Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》BLUES-Asahibeer-1928


195.
2/10(土)
アサヒビール音楽講座《音楽の根源はブルースだ!!》ART COMPLEX 1928

アサヒビール音楽講座ライブ+ワークショップシリーズ全3回京都編の最後《音楽の根源はブルースだ!!》。午後7時頃から9時頃まで。いつものように後半は一緒に演奏していたので、時間をきっちり計っていない。今日もまた満席。和服の年輩の女性がいてももう驚かない。

アイヌのOKIさんを含むコンサートを3/3に栗東町でするので、さきらの中村七恵さん(会うのは久しぶり)と舞台監督をする西川賢司(リッツ楽器Creative Works事業部長)さんが来ていた。

アートコンプレックス1928を今回は、90度回転してステージを作っている。長方形の長辺にミュージシャンが並ぶ。見やすいし聴きやすかった。最後にふさわしくワークショップする楽器はとても大きくてお土産としてもすごくリッチ。アフリカ起源のビリンバウ。でも終わってから、まだまちで遊びたい女性たちがいて、それをもぼくはもらい、3つ抱えて京都の地下鉄に乗り込んだ。

山科駅の前で高校生ぐらいの女性デュオがフォークしていたので、電車が来るまで、少しかってにビリンバウを鳴らしていると聴いていた男子生徒が不思議そうに観ていた。
このビリンバウ(本式はサルスベリと瓢箪が材料)はボランティアが竹に色を塗って模様をつくり、共鳴するものとして缶を下からはめてそれをお腹につけて演奏するもの。
ブラジルに渡ると、カボエラという伝統格闘技の伴奏楽器になる。

このカボエラを実際にデモンストレーションして見せてくれる。中心の女性と男性は身軽で、空中で静止するところなど観ていてもなかなかにすごい。接触しないのは抵抗運動としてこの格闘技があったから、支配者に対するカモフラージュなのだという。前に、イスラエルのダンサーのワークショップで少しやったことを思い出した。

つまり、今回のブルースはビリンバウの使われ方(弓という武器にもすぐに転化できる)からしても判るように、そういう、叛乱、反抗、抵抗とか怨念とか悔しさとかが音楽の源にあるのではないか、という趣旨の企画(港大尋の司会)のようだった。

田中悠美子(太棹)で、「日高川入相花王 渡し場の段より」から始まる。これは清姫が安珍への恨みから蛇になって川を渡ってしまう場面で、まさしく男への恨み、執念であるとともに、そういう身分の違いという社会制度への恨みの表現でもある。
たるんだように震える弦のさわり、うなりがうーんと響き合う途中の変身シーンが迫力あり。おぞましさの表現。ただ、声がまだまだかわいらしい感じがする。

次に通崎睦美の曲などをよく書いている野田雅巳作曲の「ボート・ソング組曲(初演)」。コントラバスの斉藤徹が苦労したという。デュオをする田中悠美子は相対的に飄々と弾いていた。第3楽章にタイのこどもたちの舟遊びにつかうボートを歌う素朴な歌が入っていて、このひそけさが、第4楽章のオスティナートの早い繰り返される動きを際だたせていた。
田中の太棹はこのコンサートではこの組曲の第2楽章ドローンでのスクラッチが一番聴き所だった。

野田雅巳がわざわざ買ったというTシャツを港がまたわざわざ見せ、「キリンレモン」というロゴが入っていることを伝えているのも、またブルースという音楽を考えるのにはふさわしい自己言及的行為で、ナイスな感じ(それもまあ加藤さんらだからいい感じでのはみ出しとなっているのだろう)。野田雅巳は、後半、私たちの参加する「えてろ とと ぴい!」(5拍子なんて恐れずに足らず)でコーラスの指導をして、結構乗って歌って(叫んで)いた。

実に心打たれたのは、初めて聞く(はずの)ウードの佐藤圭一(アラファト議長とその服装、頭の巻物で言われていた)。もう一つ横に長い楽器の名前は失念した。この楽器はびよびよと独特のだみ声を聴かせる。通奏低音を奏でる伴奏楽器なのだろうが、即興的な掻き鳴らしがブルースにぴったりだしウードより日本の琵琶(これも平家物語はじめブルーな怨霊がつきまといついている)に近い感じがした。

「ネッカーキューブ」(佐藤圭一)は現代音楽風ではなくて、アラビックジャズっていうのか、独特の哀愁と味わいがあるチューン。
ふっかすいそさん、は港大尋らしい曲。客席で「ふっかふっか。すいそさん」と合いの手を入れるのは、タイミングが難しくて中途半端になりがりではあった。

OKI(グレー一色の地味な姿)のトンコリ。暗くなった客席で繰り返す波の音のような「柳の橋」のリズムを聴くのもいいが、歌が入るとがぜん心が震えてくる。アイヌのおじいさんの無念を歌った唄。OKIとみんなでの演奏はじんわりとむすびつく異国の楽器たちよという感じ。港大尋とユニットを組む澤和幸のギターも手堅い。


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