Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》DANCE SELECTION 6-1

220.
5/21(月)
『DANCE SELECTION 6(その1)』(若本佳子、今貂子+倚羅座、クルスタシア)
トリイホール

トリイホール。DANCE SELECTION 6(DANCE BOX vol.63)の1日目。18:05〜21:17。満席。竹の内淳さんの関係の人たちも多い。

1)若本佳子のソロ「アリア」。竹の内さんともフランスに行って来た人。
「29歳と4ヶ月の私は自身のアリアを舞ってみようと思いました」。そのこころざしは踊りの原点だなあと思う。角さんが客席に来ていて仲間なんだと思う。

止まっているのに映画の一こまのような始まり。薄い帽子が半透明の影になって柱に映っている。トリイホールの上手の柱は、いままで何人のダンサーが倒れたり寄りかかったり脚を上げたりしただろう。

モナリザのうた。しみじみと切なさの間ぐらいの情感がわき出る。くるくるくるくるくるくる、バレエのような美しさや華麗さを捨てて、ただ回る。自分の舞を回ることを探して。ラストの声がちょっと短かくて、とても悲痛な声に聞こえた。

2)今貂子+倚羅座「果ての国 明けの国」、25分。今貂子の作出演、椿野うらら、福岡まな実、浦濱亜由子。
あ〜〜〜。若本の声がここへとつながっているように聞こえる。大きくなって、自動人形が飛び出す。
狛犬?フランス人形?黒い子ども人形?首振りキョンシー?。

衣装がなかなかにすてき。はじめの飛鳥貴婦人みたいな薄いオレンジ色のワンピースに心惹かれる。今貂子のソロのときは、韓国の僧舞のように腕の先にもう一つの腕をつける。
後ろに紅い樹の映像。それが、耳たぶから透き出る毛細血管の流れにも見える。

ダンス動作面では、ビジュアルが強い分少し記憶が薄れてしまったが、倒れて起きあがる動きに舞踏のメソッドの強さがある。もちろん、顔のインパクトは健在。

3)クルスタシア「2P(要冷蔵)」、22分。最近のクルスタシアの踊りのなかで最も心に突き刺さったもの。
ある意味で自分たちに忠実に踊ってみようと観客へのサービスを削ぎ落とした分、実は観客が大いに引き込まれ共感し心響かせてしまうと言う逆説に立ち会ったわけである。

衣装も無地でなんの外連もないノースリーブの上着にロングスカート。でもそれが明かりで浮かび上がると・・“「期限切れ」というか、生ものですからお早くお食べ下さい”というギャクのような当日パンフにある言葉の軽さを、とてもいい意味で裏切っていく。

でもでも、それはどこまでも重くなく。
ひたすら軽快に、突っ走って。北村成美と競うように並びつつ(これはこちらのかってな構図ですけど)、また彼女とは違う身体の速度で。

二人(椙本雅子、濱谷由美子/作・振付も)の美しさはぜんぜん変わっていないし(いや、濱谷の靄のように広がる栗毛や椙本の清楚な姿はばつぐん!)。後ろへの倒れ込みに使う濱谷の両手の握りはしっかりと力強い。

狂うことはない。苦しくもない。クルスタシア!
無謀さに近づくダンスの速度のあと。転がっては立ち上がりすっくと反対へと向かう自在さのあと。光の方へ、そこで休む。光を体に受けて。休め、休もう、でも、諦めない。だってこんなに美しいもの。


こぐれ日記」の扉へ

無断転載禁止 掲載:アーク編集室