Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》Shimizu Karuhisa+Shigemori Miaki
京都芸術センター通信紙『明倫art』vol.8を見ると、「清水克久・重森三明ワークショップ」が18時からあるという。スライドで二人から説明があって話し合うものだから、ワークショップといっても何か自分で作るのではないから大丈夫そう(で出かける)。
重森さんには、去年、重森三玲(彼のおじいさん)邸でのガブリエル・オロスコ展を案内してもらったが、アーティストとしての彼の作品は見たことがない。今日会うと、ファンキーなところもある人だった。江戸時代の書院で会ったときは、京都の吉田山の麓で時代に無関係に生息している人かと思った。
京都芸術センターの「制作室11」に入ってあいさつしたら、清水克久さんとは、どこかで会ったかも知れないと思った。帰って芳江から、ギャラリーそわかにいらっしゃったじゃあないですかと言われた。芳江が何をされているのですかと聞くと写真を撮っていますが、バイトはしんどいですと話していたという。
二人は2000年10月からここを借りて、清水さんはギャラリーそわかで月末から個展を開く。このセンターでは制作する人を募集して選定し無償で使ってもらう。ただ条件として期間中に公開するプログラムを設けてもらうことになっているのだ。
重森さんは、重森三玲邸「Shima/Islands」プロジェクトのホームページづくりをここですることが目的だったという。
どうして、お二人でここを使うようになったのですかと聞くと、どちらも片づけることをちゃんとするからということ。いつでも使える状態にあるのは確かに大事だ。
窓がなく暗がりのできる部屋としてこの制作室を借りたのだが、音楽演奏録音室なので、重いドアに吸収板が張ってあって、結構窒息感がある。点々の模様がある壁にそのままスライドが映されて、まず清水克久のスライドレクチャーから。
彼は1991年にギャラリーギャラリーで、塩化ビニルの茶色と水色の四角いものをギャラリーのドアに縦に黒いテープで貼り付けただけの展覧会を行ったのが、原点。
「薄っぺらの力の行使だけで何か違う展開をしたい」と訥々と語る。ギャラリーそわかで、最小限の照明で部屋を満たすという展覧会が最新のものだ。北九州のCCAで学んでもいる。
ここでは、部屋の違和感を表現したデジカメ写真が映し出される。コーヒー缶をドアにつぶれて挟まれているもの。そのうち、自分の手を遠くの対象をあたかも使うようにして、大男になったような写真群ができる。
4年前に買ったデジカメなので焦点がいい加減なのが功を奏しているようだ。それに、蛍光灯を撮すと、緑の光が、あたかもそこから宇宙船が降りてくるみたいな感じで写ることを発見。この効果は太陽光でも写された。
「あやふやな製作態度」と「優柔不断な性格」と自ら言う個人的な資質から生まれる何気ないものへ向けられた「注意」。それが作品になっているようだ。かっこよくいえばだけど。自分の手のひらすら、ただの物体に見えてしまうあてのない「違和感」を、あどけなくまとわりつくままに、ひらりひらりと産み出す作業を、だれが見ているかどうかも考えずに続けている。
一方、重森三明は、1986年からはじめたセルフポートレートを風景と一緒に撮っている作品から系統だって自分の作品を見せる。
庭というのが、いろいろなジャンルのものを取り込んでいる存在であること。昔「しま」と呼ばれていたこと。そして庭は時間と季節を取り込むものであることがよく分かる。この前の青いネットを通して庭を見ると光の反射がよく分かって、朝の時間と夕方の時間の違いがデフォルメされながら強調されていたという。なるほど。
彼の方がずっと能弁で、清水のレクチャーのときは重森さんや扇千花さんはじめ田尻麻里子さん(私は行けない13日の「The 1st Women's Performance Art Osaka」に映像作品を出す人)などがどんどん意見や感想を言っていたが、彼のスライドレクチャーではみんなずっと静かに映像をみていた。
パリにけっこういたようだ。大きな蝶ネクタイをしたパスポート写真を切り抜くことを題材にしたものや、使われなくなった教会で、体を傾けている写真。パフォーマンスと写真が組み合わさっている。かなり幅広い教養があるけれど「ノマド」というモデュールはけっこう滑稽な顔をしている。
これを重森三玲邸に置いたインスタレーション写真はなかなかにシュールなおかしさがわいてくるが、そのバランス感覚はまっとうなもので、清水克久の方が精神の危機的な離人症に近い空気が出ているようにも思える。
噴水を使って、耳から水が出ているようにトリックした重森」の写真は、清水の指のトリック写真と並べて比較するとなかなかに興味深くなるだろう。
隣に座っていた扇千花さんから、彼女が1年間持ち歩いている小さな画廊を見せてもらう。なすび画廊よりも格段に小さい名刺入れがその画廊だ。アートスペースライフというギャラリーが何人か(いま3人)にこの小さな名刺入れ画廊をフランチャイズしているのだ。扇さんのは「art
space life/blanc」という。
1月はYou Kobayashiの“プロローグと嘘”を展示して、100円で販売している。サインはもう一つの名刺入れにする。2月は清水克久。すでに彼は作品を決めているという。
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