Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》BODYSCAPE4/14

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4/14(金)

精華小劇場コトハジメ『BODYSCAPE』公演初日

午後仕事を休んで、大阪なんば精華小劇場へ向かう。暖かい。滋賀は櫻が満開だが、精華小学校の校庭の櫻は若葉の緑との交替を急いでいる。

はらはらと一面の花びらに、川添洋司の椅子が点在している運動場。一番大きな椅子は、人が座ると、人が小さな人になってしまう。

小さな椅子のそばにいると自分が巨大な人になって、小学生時代を覗いているように思える。

なお、川添洋司は「荒美(すさび)」と題して《私の内面に拡がる「風景」も滅びの気配と無限性をあわせもつ枯山水的な世界》だと当日パンフに記している。

そのうち、運動場に置かれた椅子のインスタレーションに交じって風景として点在するようになったワークショップ参加者。彼(女)らが佇む世界が現れる。それが不思議と見えて、柵越しにずっと眺めている通りすがりの人も出てくる。

また、戎橋筋通りの方の表門で様子をうかがっていると、けっこう立て看板を眺めて行く通行人が多い。ちらしも取って行ってくれるようだ。

一人、買い物がえりの女性がちらしを受けとってガード担当の男性(199Q太陽族の役者さん)に話しかける。私は昭和18年にここを卒業したんですよ。幼稚園もそう。4階には家政女学校があって。親戚には卒業生がいるけど離れているから・・。私は時間ばかり余って困っていたんです。ここが開いているなら、訪れることが出来る場所が増えて嬉しいですね。・・

18時すぎまで入口に立っていたが、自分が目標だとかってに思っていた200人までにはならなかった。でも、会場の小学校体育館に入るとほどよく客席は埋まり、昔の木の長椅子に座っているだけで気持ちがいい。

始まるまで校庭がドアから見えて、櫻が散っている。大きな椅子も見えるし街の喧噪も少し聞こえる。面白かったのは、ドアが閉り始まってからも大きなネオンが点滅してドア越しに思わぬ照明効果をあげていたことだ。

舞台は体育館を対角線で分けた校庭側。細長い三角形。対角線に並ぶ客席はだから横に長い。ずっと先週のワークショップ参加者が床をぞうきんがけしている。そして(同じくワークショップ参加者の)黒マントの背の高い男の影。少し不気味な感じも漂わせる(人さらい、特高、いや大人になった自分?)。

18:14にドアが閉り携帯電話オフのお願い。少しして、下手の入口から10人の出演者が並んでゆっくり登場する。

BODYSCAPE公演、元精華小学校体育館&校庭(18:17〜19:54)。

由良部正美(総合演出)、エメスズキ(舞踊ディレクター。女性のシーンを受け持つ)、田村博子、若本佳子、濱谷由美子、松本芽紅見、デカルコ・マリィ、サイトウマコト、清水啓司、村上和司の10人が、白いワイシャツに黒いズボンでやってくる。

雲の上を進んでいるようだ。歩いては、上手側にゆっくりと倒れ、その上を乗り越えて人がゆき、そのうちに倒れた人も起き上がり、また緩やかに歩み出す。

かごめかごめ、越前琵琶・・。音楽のディレクターは慧奏。かなりの大所帯の演奏家陣で、ダンスはもちろん関西ダンス界のやり手ぞろいだけど、こちらもトリイホールの楽音ライブなどを中心に、スペシャル的な布陣。演奏風景が見れないのが残念だが、美術と舞踊に空気のように音が巡っている。

えま、片山旭星、沙弥音(松本太郎・松本じろ・土居秀行)、ひきたま、三上賢治ほか。客席前にディジリドゥ隊が陣取り、客席通路に女性シンガー(ひきたまさんだった)。太鼓に合わせてウワーウォワオワオ「ジャングルブギ」な歌を歌う。低い声が味があって戦後の闇市ぽいムードがある。

この「ジャングルブギ」があるシーンはコミカルな4人の男たちの場面。古風な脚を持つ机を頭上に抱えてやってくる。デカルコ・マリィさんは、今日は大人しかったですねと、日本橋に住んでいたことのある劇団態変の福森さん(後のシーンで空襲に逃げ惑った思い出が蘇ったとも)が話していたけど、4人のアンサンブルはばっちしで、静かなシーンから変化あるアクセントをつけていた。

4人が一つに組合わさる所とか、鯱(しゃちほこ)あそび、とか人間トントン紙相撲とか。最後に机と人間の足を結び付けて、カルダー的なオブジェ遊び。一歩過ぎるといじめになるんだろうが、そこのぎりぎりの所が面白いのだ、愛すべき悪ガキたちには。

女性4人の方は、黒いこうもり傘に如雨露で水。花壇が下手に出来ていて草が生えている。でも足にかけたり、背中の本に水をかけたりもする。本を放り投げて、雑巾のように遊び・・少し心配になる。ワークショップの二人が水を雑巾がけする。実用を兼ねてうまいインターミッション。

由良部正美とエメスズキのデュオ。エメのミニマムな招き猫ポーズ。由良部の斜体。それがふたりのゆらゆら曲線に移ってゆく。空気が体でうどんのように曲面体に変貌する。琵琶からピアノへ音も移り、エメのソロ。指だけまわし、そのうちがちがちな指へ。何だかエメスズキにしては舞踏的?にも思える。両腕を背中の方に立てた動きとか。

激しい音。体の硬直と痙攣。空襲の頃の恐怖を引き出すシーンという人もいるし、それぞれの世代のなかの恐い深部を揺する場面。ディジリドゥの轟低音。手を広げて走り回る8人。

もっと早く、旋回せよ・・・襲ってくる飛行機なのか逃げてゆく子ども達なのか。それとも記憶の子ども時代の再帰なのか。

体育館の壁に映像(小池照男)がうつる。由良部正美がとけ込んでゆく。明日は雨か。どんな風景をまた現出(幻出)させてもらえるのか。

《Bodyscape・・・まさにそこに在ることによって遠ざかる不在の景色/内側から眺められた物質の消息。/限りない憧景と忘却が/虚空の青空に溶明し、/未知なるものが未知なるものとして浮び上がる。/絶景哉。由良部正美》


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