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5/2(火) 
『第73回天満講談席』大阪市北区民センター会議室

講談がこんなに面白いものだったとは知らなかった。

枕(まくら)はまるで落語のような軽いのり。題材は昔からのものだが少し今の時代から見たらどうなのかということを考えながら語っている人もいる。

NHK朝の連続ドラマ『やんちゃくれ』主人公のお姉さん(高田聖子がその役)が弟子入りした印象しかない私。ただし、師匠役でそのテレビに出ていた旭堂小南陵は今日は裏で、前座の前座の弟子小夏にねたをささやいていた。

『第73回天満講談席』。

場所は、JR天満駅そばの大阪市北区民センターの変哲もない会議室。入口で1000円を払う。と、受付の旭堂南湖が、まだ当日配布の紙できてませんねん。あとで渡します。あの、初めてですか。住所書いてください。大津からですか、ありがとうございます。・・とんとんとんとおしゃべり。いやあ、愛想のいい受付である。

会場は、前が赤い毛氈に座布団席(まだ空きがあった)、後ろが椅子席(一人立っていた)。50席ぐらいに8割ほどの入り。

舞台も簡単なもの。下手から出るので衝立で隠し、奥は無地の金屏風。座る台の上に扇子などを叩いて効果音を作る小さな台と紫の座布団(最後の旭堂南陵は高齢で足が悪いのだろう、前に演台を置いて立ったまま公演した)。

入ると60歳代の男性二人が初対面ながら話しを始めている。まだ64歳ですか、お若いですね。ええ、でも仕事がなくて。碁会所もいいですよ・・・。スポーツ新聞を持った50〜70歳代の男性が多い。

18:18。まだ若くてスリムな女性が綺麗な淡い着物姿でやってくる(そのあと、講談の一つが終わるごとに座布団をひっくり返す役をする旭堂小夏だった)。「から板たたき」と申しまして、前座の前座です。宇治川の先陣争い。つっかえつっかえ25分。忘れて客席から台詞を教えてもらう光景もほほえましい。

18:45からが始まり(終わりは20:49)。

旭堂南湖「秀吉の子守奉公」。秀吉は生まれたときから声が大きかった。はや、10歳になりました(講談ほど早く歳をとるものはございません。同じ台詞を浪曲でも聞いた)。

初陣までのエピソードを面白く19分。大阪の太閤びいき(かっこ悪いちびの日吉丸が知恵を働かせて出世する)をよく現している。

次はぐっと渋くて旭堂南海。「広瀬中佐と山本夫人」。

海軍大臣山本の夫人が遊女だった(売られてすぐに山本が身請けした)が、実に賢い妻であり母だったというお話。

戦前の軍人物(旅順港、日露戦争、東郷平八郎に広瀬中佐、福井丸)だからいまは余り流行らないねただろうけど、私には一番面白かった。南海さんに「なんば精華座」(私案)でも設けて、戦前に流行った精華小学校と同時代のねたを今との違いや今と変わらぬ点を枕にやってもらいたいと聴きながら思う26分。

旭堂南華「円山応挙と幽霊」。体格のいい女性講談師。やせ細った花魁の最期をかきとめた幽霊絵師応挙のお話。物語だからこその偶然の一致。幽霊画が福を呼ぶのは、連れ去られた娘の幽霊が両親に恩返しをしたからだというお話。歌舞伎とかでもこのような話は多いのだから講談も当時を偲ぶには軽量故に適している。28分。

旭堂南鱗「山内一豊の妻」。26分。緑の羽織りをつけて登場。すぐに脱ぐ。あまりに有名な話しなれど、当時は男が魚を買いに行くのが当たり前だったという解説などが付く。貞節なる妻、忠義な家来、その期待に応える貧乏侍。出世、賢明なる君主。パタンではあるが安心して聴ける。

そして最後に旭堂南陵、「太閤の初陣」22分。もう大きな声は卒業した。ぼそぼそって、大丈夫かなあって初め心配した。剽軽な間、「ああこわ」っていう藤吉郎。

籐吉郎が知恵を働かして猛勇士を倒して首を持ってきたのに、今川のお殿様たちは死んだ人の首を切ってきたのだろうと嘲笑う。藤吉郎がちんちくりんなためだ。

格好だけを見て判断するような上司はいらないと士官換えをする藤吉郎。ここには「せまじきものは宮仕え」の固定した江戸時代以降のサラリーマンのため息と憧れが反映している。


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