21 11/2(火)

ピピアめふ(宝塚)オープニングライブ『須山公美子&吉田文夫』

宝塚・売布(めふ)神社前に“ピピアめふ”が誕生した(震災復興関連でもある)。

商業施設とともに、ピピアめふ公益ゾーン(4階〜6階)オープニングフェスティバル。

(この公益ゾーンの運用に当たっては、橋本敏子率いる株式会社生活環境文化研究所が地元の人たちと仮設の場所で事前に各種の事業を実験し、リサーチしてきたのだ)

この5階には新世代映画館シネ・ピピアもあり(宝塚市が施設所有者、運営:関西都市開発株式会社、運営協力:シネ・ヌーヴォ)、50席の映画館が2つ並ぶ。

橋本さんが見て見て、と言っていた。ロビーはバグダッドカフェ。

シネ・ピピア1は東宝系ロードショー館、シネ・ピピア2が自主企画で、10/29のオープニングは大森一樹スペシャル。

そして今日のオープニングスペシャルライブ「21世紀へ〜アコルディオンとうたとアイリッシュミュージック」だ。

駅に着くと18:40。18:30始まりなので出だしの「菫の花咲く頃」(宝塚だなあ)は聴けなかったし、その後の2曲目途中で一番後ろの席にすべりこんだ。たぶん曲は「サーカスがくるよ!」。100人弱でぎっしり。

ライブ会場は、すでにNPO活動展があり、身体ワクワク・ワークショップが行われた4階の「ライトスポーツルーム」というところ。

天井は低いし最小限の装置だがライブの音は十分届く。ピアノもある。

後半のシ・フォークは座って演奏だったので、雛壇をもう少しあげてもらうと楽器の演奏風景が見れてよかったけれど。

売布神社に住んで20年、関東から宝塚に移って30年近くなる須山公美子。

彼女のデビュー後20年目にして初?の地元ライブから。

彼女が書いた本日の聴きどころ:

<今回は京都でカルト的な人気のあるデュオ「ふちがみとふなと」の船戸博史(コントラバス)を迎え、ピアノとアコルディオンによる歌をお楽しみ頂きます。母であればなおさら自分の世界を大事にする。だから子どもの世界も大事にできる。くたばれ等身大のうた。息子よ、母の背を見て育て。>

彼女の一人息子あきらちゃんがいる「めふ保育所」のお友達の親子が、花束を用意して来ている。

それでも3曲目「デビュー」は、聴かせたくなかったら子どもの耳を閉じてください、と彼女も言う大人の曲。アコルディオンなのでマイナーな曲が続く。次は「勝利者」。

やっとメジャーな曲。また題名が分からない。ポンバタンの芋畑を描いた肝臓やみの画家は神様になった、という低い声が印象的な歌。私の中で彼女の歌のうちでもベストに好きなものの一つ。

桜の話をしてピアノに移る。「スターマイン」?。

そして「林檎」。とても絵画的な歌詞。林檎を乗せた手のところに夜が訪れ、林檎の芯をクルクル回す。ベースがおかしな音。そんなことが新鮮なのだろう、立って聴いていた女の子がお父さんに微笑む瞬間を見てしまう。

「カバの近親相姦」の歌。これは少し引く人もあるだろうが、志が高尚なので凛としている。ベースが弓になり大曲だ。高音へと何度も上り詰める。いつもよりも彼女の声を出す勢いが強いような気がする。

対照的に、これも題名を知らないまま口ずさむ大好きな曲。年寄りも集まる、木漏れ日のさす小さな広場。切り取られた青空。ここピピアめふへ、彼女から期待をこめて歌われているようだ。もちろんこの歌にもビターな歌詞あり:正義感などすでに小銭に代わった者とか。

ある高揚がこちらに起きる。少し沈めるように、前の席にいる女の子に習い事はなにしているのと須山が聞く。ピアノ、そうあきら君のおかあさん(=私)もずっと習っていたのよ・・・
「(私の)みやちゃん」。うすい影をふみながら歩いた。私はピアノが好きよ。トリル。私のみやちゃん!見失ったよ、夕闇の中へ。
ピアノの最後は「雨のうた」、静かなモデレート。

アコルディオンとベースに戻る。同級生の彼が離婚したという噂の話があって「缶切り」。
「たかが歌」されど歌。前に進みマイクなしで小声。帰ってこようか、あの村へ。
でもよく聴こえる。
そしてラスト、処女録音曲(シングル)「少女歌手」。

19:50。1時間の予定だった。地元の人のために早く始めたのは正解。でも少し長さを押さえた方がもっとよかったかも。

休憩の後、やはり宝塚出身の吉田文夫のボタンアコーディオン(あんまり見えなかったがハーディ・ガーディも聴けてよかった)と、赤澤惇のフィドル、ブズーキ(ギターの兄弟のような楽器)。
この二人で「シ・フォーク」って言うのかなあ。
吉田さんは、須山さんの今日は明るくでもやや知的に滑るMCとは対照的にぼそぼそ。
でも笑いが起きる、それもまた味な性格。私が話すとますます緊張させてしまう、とか言いつつ。

アイルランドのダンス音楽(ジーグ、マーガレットワルツ、ポルカ、バーン=納屋のダンス)を中心に、ギリシャ、ブルガリア(メランコリックな感じ)、スウェーデン(音が微妙に震えるのが心に残る)の歌。21時頃に客席のおじさん達がもぞもぞ席を立ち出す。

吉田文夫の歌がなかなか気持ちよかった。透明ないい声だと思うけど・・・「ドイツの高地」「ポンチャトレーン湖」。

地面に楔を挿しながら、牧場を作っていっている、聴きながらそんな光景が目の前に何故か広がっていた。

21:15。
最後に4人で合奏。須山の3枚目のアルバムにある「やぎのコンウェル」。帰ってCDを聴いたら確かに吉田の声は浮いていた。早い曲、マイナーになってど演歌のメロディーが流れるのが不思議。
マイウエイとかはしませんよ、でも。ということで、グリーンスリーブスを須山が歌う。緑の袖の男性を思い・・でも途中から、彼女のオリジナルな世界へ。このまちはまるで海の底・・「黒の舟唄」のようなローアンドローがリフレイン。

そしてまた、菫の花咲く頃でエンディング。終わった時間を記すのを忘れたが、21時半は過ぎていた。

聴いていた人のうちには、ここにもいろんな不思議な人がいるんだなあ、と思っただろう。

落ちつきがなくて、お母さんに叱られてブラインドをがさがさしていた女の子が、紙を与えられるとおとなしくなった。見ると、そこには赤いベレー帽に可愛いスカートの須山公美子、いやあきら君のお母さんがアコルディオンを弾いていた。

彼女はエンピツで聴きたかったのだ。


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