こぐれ日録 KOGURE Diary 2008.4


こぐれ日録586 2008年 4/21〜4/27

4/21(月)

大江正章『地域の力―食・農・まちづくり』岩波新書、2008.2。
この数日、かばんのなかにこの本はあったのだが、今日の朝の食卓でも、芳江に、徳島県の上勝町のおばあさんたちがどうして元気か、というこの本の受け売りの話をしたりして、とても、面白く、読むだけで、気持ちよくなった新書だった。

大江さんの先生が「いまは亡き我が師・玉野井芳郎先生」とあって、地域主義の流れ(東大の教養学部まで行って玉野井先生の講義は数回ぐらい聞いたし、本郷で宇井先生や中西準子さんの反大学論・反公害論という非公式授業はけっこう出ていた:また大昔の回顧話)がこうして、続いていることを確認しつつ、近代化の彼の定義をかみ締める。「いうまでもなく近代化とは、共の領域を狭め、公(国家・政府)と私(市場)に引き裂く過程であった」(「はじめに」カ)。

第1章「開かれた地域自給のねっとわーく」は、島根県雲南氏木次(きすき)町の木次乳業、風土プラン、食の杜などの話。地元産の大豆や小麦というよりまえに、まず、100%国産からはじめる、それでいいのだろうと私も思う。「非血縁・半地縁・地域共同体」。

第2章「商店街は誰のものか」は、相生市と四日市市と足立区が取り上げられている。「商店街はまちに根を張っている植物で、大型店やチェーン店は獲物を求めて生きる動物」(足立区東和銀座商店街田中武夫理事長)。

第3章「これがほんまの福祉です」は、徳島県上勝町の「いろどり事業」。横石知二さんがどん底から料亭に「つまもの」の青もみじなどを販売していく物語で、これが一番インパクトがあった。
「参加農家は201軒で、町内農家の約半分。主力メンバーはそのうち60軒程度、平均年齢は70歳だ。商品アイテムは299にものぼる。要するに、身近な庭や畑や山が商品棚というわけだ。かつては落ち葉掃きで邪魔者扱いされていた庭のもみじや柿の木は、収入を生み出す宝の木に変わった。そして、おばあちゃんは子どものころから山に親しみ、風の通り道や日の当たり方を熟知しているから、どの斜面に何を植えたらよいかがわかる。」p55-6

そのあと、今治市の学校給食(地産地消、センター給食から学校ごとの給食室へと変えた力はすごい!)、北海道標津町のクリーン農業・有機農業、高知県梼原町の森林認証(国産材による木造家屋は本当になんとか進めたいといけない)、富山市・高岡市のLRT(路面電車)、そして、市民皆農(練馬区と横浜市)と続く。
読んでいて、コミュニティビジネスというなかなか成立がむずかしいが、一番理念とかお題目だけではない「まちづくり」がいまの焦点だと思ったり、「現代ビジネス」の最も最先端が、食とと農とまち(つかい)であると、そう思ったりもした。

13時から、Oゼミの代打。陶器まつり(7/25.26.27)への参加は、みんななかなかに熱心そうでほっとする。
14時40分から、うちの4回生のゼミ。Kさんがアーツマネジメント(舞台制作)とユニバーサルデザインの関係を発表してくれて、一つの発表をもとに、色々な質問や意見やアイディアが生まれて、なかなかに面白いゼミになった。来週もそうなるといいな・・・ゼミは、確かに発表者しだいということがあるね。

昨日、阪急電車の携帯電話の電源オフ車両に乗っていて、しかもシルバーシートになっているところに座っていた数名の若者がみんなケータイメールをずっと打っているシーンに遭遇したことを、雑談のとき思い出してしまったりもした。

以上を書いていたら、スカイプが鳴る。スカイプを自宅のパソコンからはずしてしまっていたので、たまたま、大学でよかった。リスボンのはな。映像もあって、確かに便利だね。
ちょうど、朝の10時ごろだという。これからはじめて一人でカフェなどに行こうとしていた。
ライブは5月に入ってから、2つ。その前に映像を作るらしい。ポルトガルという異国ではなが何を感じるのか、対照的な姉妹だけに、また、次女と違ったものを得るのかも・・


