体が珍しいし、大きな烏が仕掛けつきで舞台をカーカー横切ったり、ねずみのお餅つきで、杵にお餅が搗き延びたり(トイレットペーパーが活躍)、ディテールに目覚しい味が出ている。全体的には、ミュージカル仕立ての紙芝居になっていて、練習をもっと積めば、終わり方のシュールさもあいまって独自の演目になると思われる。
おむすびが話したり、転がり渡ったり、サングラスのねずみと悪いおじいさんが変身する猫との壮絶な闘いなど、話の筋を逸脱する契機があり、どんどん、転がって脱線するのが、このお話自体に内包されていることが分かる。つまり、おじいさんはもちろん、おむすび自体がどこにいくか分からないと叫ぶところがキーとなるのである。
津波の被害を救済するNGOの人からの手紙を詩にして朗読する上田假奈代。かつての反戦運動などでは、「詩」が結晶化した作品というのではなく、ある文化と自立と政治をめぐる運動の媒介として表現発表されていく過程として活躍した時代のことなどを思って聴いていたりもする。その表現がリアルであるだけでなく、アクチュアリティを獲得するためには何がいるのか、そのメカニズムについて考えをめぐらす。そのあと、フィリピンなどにおける「雇用開発」者の発表や、ウヲン・ジグスーによる童話の朗読もあった。
かまなびごえんで買ったTシャツ(五円玉の飾り紐も)。帰って、いつもTシャツ買ってくるのはいいけれど、入れるとこ、もうないようって言われる。衣替えの季節、収納を考えなくちゃ。
4/30(土)
断酒暦108日。
花粉症認知元日。
悔しいけれど、花粉症になっていたのだろう。もう、それは明白で、マンションを出たとたん、くしゃみにせきに目のかゆみ。だいたい、もう先輩たちは終わっているはずなのに、ぼくは双葉マークの花粉症患者で、認知したのは今日なので、まだ、初々しく花粉症を楽しんでいる。
ということで、昨日も行きたかったP-ブロッのみんぱく公演に行かず、今日も、神戸の人数制限までしたというかえっこ藤浩志さん会場にも行かなかった。dBでダンス公演も行かず。帰ると、中日は逆転されて負けているし、まあ、こういう日もある。
かわりに、病気中なので近場だが、行ったことのない京都リサーチパークに行く。京都経済新聞は引越ししたらしいけれど。
大阪ガスの奥で、お会いしたかった建築探偵たぬきさん(円満字洋介氏、修復建築士)が、亀の道路上のマークを映し出していた。ずっと、亀とウサギ(近江八幡は瓦によるウサギの宝庫らしい)を交互に写す。住吉神社系はウサギが神の使いなので、まるまるとしたウサギとかがいっぱいで、八幡系は鳩が神の使いなのだそうだ。
それ以外の、カニとか蛇、それに、かわった狛犬など。とても面白かった。冷房対策のために上着を持っていて正解。終わってから、長岡京は、男山を目印にして作られた話とか、いつも芳江が行く生協の近くの市民の森(樟葉宮跡)は、鳥の宝庫で、鏡池では、鷹狩りのあと、その獲物を池に映して奉納するのだというような、じつに興味深く、身近な情報をもらう。そういえば、残虐な武烈天皇のあと子孫が途切れて、ようやく見つけた26代天皇(越前・近江の勢力が政変を起こしたあと、どんなことがあっても天皇制は「万世一系」であるからして、応神天皇の5世の孫ということになるわけだが)、継体天皇がここ樟葉宮で即位したのだった。建築探偵さんに、大和になかなか入れなかった福井県三国出身の天皇のことまで、思い出させてもらえた日になった。
そのあと、円満字さんらがこしらえた、大丸のソフトクリーム屋さんに行き、北海道のミルクで作られた健康なソフトクリームを食べ、ケーキ類を買って家に帰る。
5/1(日)
メーデーに出かけたのは、4回目か5回目。はじめての雨降り。行進が最後近くだったので、ずっと待たされて、その分、いつもより、がんこ寿司を多く食べた気がする。
デモをしているときは、大学教職員の方が多かったように思ったのだが、交流会では、圧倒的に高校の教職員(ほとんど教員)さんの方が多かった。5年目の大学の様子を話し、少しでも、高校に状況が伝わることが大切なので、ずいぶんとお話しをし、結構、今回の改革には好意を示してもらえた気がする。
円満字さんつながりで、デモ渋滞に巻き込まれた人がいたことがわかり、憲法改悪反対とかのマイク音も、うるさく思われたのかなあとも思いつつ、JR事故のこともあるからだが、長時間過密労働に反対するときは、ずいぶんと声を出したなあと思い出す。
昼にビールを結構飲んだので、断酒暦中断。糸井さんのブログに載っていた『プレジデント』5月号を購入。MARCHが明治、青山、立教、中央、法政の略だということを知る。上智はどうなっているのだろう。多摩大学や武蔵野大学(女子大学から共学)について、好意的に書かれていた。
ある都市の教育振興公社に卒業生が1ヶ月遅れだが就職したとのこと。彼女ら仲のよい3人とも、文化施設に就職できたことになる。素直に喜びつつ、これから、この実績に負けないようになるのかどうか、不安がよぎる。というか、ぼくのゼミでそういう就職を希望する学生が3人もいるとは思えないので、また、違う展開の促進(結局、ちょっと声をかける以外できることといえば、心で祈るぐらいしかないのではあるが)を図らねばならないだろうな。
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