Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》LIVEDUO-MO・AN
69.
神楽岡通まではタクシー。下車してからは吉田山山頂へと石段を登る。暖かくてコートは手に持ったままだ。いい運動になり、汗ばむほど。
大きな猿の置物がある長屋などを眺めながら、「茂庵MO-AN」へ。3年前からオーナーが開放して、アートマーケットとか茂庵寄席とかをしている。
まず、干し柿を菓子器を自分で開けていただく。お茶棚は流木家具を利用している。
引出しに、為さんが創っているぼこぼこしたお茶碗が入っている。お茶碗の中には、穴が開いていて(釉薬が透明にかかっているので漏れない)未来が見えるのもある。
面白いのは、お茶を入れる茶匙のかわりに、緑のはっぱを使うこと。これは、野点をしていたとき茶匙を忘れて(余裕があると木から創るのだけどそれも出来ず)とっさに葉っぱで茶匙の代わりにしたら、女性にかっこいいと言われたのでそれ以来こうしているとのこと。
茂庵1Fはカフェ・ギャラリーショップになっている。
外で、竹皮に包まれた野菜中心の総菜を売っていたので(500円、自由に色々盛れる)、それを外のテーブルで食べる。
夕日がよく見える。東の空には満月に近い月も上っている。
彦根から北村祐子さんの姿も(精華小劇場でのパーソナル・ミュージック・パーティのPRを彼女と一緒にする)。
ようやくに、茂庵2階へ上がる。ここも銘木が梁になっている趣のある場所。上手にアップライトピアノ。京都の西側の街の光が見える。70人ぐらいだということ。隣のかっこいいお兄ちゃんがエリックロメールのフランス語の本をいっぱい買っていた。
スペシャルライブデュオ『大熊亘&千野秀一』19:20〜21:33。
いつもの帽子姿の大熊亘。まずは、バスクラリネットのクレズマー(イディッシュ語を話すユダヤ人の音楽)。結婚式で新婦を導く音楽、その寂しげなメロディーが、意味深。次は少し明るい、と大熊は言うが(普通のクラリネット)、やっぱり、独特の哀愁。ピアノとユニゾンするフレーズが多い。
大熊のオリジナルで、映画「豚の報い」(沖縄の作家によるこの映画の原作を読んだことあり)サウンドトラックより「月のテーマ」。千野はキーボードに代わる。循環する音楽。
これから3つはクラシックぽく。
まず、バルトーク・ベラ(ハンガリーではこの姓名の並びが本当だそうな)のハンガリアンリズム(「ミクロコスモス」より)。循環呼吸奏法。かなり「イク」(受付のあたりで、小銭の鳴る音。これはあきまへんで)。即興ぽい、ピアソラのリベルタンゴに捧げるソング。カシオのサウンドサンプリングマシンを使って、初めばああとやって、次第に馴染みやすいメロディが浮かび来る。
今日の目玉らしいショスタコービッチの「プレリュード・フーガ」。二人で代わる代わる前後になりながら、ゆったりと歩いていく感じ。いわゆる「クラシック」ぽくはないが、変におどけてもいない。フォルテになると解放感が広がる。
前半最後は「忘れ酒」。ゲストに太鼓とタンバリン(備え付けてシンバルぽく)のこぐれみわ。彼女は菫色の頭巾にマフラー、太鼓のぐるりのきれも同じ菫(ほんのり明るい紫)。こうなると、行進して歩いて行きたくなる。
25分ほど休憩の後、ドイツ物(ブレヒトによる歌詞があるもの)が多い第2部。
ハンス・アイスラーの「しぶといアヒル」、「エレジー」、「自殺について」。みんな悲痛な通奏低音が鳴っている。
最近彼らの中でヒットしている、やはりブレスト物の作曲者、パウル・デッサウのナンバーから。「未亡人酒場」、「8匹の象」など。こぐれみわも再登場している。恐怖のコーナー(大熊の歌声が聴ける)は2曲。「風呂嫌いの子ども」では、紙の王冠をかぶって、王様の歌を歌うシーンもあり。
最後は、横揺れも楽しい「クレズモリオ?」。どこかイスラムぽい感じもあって。譜面を見て演奏することが多いコンサートだったが、これは何もなく自由にのびのび。
アンコールは、何とかハッピーミーティング。また会う日までっていうことかしら。とても優しく名残惜しくクラリネットが歌ってくれる。
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