15 1999/10/14(木)
PCPS公演『ワカツテル』
西陣の町家倶楽部ハウス
10/14(木)
(モルフェというアートプロジェクトの一つとして)三重県南勢町の元小学校で2000個の煉瓦を置いて芝を生やしていた宮永甲太郎(若手美術家:私の日記は原則的に敬称を略しています)から、たまたま案内があった「芝居」を観に行く。
ただし、芝は舞台の方に本当に生えだしていたのだが。
西陣の町家倶楽部ハウス(空いている町家や元織物工場をアーティストに紹介する所)を使ったお芝居。
告知のポストカードには「セリフなんかいらない」と書かれている。だから「黙劇」だろうと私も観る前思っていた。ところが実際は引用のセリフも多く、逆にセリフに溢れている舞台だった。
きっと、セリフについての考え方、あるいは、セリフのある風景を外から眺めているような、そういう雰囲気を伝えたかったんだろう。
会場構成:宮永甲太郎。
10/1(日)の京都新聞にも写真入りで大きく紹介される。
「旧工場に置かれていた解体された織機の角材四百本(長さ2メートル)を活用することを思いついた。先月下旬から床に放射線状に敷き詰めて牧草の種をまいて生やし、歴史のある角材、成長しつつある植物の時間を表現した」という内容の記事として。
入るとすべて木で覆われていて、下手の仕切の上も角材が屋根のように置かれている。奥の方が盛り上がっていて、そこから放射線状に木が伸び。
前の方の席だったので蹴躓きそうだ。
下手にある柱が天井に近づくにつれ笠のように広がり、なかなか。土を角材の間に入れそこに「一年葦」の種をまき・・・もうかなり伸びている。
匂いがかなりする。嫌なものではないがどこか「もちゃっ」とした感じがする。どちらにせよ劇場ではまず経験しないものだ。B GMは男性の歌にピアノ伴奏。少し現代ぽい。
19:37〜20:41。
12〜3ぐらいに分かれている。断片からなるが、最初と最後は繋がっていて、それを元にして物語を強引に一つのものにしてもいいし。あるいは、ばらばらの断片を短冊に切って再構成した面白さを眺めていてもいい。その「再構成」というのが、舞台美術と呼応している、といってもまあおかしくはない。
引用される台詞は、当日のリーフレットによると、「蜘蛛女のキス」、「トーチングソング・トリオロジー」、「虎 国姓爺合戦」。
1)帽子を被った面白い衣裳の男1(これは私がかってに符号化しているもの:山形勇)が一人で、ビッグになる夢を語るシーンを繰り返して(練習しているように見える)。声が徐々に大きくなる。男2(杉山準)がテープデッキで音楽をかける。男1とは無関係な音楽。闇。天井の天窓が四角に所々あいてそこは闇にならずなかなか綺麗。
2)男2が一人でセリフを言っている。「蜘蛛女のキス」かと思ったが「トーチングソング・トリオロジー」(こちらは芝居では観たことがない)のセリフの引用かも知れない。
3)女(内海祐子)がウェディングドレスを着て座っている。女が小さいときの思い出を話す。男2が化粧係なのだろうか(芝居の楽屋裏なのか、それとも夢としての結婚願望?)、女の化粧を直すが無口、聴いていないみたいでもある。
4)女がだいだい色のピエロ姿にて登場。男1は和服。疲れている。蜘蛛女の練習を、女は男にもつきあわそうとする。
5)これが「虎 国姓爺合戦」のセリフだろうか、和服の男1がチャンバラ。大声、竜馬に日本は任せた、と最後は自害。そのあと音楽テープをかける。
6)女は芝居の練習着。男1は和服(タケチハンペイタ)のまま。黒豹の映画の話の所。
7)女が歌う。“夢見た人生いま地獄に堕ちて2度と元には・・”。そのあとセリフの練習。すぐに詰まって、そうすると、ぴょんぴょん飛んで歌を歌って口舌の練習してまた続きを。
8)男1と男2。蜘蛛女だろうか、二人で演技。黒子(ほくろ)を触ってみたいと言って実際に触ると、その瞬間、演技から素面に戻ってしまう。
9)女は黒のドレス。男1は普段着。男1は女と踊りたい。でも踊りを知らない。なんかそんな瞬劇。
10)ちゃんばら劇。男1が先にいて、男2がやがてやってきて決闘。でもへっぴり腰の男1はすぐに殺される。
11)女はのりちゃんという。男1がもう田舎に帰ろうよと言う。一応ここは長く、いままでの謎解き的な感じもある所。冒頭のシーンが村から新宿西口に深夜バスでついた所のセリフであることが分かる。
方言がほとんどで少し標準語になったりする。
よくある話。役者になるとかっこつけて東京に来たけど、初めの夢はもうだめのよう。女はホステス、放送局のディレクターとも寝てしまう。分かっているけどまだ帰れない。男1は一人去っていく。
12)女の付け髪を外してやる。こんどは男2がしゃべっている。小学校の体育館の用具入れにお化けをみた話。最後に男1の姿が現れる。
ラストはエピローグのようだが、役者になりたかった田舎から都会に出てきた若者の話に終わらないで、ほっとする。
内海祐子はなかなか頼もしく堂々としている感じ。山形勇は目鼻立ちが大きく、目の前で少しこちらが照れた。杉山準は制作者としていつも挨拶しているので、ゲイを演じること自体が驚きではある。抑制されているのか少しアマっぽいのか分からない時もあった。
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