Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》Yuwaku-Erekiteru

80.

4/27(木)

芝居屋坂道ストア商品第12号『誘惑エレキテル。』OMS

芝居はもちろん、映画や音楽、美術などなどで、泪が出そうになるほどこみ上げる、ということは、この数年ほとんどない。それなのに、前半、回顧シーンが始まる所で、あやうく泪が出そうになり、自分ながら驚いた。

扇町ミュージアムスクエア協力公演、芝居屋坂道ストア商品第12号『誘惑エレキテル。』作・演出:角ひろみ。19:34〜21:08。

7回公演の初日。明日の金曜日の15:30公演は珍しいもの。きっと「台所の片隅」にいる貴女へも届けたい、という時間帯なのだろう。今日の客層も普段お芝居を見ていないような女性5〜6人づれ(競馬で16本の足とかなってから、訳わからへんようになったなあ、とか楽しそうにしゃべって帰っている)がいたりして、広い客層。ネクタイおじさんは私のような高校生とかを娘に持っていそうな人たち。

《坂道ストアお得意の、“等身大の”“日常を切り取った”お芝居を離れ、いや、そんなモノたちも一緒に連れて、計り知れない宇宙空間を漂うため、皆様を無重力の世界にイザナウため、カラダが資本と、オンナ10人、鍛えます》

ほんとにそう。宇宙に遊泳したりUFOを見た話や中学生の宇宙人?(本多真理)が出る気合い作。でも以前に見た作品と構造は基本的に繋がっていると私は思った。

例えば、影の薄いクラスメートの存在(角ひろみ)。仲の良かった天文部の4人組の言動を高校生の時からずっと羨ましく思っていて、2000年の今日、7年振りに会うという4人に出会うことを一方的に楽しみにしていたモリナガ役がそうだ。

出始めの主役(彼女の一人称で語られていく)スズ(岡知美)は、ぼんやりとした日常を送ってしまっている可愛いのにどんくさい女性。これも坂道ストアらしい定番的設定。スズには高校時代の思い出が美化され拡大している。サイジョー(大木なつ美)がまた、とんでもない冒険を提案してくれないだろうか、そんなわくわくした時間は25歳になったらもうやって来ないだろうか。

音楽も賑やかで台詞が聞き取りにくい部分もあった。それも一つの雰囲気かも。蟷螂襲さんが客席にいたけれど、長台詞(ただここの1センテンスは小刻み)の叙情性はかなりPM/飛ぶ教室に通じるものがある。(初めは違和感あった)群唱にも慣れてしまった。

劇中に無理やり挿入されるものではないが、踊りも多い。いつも走ってるしなあ(ランニングシアターダシュずきも来るでしょう)。現役高校生役の4人がちょうど世代を反復するように駆けめぐる。

舞台はかって高校生だった4人組が花見をした櫻公園。でももう櫻の木はない。未来型テーマパークが建設される用地になったからだ。でも、このテーマパークは出来そうにない。そんな投資が出来るご時世にはないから。サイジョーはこのテーマパークの管理責任者らしい。もう4人組のサイジョーではない、と初めはクールに登場してきた、だけど・・。

高校時代のエピソードを綴る時間の飛び方はナチュラル。SFもののお約束的な作り方ではあるけど、競馬に行く女子高校生とかのシーンはやっぱりウブで好きだ。

まぐれで勝って携帯電話を買う。当時は宇宙船との交信のような特別のものだった携帯電話。それを象徴して、この携帯電話もブロックの化石によって表しているし、乾杯したチュウハイもすでに化石になっている。

プー太郎や「お水」になっただけの侘びしい今の私たち。
2000年は何も変わっていない。
でも、でもだ。

櫻の花びらがふんわりと落ちるように、
自分たちの想像力の中に、
宇宙が立ち上がるかどうか。
それに賭けてみる価値はまだある?
エレキテルがイケテルかどうか。
試してみてもいいんじゃない?

しょっぱい4月の空き地。

太陽プラズマ風に吹かれて。


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