4/22(火)

9時から、自分探しの旅。前回は12名だが、17名に増えている。
でも、少ない授業というのは、書いている姿が一人一人見えるので、やりやすい。
語源の話。辞書を実際に持ち込んで、こういう風に辞書を使うとインターネット検索だけよりも面白いのだ、ということが伝わるといいなと思って、もっていく。

学生の感想のなかで、すでに、一冊本を読んだとか、ボランティアを続けているとか、それぞれの反応がある。
「恋愛も勉強も分かってしまったら、つまらない、が響きました。」
「自分だけが自分を形づけるのではないとうこと・・・自分を探すことのむずかしさを再確認しました。」
「自分探しの旅⇒自分で探す旅ってゆうのがすごい納得できた。」

12時半からB104教室へ。2回生ゼミ。
椅子をワークしやすいように並べ替える。
うまくメールが届かなかったみたいだが、それでも時間とともに集まり、気づくと、今日も全員集合。今日は、29日に間に合わすため、
かえっこバザールin山科のチラシづくりと、1階展示室にさせてもらうことになったかえっこバザールの遊び方の説明ボードづくり。

やっぱり、あっという間に時間がすぎたみたいで、その続きは空き時間などでやることに。
終わってから、清風館2階の文化政策センターのTさんにお願いして、奥まったところに、つくりかけの紙やマジックペンを置かせてもらう。

16:20からは、キャリア開発講座。
13名。新聞記事を使ったり、教科書に少しだけはいったり。
国家=国政府+自治体政府
官(ガヴァンメント)+NPO=公(パブリック)
NPO+私=民(間)


4/23(水)

朝、学生たちにチラシは任せているのだけど、大人の世界の仁義みたいなことはしなくちゃいけないと思い立ち、いろいろなところにメールなどをする。以下:そのメール内容:

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『第1回かえっこバザールinやましな』の開催について

「いらなくなったおもちゃを使って地域に様々な活動を作り出すシステム」である「かえっこバザール」をはじめて(たぶん)、京都市山科区で行います。子どもも、子どもの心をもった大人も、いらなくなったおもちゃを持って集まりましょう。
かえっこバザール(http://www.geco.jp/kaekko/)は、藤浩志さん考案の美術企画であるとともに、教育・環境・まちづくりなどを含む多角的な企画で、独自の子ども通貨「カエルポイント」を使用し、おもちゃのリサイクルはもちろん、子ども達の様々な自主的な活動を生み出すワークショップです。
京都橘大学の学生たちが企画する5/11の第1回(試行のようなもので、6/8にはよりバージョンアップする予定)でも少し子どもたちに体験や仕事をしてもらおうと工夫中です。

日時:2008年5月11日(日)  11:00〜15:00  
場所:山科青少年活動センタースポーツ室    Tel:075-593-4911   
   (2階。なお1階にかえっこバザールの説明展示を5/1より随時)
    
参加費無料:いらないおもちゃを持ってきてください。ほしいおもちゃとカエルポイントで交換できます。ただし、おもちゃがなくても、バンクマンになったり体験コーナーでワークするとカエルポイントがゲットできます。見学だけでもオーケーです。

主催:京都橘大学文化政策学科2回生小暮ゼミ(http://artsma.exblog.jp/)
問合せ:koguren2008zemi@yahoo.co.jp
協力:山科青少年活動センター、JAF京都支部、TAM研(たちばなアーツマネジメント研究会)

なお、「第2回かえっこバザールinやましな」は、6月8日(日)、東部文化会館において、「第4回子どもの文化フォーラム」の一環として行います。11:00〜16:30の予定。
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2限目のアーツマネジメント総論の出席者は57名。こちらは、目はかゆいし、はなみずは出る状態だったが、みんなけっこう熱心に聴いてくれていたようだ。よかったよかった。

