Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》OH-HAJI*roots

232.
6/21(木)
『呉 夏枝 -OH HAJI- textile exhibition』VOICE GALLERY

火曜日から始まっている(日本語名)岡村夏枝さんの個展は是非行きたいと思っていたので(20時までやっているのが助かる)、出町柳で降りて急ぎ足でVOICE GALLERYへ向かう。

いま、松尾恵さんはアネッテ・メイヤー展で忙しいのだそうだ。おっと岡村さんといま書いているけれど(友人や京都芸大の先生たちは従来通りの呼び方であるそうだ)、美術作家としては韓国名「呉夏枝」にこれからするのだそうだ。

《呉 夏枝 -OH HAJI- textile exhibition》。案内のハガキをよく見ると薄く「roots」と書いてある。複数の彼女のルーツということだろうか。滲んだ藍色がアヒルかなにかの動物のように初め見えたハガキの別面。

よくみると、日本列島が白く浮き彫りされているではないか。朝鮮半島、中国大陸は白くその奥はもう呆然となるほど広い。台湾の島があるから沖縄もその間にあるのだろう。海が主役のその地図は、染めた布か和紙かと思ったら、刺繍だった(『海模様』)。こうして東アジアを表示すると、日本列島は北西に偏り、福岡から朝鮮半島がその中心に位置することがよく分かる。

隣はチャイナドレス。白いタイトなフォルム。小さな鏡が刺繍の縁取りとともに並んでいる。模様はその服を着た人が向かう世界の断片だというコンセプト(『小宇宙衣』)。確かにチャイナドレスは宇宙服にも似ている。出会う人の洋服や肌を模様に着てしまっている私たちのことも考えさせられる。

正面は豪華でかわいい世界。紅く染めた裾にただ「かわいい」だけでない思いがあるかも?とは感じる。が、『国花繚乱刺繍衣〜東亜細亜編〜』というタイトルを知らないまでの印象はただ「きれいな花達の満開の姿」である。

ちょごりがベース。裾が広くて彼女の作品の特徴である実際の洋服よりも大きく、特にその裾が個人よりももっと広い世界へと広がる方向性がよく出ている。
袖も末広がりでこれも実際よりはかなり大きい包容力を持っている。

と、本人から花の由来を解説してもらって、ぼんやりみていた自分が恥ずかしくなった。
タイトルの国花というのは、台湾の牡丹、北朝鮮の李(すもも)、中国の梅、そして韓国の木槿(むくげ)と日本の桜なのだ。その牡丹や李、梅、木槿、桜は、とりあえず国の花という象徴にはなっているが、そんなことは関係なくこの東アジアの国々の季節を彩り、心を和ませ時には激しく揺すぶる花達でしかないのである。

呉さんは(作家としてなので岡村さんとあえて呼ばないで)、いままで多くのテーマとか表現したいことを一つに凝縮して作品にしてきたので、今回は4つに分解してみたという。コンセプチュアルな海の刺繍、チャイナドレスの鋭角的で近未来的反射性、そして一見豪華でステキな刺繍の手業のなかに潜む社会的なメッセージ。

最後に紹介する4つめの「森風衣」。これは、一番呉さんというよりは、前から知っている岡村さんのイメージに近い作品だと思いそう彼女に伝えた。彼女にとっても一番素直な自分の姿だという。ふんわりした上着。韓国の服をベースに緑と青が溶け合って、少し立体的な丸みが心地よい。長い長いスカート。一見着ることができそうだけれど、実は2メートルぐらいの人しか着れないのだそうだ。

秋から大学院の卒業制作に入るという。去年の秋、彼女は松尾さんの紹介で京都橘女子大学文化政策学部の高校生向けレクチャーの時にお手伝いとして来てもらったのだが、その時受けに来てくれた高校生がいま学生にいると話すと喜んでくれた。

Bubu(元ダムタイプ)さんが顔を出す。私は分かっていたのだけど黙っていると、KAVCでお会いした人ですねと彼女が私に話しかける。いま打ち合わせがあるのだけれど、展覧会を少し覗きに来たのだ。こんな身近な感じでアーティスト達が出会うのが京都の一番の良いところだとつくづくと思う。


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