Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》LAB.20#9 GO WEST

222.
5/23(水)
『横浜STスポット「ラボ20#9」GO WEST編』トリイホール

トリイホール(DANCE BOX vol.64)なのに、今日は横浜STスポットの「ラボ20#9」でもある。すごいな。
ホール間の企画交換(交歓)なのね。

#9の選考&アドバイザーは丹野賢一。だから特に、前半はいわゆる「ダンス」という形を無理と意識しないパフォーマーが2人出た。大橋めぐみさえも、枇杷系での彼女の踊りを7〜8年前に観ている者としたら、昔より「ダンス」にこだわらないものを今回は提示しているように思った。

19:41〜21:20。客席には京都造形芸術大学の学生がいっぱい。宮沢章夫さん(客席にいる)のところにいた人や、山田せつ子さんの関係者が2人も出演するためだ。ダンスサーカスに出てくる人たちと同じぐらいの、ほんとにこれからを期待される人たち。

関西と関東の若手の特色はそれぞれにあるとしても、全体としての格差はまるでないということも確認できたように思う(この企画によってだけの感想だけれど)。
今回のダンスを見渡してだけの判断だが、全体に横浜は難波に比べれば淡泊な(=知性が暴走を抑えているような)ステージのように思う。

サービスってやっぱり関西だなあとこちらの濃密な対応(こてこてになることもあるが)に慣れた私の体はちょっと物寂しい。
逆に、関東の人はこういう淡泊な身体に慣れているから、関西のどちらかというと暑苦しい身体がくると「受け狙い」とか思ったりもするんだろう。「水」の違いってよく言ったものだ。

1)小浜正寛(ボクデス)「フライング・ソーサーマン」17分。時間的にはもう少し短くコンパクトでリズムよくでまとめるとなかなかかわいい作品になると思う。
が、この手の作品は機知とリズムが身上。だから若い人なのでこれからずんずん伸びるのだろうなとのんびり観ている。

2)大橋めぐみ「未確認舞踊物体」21分。
チック症と震え。柔道の一番基本の「受け身」が繰り返される部分が特に新鮮だった。
昔彼女のソロも観たことがあった。その時はもっと無邪気に跳躍するダンスを目一杯やっていたなあと回顧的になる。

3)手塚夏子「私的解剖実験」。これも1)と同じタイプ。ニブロール関係という点も同じ。ニブロールの因子分解を観ているようにも思う。13分。

ちょいと長く感じられたのは、少し客席が混みすぎていたことや前半最後だったことも加味されてはいたが、これなど特に淡泊過ぎる感じが関西人の私にはする。
それまでは、とても面白い「箱の顔」だが、自分の顔が出たときにその面白さが半減する。

4)有田美香子「そしてただそれだけ」13分。
岩下徹ワークショップが踊り出したきっかけだということ。大きな音楽。身体の「反り返り」が特色。その「反り返り」がもっと様々な現象や心情の反転や逆行、裏返しのことをサジェスチョンしているように思う。

あることをやっていて、そのうち何のためにやっているのか皆目分からなくなるってよくあるが、彼女のダンスを観ているとそんなことを思い出させてくれた。

5)天野由紀子「パープルル」24分。
1)の男性とともにラボ・アワードを受賞したのもうなずける。ダンスとして実に確実に踊れるとともに、ダンスに止まらない拡張や逸脱も恐れないダンサーである。

クレヨンで渦や線をボディーに描く動きとダンスのリズムがばらばらでなくて緊密に自分のものとして提示されているのが嬉しい。

胸に紅いカーネーションの花みたいのを入れていて、それが床に落ちる美術効果も鮮やか。最後の部分だけが印象にほとんど残っていなくてもっと強い(激しいっていうことではないけど)エンディングがあってもいいのではないかとも思う。


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