あと、お昼休みに学科会議、13時から教務委員会。そして、14:50から学部教授会に大学院学科会議。いま、そうそう、かえっこ必須アイテムが着払いで来ていたことを思い出す。いかなくちゃ、総務課へ。

夜、ゲンビ学部の歓迎会。
飲みすぎる。


4/24(木)

雨強し。帰りはやむが、寒い。その分、花粉はあばれない。
近大の授業、13名。
アーツマネジメントの定義のはじまり。映像がないので、少ししんどいという。

非常勤講師室で、関西広域機構のお二人に会う。
関西広域機構文化・観光事業本部文化振興部文化振興策研究会『関西広域における文化振興のありかたを考える〜関西の文化風土を育むために〜』がこの3月に出来て、そのあと、専門家チーム(仮称)のようなものを作ろうというご相談だった。

関連で、『100 DOORS』ワークショップ・コーディネーターエントリーシートというのを見せていただいた。場所は、大阪市立芸術創造館が中心となるが芝川ビルや中央公会堂でも行われる(8/1〜8/10)。4/30が締め切りだという。みんな参加料500円のワンコイン。
1ワークショップにつき12000円がワークショップ準備費として、受講者が定員の1/3以上集まった場合、受講分担金が発生するという。どんなワークショップが集まるのか、興味がつきないが、この情報は行き渡っているのだろうか。

竜と虎の決着しないあれこれ今年の竜は心配だなあという思いがつのる試合をみながら、昨日の京都橘大学での講義の質問や感想を以下のように入力:
・・・・
アーツマ総論4/23の出席カードより

【質問】
・テストの持ち込みは出来ますか。→手書きノートと配布プリント、『アーツマネジメントみち』
・国や県など政府の支援なしに、芸術の経営が成り立つことは可能ですか。
・NPOというのは、非営利ですか。
・PAって何ですか。
・アーツプレースとアーツカンパニーをつなげるアーツサービス組織がよくわかりませんでした。
・京都で磔磔が一番古いと思っていたけれど、拾得の方が古いのですね。
・ピッコロ劇団は日本では特殊なものなのですか?宝塚歌劇団や劇団四季とはどうちがうのですか。

【感想】
・アーツというのは、自治体の予算削減の対象になりやすことがわかった。芸術を多くの人に伝えたりする場所を維持するためにはもっとたくさんの人に芸術を知ってもらわなければならない。
・アーツを劇場やホールで公演するにも、アーツプレースの環境づくりや、アーツカンパニーの協力を必要として動いていると知りました。人々によりよくアーツを提供するには、多額のお金がかかるし、企画を行うのにおいても、多くの時間を必要とするのだなと思いました。私たちがふと劇場やホールに入り、芸術品などを見学するにも、裏で大きな働きがなされているんだなと思いました。
・アーツサービス組織が今後必要なのかという問いに対して、私は必要だと思う。例えばA君とB君がケンカをしたとき、C君が間に立つことでケンカがおさまるように、間にサービス組織がいることでトラブルの回避に繋がると思うから。
・ ・・・


4/25(金)

花粉症のため、みじかく。
午前中大学へ。かえっこワークを学生にしてもらうため。

午後、守山へ。今日は二人でバス。
空想力学的さんぽ図鑑。ホスピタルサーカス。滋賀県立小児保健医療センター・みどりの広場。
終わってから、子どもたちがワーワー出てきた巨大いもむし風船とか、ホスピタルマンの空気袋つぶしとか、一番ステキだった水が入った透明手袋さわりとかしていたが、これが、この活動の素晴らしさを証明していた。そのあと、すばやい撤収わざも尋常ではなかったな。

山科でスパゲッティ。長い名前。
三条河原町近辺は学生であふれていて、逃げ出したくなる。
でも、一度は行きたかったアバンギルド(UrBANGUILD)。天井が高くていい感じ。ワンドリンクとして、キリンのかなり美味しい生ビールもそれで飲めて1500円(ikoさんに予約してもらっていたからだけど)は安い。

