Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》Higashiyama Dance Mini Theater program B

205.
3/23(金)
京都市東山青少年活動センター『東山ダンスミニシアターprogram B』

京都市東山青少年活動センター創造活動室、東山ダンスミニシアターprogram B。始まる前のロビーでは、北村成美が脚のダンスを踊っている。コーヒー缶と唇のダンス。当日パンフも創っている清水俊洋くんが、今日も明日の当日パンフを折っている。B4の用紙を8つのページにするため、真ん中に切れ目を入れて畳む。そして仕上げは円い窓を表紙に開けて踊っている瞬間の後ろ姿がのぞけるようにするという作業だ。

まずは、お楽しみ企画(special performance)。峠祐樹『Satellites』19:09〜21。昨日はモノクロームサーカスと一緒に建物をぐるぐる回って踊っていた若者だ。ちょっと不敵な目線と顔つきが素敵。ENTENのメンバーだったように思う。昨日のENTENのダンスを変奏するようにステージを回る。最後は走る。途中に長い手足をもてあますように暴れる動きがあって、はっとする。

続いて、つきちゃんや荻野さん、納谷ちゃんがケーキを持ってきてくれる。手作りだ(前田典子)。砂連尾理+寺田みさこ『ザ・ラスト・サパー*東山バージョン*』を待つ間のできごと。チョコレートかなと黒いスウィーツを選ぶと黒ごまいっぱいのケーキだった。甘さも抑えてあってみんな健康によさそう(本番のダンス中の食べ物はスナックやらインスタントやらで不健康食品)。

19:28〜19:46。ギャラリーそわかでこの作品を観た。と分かるのは、音楽、いやラジオの音声が余りにも印象的だからだ。やっぱり「甘酢とネギみそ」の作り方の料理番組だったかどうかまでは記憶にないが、料理番組のテーマソングによるあの導入は脱力を誘う。
映像を映す台の下には、牛の人形。これはたぶん見覚えがある?ダンスとともに映されるビデオは5人の食事シーン。そして、食べる口のアップもある。

まずは、二人がカップヌードルを食べる所から。机に置かれたキャベツの切り身(パックされたまま)は、いつまでも料理されずに立っている。チキンラーメンは、粉々にされて踊っては摘まれる運命。カップを持ったままのデュエットはシニカルな気分になる。

食べる行為からすーっとダンスへと移る。でも、ちょっと踊ってチキンラーメンをほおばって中断。ベートーヴェンのメヌエット(メニュエットっと聴こえる)の解説つきラジオの声は誰だろう。気がつくとモーツアルトのトルコ行進曲に変わっている。最後の夕食。もちろんディナー(晩餐)ではなく、つまみ食いをして踊っているから、どこが終わりかさえ分からない。終わらないサパー。でも終わらなくちゃ。

寂しげでけなげな部屋。食べることを通して何かをつかもうとしている訳でもない。時代の気分を映しているのとも違う。個人的な日記を書き留めているのでもない。寺田の手でミネラルウォーターが注がれる、立ったままに。同じように、床にコップの水が注がれる、それでラストだと何とか示そうとして。でも強烈な終わりも、劇的な始まりもやってはこない。

オーバーラップする料理番組は、実に健全に毎日の食事のメニューを提供してくれている。ただ、カラタチの花が咲いたよ。そんな歌を思い出したりはするかも知れない。
そういえば(ダンスとは直接には関係ないが)砂連尾理は花粉症で困っていた。アスファルトばかりになったから花粉が吸収されずに花粉症が増えたという説や、杉や檜が環境の危機を感じて生存のために花粉を増やしているという説を思い出した。

そして、Monochrome Circus『収穫祭2001』。19:52〜20:39。お寺の境内や児童施設などへお出かけする「収穫祭」スタイルをここでも取ろうとしている。お話しがあったりしてくつろいだ雰囲気。
ライブハウスでの音楽とダンスの集まりって感じもある。流れで順番を変えたり、その場でやってみたくなって歌ったりライブではあるのと同じような。
椅子を5つとマイク。鍵盤ハーモニカが出来なかった坂本公成も森裕子もかなりうまくなった。自前でなんでも出来ることが、震災の時に編成されたモノノケサミットと同じく出前では重要だからだ(あっ、「出前は自前」か!)。

鍵盤ハーモニカの演奏で入場。1)秋休み。荻野ちよのソロ。作曲した飯田茂実は気管支炎で歌えなくなった。2)中央線。森が踊る背景は、やはり森がパリの街角で同じ踊りを踊っている映像。途中で少しスピードが変わる。映像と影が、実物と3重になる。
坂本が途中から混じり、3)広い広い野原に、へ続く。コンタクトインプロヴィゼーション。森はオレンジのパンツ、坂本はオレンジのシャツ、ちよも少し違うオレンジの上着だし、プリンス木村英一も赤系統のシャツを着ている。

若手でも木村は峠とは違うキャラ。どこかひょうきんな優しさのあるダンサーだし、いろいろなことをするタイプみたいだ。モノクロームサーカス自体が突き進んで新しいダンスを開拓するというよりも、街角や社会の襞と接触していくことにウェイトを置いているから、自ずと参加する若手もタイプが違うのだろう。

4)死ぬときはひとりきり、5)ルーマニアンダンス(バルトーク)、6)おじいさんの古時計。7)色の名前。
7)は坂本が振り付けた「シャープ」なダンスで、木村とゲストの藤野直美、有吉睦子の3人で踊られた。音は無機質。これだけがかちっとした作品というわけだが、振付はかちっとしながら、音は収穫祭の世界でやってみたらどうなるだろうと想像しながら眺めた。

8)ドイツの車窓から捉えられた郊外の緑の映像が動くなかで、木村が踊る。映像の前でのダンスが今回の収穫祭では特にいいなあと思った。
ラスト、赤い花白い花。そして、上を向いて歩こうを演奏しながら退場していく。

終わってから、気がつくとロビーで荻野晴生が村上春樹の文庫本を朗読している。つき山いくよと納谷衣美もいる。砂連尾理に寺田みさこ、そして連日の竹の内淳。荻野が読みながら踊ってもいるのがおかしかった。納谷ちゃんと荻野くんの衣装が決まっていて、きっとつきちゃんも合わせたものになっている。ダンスを見終わったあとの談笑と荻野が読む文章が混じり合って、二日目が過ぎていく。


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