Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》Norma Richie-Scottish songs&harp

191.
1/28(日)
ノーマ・リッチー『スコティッシュ・ハープの調べ』駒井邸

叡山電車茶山駅から北白川疎水まで歩いて少し南へ疎水沿いに歩く。静かな場所だ。
駒井卓記念館・アートスペースの本田さんたちには法然院(鼓童の小島さんの踊り)でお会いしていた。行きたいと思っていた駒井邸にやっとたどり着く。姫路出身の駒井卓はダーウィンを敬愛していた遺伝学者だったらしい。

1927年、ヴォーリズ建築。始まるまでお庭を散歩。テラスにお茶が飲めるテーブルと椅子。小さな温室だったところにも座れる。少しカップなどが置かれている。たぶんウグイスかも知れない薄緑の小鳥の姿があった。

ノーマ・リッチーのメゾソプラノ独唱と彼女によるハープ演奏。演奏だけのときや、アカペラのときもあり。
『スコティッシュ・ハープの調べ』14:07〜16:07。
定員40名限定となっていたが、ぎっしりなのでたぶんそれぐらいのお客様。
個人の邸宅に招かれ、親密なコンサートを聴き、あとで紅茶をいただいて、ベルギー土産(カトリッセさんがお正月に帰って持ってきた家庭の味)のクッキーまで味わえるひとときを得た。

大きな松ぼっくりが置かれている。住んでいる人のセンスの良さが感じられる応接間。天井も高くないけれど、絨毯と木の内装に囲まれた贅沢な空間とゆったりした時間、そして柔らかいハープ(32弦、体に抱えている感じが愛らしい)と歌声(凛とした透明感もある)。なじみがアイルランドよりも少ないスコットランドの音楽や物語、地形と人びとの暮らしをかいま見た。

主催のアートスペース代表、ベルナルド・カトリッセさんが司会。ノーマ・リッチーが英語で話す曲目紹介を翻訳もしてくれる(一生懸命な日本語をこちらが理解しようと言葉を補って考えるのも、また微笑ましく)。

スコティッシュ・ハープ(クラールサハ)は8世紀に大陸から伝わり、アイルランドとともにかの地でハープが盛んに演奏された(16世紀からはバグパイプがスコットランドの代表楽器になるが、これは戦争と関係しているかも知れない)。
32弦のかわいいもの(今日の演奏は青山ハープが提供した日本製、福井で作られたのだろうか)。コンチェルト・ハープは46(47)弦でペダルで変調するが、このクラールサハは弦の上についているブラスのレバーを上下して調子を変える(半音調節)。

演奏者の手前が高音で右手、客席側が低音で主に左手で演奏する。抱きかかえるようにして歌われるから、ギターにとても雰囲気が似ている。特に長身のノーマ・リッチーの臙脂の服に実に茶色のハープがマッチしている。音は伴奏の時は特にそうだが大きくはなく、ほんとに小さな弱音を聴くことができる。Cの音は赤い糸、Fは黒の糸になっていて、オクターブが目で確かめられる。ハープを支える三つの足のうち、客席側の足は浮いていて、韓国のカヤグムを膝に乗せて演奏している姿を思い出した。

1)Early Songs(3曲)。17世紀頃の歌から始まる(Joy to the Person of my Love)。次の2曲は、ヘンリー8世の頃の曲。この王様は6人の妻を持ちそのうち2人は殺されたそうだ。
2)Traditional Scots(3曲)。高地(ハイランド)でない地域の漁師の歌、悲しい恋の歌(ここで調子を変える)、ファニーな恋の歌、子守唄。悲しい歌も短調になるのではなく、しみじみとゆっくり歌われる。
3)Three Songs from the Garioch for Clarsach。ウェストアバディーン地域の歌が3曲続けて演奏される。これはハープのみ。少しギャロップするリズムなどが特徴。こういうハープ演奏だと思って来たと休憩時に話していた婦人あり。

4)Gaelic Melodies(4曲)。このギャリックという言語(地域でもあるのかは判らない)はケルト語に近い言語だそうだ。子守唄(どうもドで終わらなかったみたいだ)、黒髪の恋人が去ってしまったと嘆く歌。戦争に出ていってそれを窓から見送る歌。悲しい恋の歌が全体的に多い。石垣の八重山民謡をふと思い出す。そして織物する歌。

5)The Long Ride。これはノーマさんの友人たちが作った音楽。構成も複雑でダイナミックだ。それはいままで聴いてきた民謡が実にシンプルなかわいさを持っていたからそう感じるのであって、コンサート会場でほかの現代曲と並んで演奏されるとスコットランドの伝統が伝わってくる曲になるのかも知れない。引き延ばされる声とハープが分散的に動く波形が、スコットランドの風景を描いている。スコットランドは島が多いのだ。

6)Puirt a Bhail。休憩の後アカペラにて。ダンスのために歌われる素朴な曲。これはみんなで覚えて体を動かして歌ったりできそうな気がした。
7)Songs of Robert Burns(4曲)。ロバート・バーンズはスコットランドの国民詩人。親は金持ちと結婚しろというけれど・・とかの歌があって、日本でもおなじみの「Comin' through the Rye」。日本の題名が出てこない・・
8)Airs for Clarsach。インスツルメンタル2曲、ギャラックとアイルランドの曲。

9)Songs of the Hebrides。ヘブリーズはスコットランドの島(諸島?)の名前。島唄ですね。糸つむぎしている若い娘が自分はどんな婿のもとへ嫁ぐのだろうと歌う唄など。ラスト2曲はかなり望郷の気持ちが込められた演奏だった。

アンコールは、これもシンプルに2曲。初めは私はハープを弾くのが大好きですという
ような自分の気持ちを歌ったような曲。そして「さくら」。


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