Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》GEKKA BIJIN@short cake
京阪三条からアザーサイドへ。9月からここはBALの近くに場所を移すと、月下美人の山本さんがライブの中で話していた。
そう、今日は待ちに待った《月下美人》のCD(第2作目)の発売記念コンサートの日。始まる前から席は埋まりつつある。はなもバイトのお金をもらってやってきた。
はじめは、タさきフみえというアコギの弾き語りの女性。日常の風景を落ち着いて歌っている。鼻に掛かった声が特徴。「イミダス」とか「メールで送ろう」とか、日常の具体的なディテールをうまく使った歌詞の曲が心に留まる。19:28〜20:15。7曲なのに結構な時間経った。
私の前ににこやかな若い男性が座る。どうもぼくを知っているようだ。ぼくもどこかで会ったか見たことがあるような。異国幻燈舎でお芝居をしていたんですが(なるほど、ヘップホールで彼の姿は役者として見ていたわけだ)、声をつぶしていまは色々劇場にお芝居を観ている滋賀県甲南町の生越さんという人だった。
レッドライオンでの深夜のお芝居(「嘘つき」だったか)で月下美人の山本佳名子のソロを聴いてファンになったという。さきらにいた中村さんの話や万歳の内藤さんにコメントをもらってびびったこと・・・。異国幻燈舎が世田谷パブリックシアターへ行ったときも手伝いにでかけたという(客席までがとても遠くに感じたそうだ)。
『ショートケーキ』とタイトルされたCDは2100円、50枚分はバラバラで工場から届いたので、その中にジャケットの撮影のために撮った写真が入ってある。ジャケットはもちろんショートケーキ。白いクリームに濃い臙脂が彼女たちらしい渋さと強さを出している。
20:42〜21:52。このCDに入っている曲はすべて披露した。
出だしはいつもより慎重で緊張している感じがした。重くゆっくりなテンポ。
全体的に最近の月下美人は明るく軽くなってきたように思っていた。
が、こうして聴くと深い音とどきっとする歌詞、一瞬のとぎれのあとから溢れる抒情が昔から彼女たちの味なのだとしみじみ思う。
関西に来ていいデュオ(山本佳名子のヴォーカルとギター、石田珠紀のベースとコーラス)に出会えたなあと思うし、滋賀人であることもやはり嬉しい。
1)デアイノウタ。彼女たちには珍しい直球の恋愛うた。でももっと激しい出会いへと突き抜ける。
2)つぎはぎ。隠喩がいっぱいの歌詞。暗めの月下美人の側面をよく出した歌。「針で縫い合わせるよ 地表のかけらを/拾って身につけて つぎはぎ人形」。
3)Mad Mad Summer。今日の暑さと響き合ったのか、この3曲目で大きなインパクトを客席全部に与える。力強さのなかに狂気を超えた確信と捨てる勇気を与えてくれるようなライブになる予感。ほとんどMCもなく、重低音のベースもいつになくぴちっと来る。
4)小さな誰かさん。これは初めて聴かせていただいたように思う。一転して小声。でも、内側に声が入っているので外には1/3しか届かないだけなのだろう。赤ちゃんへの愛の歌。こんなに難しい世界へやってきたあなたへの、でもめろめろになるしかない(これが宿命なのかも知れません)親の歌。
5)空が映らない。少しポピュラーなフレーズを持つ。ベースのみで歌う出だしがかっこいい。「あなたの存在」という何気ない抽象的なことばが逆に新鮮に届く歌。ギターの音はがしゃがしゃ多く使わないで、一つずつよく選んで演奏している。
6)ライオン。最近出来た曲なのでCDには入っていない。もし入っていたらCDタイトルも「ライオン」になっていたかも知れない。また新しい私たちへと抜け出そうという気持ちが良く出ているとMC。ベースはポルタメントを使っている。確かにいまライオンははやっている。
7)Good good music。「チーズケーキをうまく切り分けた/おおきいの、あなたがどうぞ」。このケーキがCDタイトルと関係するのかな。これもそういえば恋のうた。でも失恋みたいね。
8)フレンチドレッシング!!。7)とともに、ぼくが前から大好きなリズミカルな曲。ちょっと重めに弾いていたように思う。
9)赤い土。これも歌詞が鋭くて印象に残っている曲。でもタイトルとは知らなかった。「むいても むいても/たどり着けない果物ね」。土が夕焼けで赤くなっていく。
10)黒と白のメロディ。これとアンコールは1枚目のCDからだったかな。ギターとベースがなかよくポルタメントする。山本の縦に揺するリズムの取り方が独特だとはなが言う。ふたりがぎこちなく乗っている様がなんともかわいい。
アンコールは、君住むまちかどにあこがれって。ぎこちない手拍子。
あなたのまちには、はながある。
素直な歌詞ながら、心深くに届いていく。声が声を呼び、それに答えていくことができる音楽のマジックなのだ。
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