久しぶりに夏目美和子さんのきれいな踊りと、うわさの長谷川健一さんを聞く。
でも、長谷川さんは、はなと一緒にネガポジでライブをしていて、私はそのとき、いたということ。へえ。
右手が動かなくなったとても感じのいい看護師さんとも話した。みんな、しんどいことが多いのだなあ、いまどきのまじめな若い人たち・・・


4/26(土)

今朝は、一度行きたいと思っていた、がけ書房。がけ書房という名前からすごそうなお店で、何やら朝に何かの出来事があると、ミクシーで連絡があったので、その何かは忘れたが、とりあえず行こうと思っていた。でも、結局、行けず。

15時に蹴上。2001年度京都橘女子大文化政策学科入学の1期生の同窓会。お昼の散策だけ参加。
うちのゼミ生も4名来ていた。岐阜とか岡山とか。はなと同じ歳なので年齢は忘れないな。
南禅寺の三門(山門)に上がる。あと、フジタというカフェでビール。うまい。でものんびりは出来ないので、阿倍野へ。

ロクソドンタ。ダンスの時間も19回になりましたと、案内役の上念省三さん。彼の、のほほんとしていてじつに的を得、しかも踊るほうも観るほうもいい方向に導く場つなぎって、このダンスの時間の最もすごいところかも知れない。みんな、ここでいいダンスをしようという適度のプレッシャーにもなっているし。
特にこの回はブラジルから日本のエンペラーにあったりしていた日系三世の女性(レティチャ・セキト)のソロのあと、掃除をしながら「目的のある動き」と「無目的の動き」としてのダンスの違いを身を持って語るなど、彼の真骨頂を見せていた。

130分近く確かにあったけれど、いい感じの観劇疲れだった。一番ダンス的に目を見張ったのは、佐藤健大郎。はじめの一面の笑い顔といい体。途中のダーク(そんなんでもないよというつぶやきはマチネにはなかったらしいが)、そして・・・。楽しみだ。さきらのワークショップでよくお会いしているので、彼のダンス自身にはじめて目を開かせられたということで、そう思ったのだろう。

クルスタシアのお二人のキュートさは、はじまりの少し内面的な部分があるからこそ、深さが出てくることを確認し、中山陽子さんは、もう体がよく動く。でも、構成を考えようという姿勢に好感。
最後の垣尾優とその仲間たち。一番面白かったのは、その場で丸いちゃぶ台(ちゃぶ台は丸ばかりだったっけ?)を作って、そこで、カンパイまでするところ。もちろん、塚原さんの投げやり風、じつは、めちゃ丁寧な音響とかも見所。踊り部分は、その分少ないが、指揮台で踊る垣尾という作品なのかも知れない。


4/27(日)

マスクして帽子をかぶって、八幡市駅へ。学生二人を待つ。
二人に岩清水八幡宮のことなどを話しながら、八幡市文化センター大ホールへ。
2回生ゼミ生がチューバで出演する大住シンフォニックバンド第15回定期演奏会を聴く。

演奏者の人数も多く、ホールもかなりの人。14時すぎから16時すぎまで。
アンコールが3つもあって、最後は吹奏楽って行進曲だなあと思わせるもの。でも、ドヴォルザークの「新世界より」2楽章みたいに人数が少ないしっとりした曲もいい。コントラバスがチューバのとなりにいるのは、よくある形なのかな?小学校のとき、コントラバス担当だったので、そんなことも思い出す。

川島有三『州崎パラダイス赤信号』1956年、81分。日活。モノクローム。
いやあ、すごく虚しく、でも味わい深く、暗いようでどこか楽天的な諦観世界。男と女の繰り返し。東京のこの当時の有様のドキュメント映像でもある。とくに、秋葉原のラジオ屋。
新珠三千代、三橋達也、轟夕起子、芦川いづみ、河津清三郎、小沢昭一。轟夕起子が悲しく力強い。

西郷信綱『日本の古代語を探る―詩学への道―』集英社新書、2005年。
アズマとサツマ。タビ、ガマ。
ヲコとヲカシ。シコ。シトとバリ。
アシとヨシ。アシとイネ、イナリ。
クサメ、イシノスダマ。


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