Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》Toenkai&Hikari-no-gekijo
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6/3(土)
桃園会『どこかの通りを突っ走って』アイホール & 精華小劇場コトハジメ「光の劇場にむけて」
アイホールにて、坂井健二新館長にご挨拶。ここの館長はいつも受付の横で立ってお客さんを迎えてくれる。
さて、桃園会第19回公演『どこかの通りを突っ走って』作・演出:深津篤史。15:05〜16:40。
《舞台は大阪北港---クジラがいるという噂の海を前にした、さびれた倉庫となっている建物。異なる3つのエピソードが、震災の蔭も帯びつつ、緩やかにリンクしていきます。傷をおった人々のそれぞれの思い、心がいくらかの解放へと向かい始める「再生」の物語と、今までの桃園会路線とは少し趣を変えた作品となっております。・・》
3つのエピソードってどれとどれだろう。冒頭、泊(河合良平)と船戸(はたもとようこ)が暗い海のすぐそばで話している。泊は密入国してきた外国人であるかのように、船戸にしゃべっているが、どちらも流ちょうな関西弁だ。〈関西弁でちょっと脱線すると、本田(亀岡寿行)というネクタイ男がスナック熱帯魚で関東弁でしゃべっていて、それが耳障りだと岬(紀伊川淳)が絡むシーンがある。〉
泊と船戸は、海老江(荒木千童)と浜口(小坂浩之)とともに、自殺した本田という女の1周忌のために集まっているのだ。本田という女は江口恵美が演じるが、形的には、本田が泊と船戸との三角関係に悩んで自殺したように見えている。
同じく亀岡演じる本田という名前の、少し前までサラリーマンで今は小説家と自称する男の話が2つめのエピソード。6年前に女がささいなことで家を出て神戸の実家に戻る。その1年後、震災で女は死ぬ。当日、いつもより1時間早く(5:30)起きた本田は、あの時電話をしたらよかったのに、と悔やんでいる。
この本田がクジラを見に大阪北港にやってきて、深海魚でしこたま飲む。そこのサオリ(川口真理、でも江口恵美がサオリになっていたりもする)、同じく客でおじいさんが漁師だった岬兄妹(紀伊川淳、加納亮子)とともに、船を出す。そして、甚平鮫に呑み込まれ・・(かなり幻想的な流れに入る)。
3つめのエピソードは、たぶん、灰原(森川万里)と坂本(藤野節子)とのお話会。
この倉庫前の空き地でOLの二人が毎週交互にお茶(コーヒー)している。灰原に彼氏が出来た。嫉妬する坂本。二人はいい関係のようだ。灰原は坂本に、でも坂本が別の女の子を好きになるのはいやって言う。比べてみたことがないから・・。この辺がぼくは深津ワールドの微妙に面白いところだと思う。突然の坂本の切れ方。けっ飛ばす、暴力の哀しみ。少ししてまた一緒に自転車に乗って去っていく。
この3番目のエピソードは、どこで他の2つのエピソードと重なるのか。確かにサオリがずっと望遠鏡を覗いている、というシーンのなかにこの出来事は起きている。でも、聞いているけれども絡まない。
全体的に動きや絡みがわずか、またえぐいほどの関係よりも淡泊な感じが続くのでインパクトには少し欠ける。東京や助成先を意識したわけではないだろうが、「冒険」は今度にお預けかな。舞台美術、柴田隆弘、傾いたテラスが印象的。
明日で精華小劇場コトハジメも終わり。最後はWORKSHOP「光の劇場にむけて」だ。もちろん、光を担当するのは岩村原太。この夜に公開発表、明日は、いままでのまとめ、ということになる。夕方が深まってきて、照明の時間が始まる。
地元の王さんはこれがいちばん楽しみだったと、裏門からライトアップを見ている。
ぼくだったらこうするなあ。やはり地元の宮本さんが、初めて校舎の窓の上部の形が正面は3階部分が丸く、両翼は4階部分が丸いことに気づいたとつぶやく。王さんは、とっくに気づいているよ、工事を間違ったんじゃないかって話したもんや、と返す。
さて、光の劇場の発表は7〜8のチームに分かれる。まず、玄関チームの二人の発表。
精華小劇場と書いた紙を板で支えてそこを照らすというシンプルなもの。でも戎橋商店街を通る多くの人が覗いていく。これがコトハジメの一番最初だったら、チラシを撒けたなあ。
次に、玄関横のドアを開けて、校舎裏の隠れた壷庭?を照らす。羊歯が生えている。
幼稚園へと渡る長い廊下を一人の若い男性が照らしている。かなり長い空間なので格闘している感じがある。岩村さんが鏡を使って反射させたら?とやってみせる。上のダクトが廊下の長さを見せる。
地下の明かりとりのブロックガラスに当てると、ガラスが白く輝く。
校庭に椅子が置かれていたのは、そこで見るように、という配慮だった。2階に人一人分だけの出っ張りがあり、そこをステージに見立てて光を当てる。時計の影。斜めからの光線がエレベーター塔にあたって感じがいい。壁肌が浮き立つ。
アーツモニターの重光さんは階段を楽しんだ。木の手すりの隙間に光を落とす。5階から1階まで垂直に光は届く。らせん、という構造は自然に人を巡らせ夢中にさせる構造なのだろう。上の方で、手すりを支える木の林立を壁に映して、階段が何重にも回りを囲むような演出もしている。岩村さんがゴダール映画によくありますね、と話す。歩いていくと自分の影が始め大きくクマのように前に出来て近づくに連れて自分の体の大きさに縮小する。
これは、内緒の作品です、と教室でずかしげに手動でミラーボールを回し、猿のオモチャを動かす重光さん。瓶にウーロン茶と煙を入れた花井さんの作品もある。今回、かっちりした美術展はなかったが、ちょいと作品を置いてみる人は多かった。
沖縄に帰ってしまうのだろうか、アーツモニターの大原さんのワーク。まず、1分間の黙祷。記念誌的照明、とかで、4階廊下の壊れた部分のライトアップ。テーマがくっきりしていて、密やかな感じが好ましい。廊下の小さな傷を小さな豆電球で照らしている。教室と廊下を隔てる板が割れていた。そこへ教室から光が漏れる工夫。
幼稚園の体育館。窓に施された鉄の模様を壁に大きく映す。ここを劇場化するための予備演習のようでもある。また、玄関へ戻る。全体をライトアップ。でも回りの派手なライトとは好対照だ。みんなが覗く覗く。
最後は、樋口よう子さん。彼女はビデオ撮影担当でもある。前からそこで展覧会をしたいと目をつけていた幼稚園プール。すでに薄く水を張ってある(ぞうきんと灰皿で穴を塞いで)。一つの光源で水面を照らす。壁に横縞がゆらゆらする。八木さんと中西さんが水面を足で揺らす。模様が動き出す。樋口さんがホースでシャーワーする。
壁に映るのも飽きないが、水面そのものもきれい。
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