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11/21(日) 
アトリエ劇研主催『つくるおとおどる・a(アー)さんからの手紙』

公演時間は、15:05〜16:48。

京都のアトリエ劇研に着くと、庭に白い椅子が置かれて、野村誠さんが座っている。

公演前とは思えない風情。終わってから、神戸のジーベックホールに行くのだと。「FBI(フェスティバル/ビヨンドイノセンス)'99の」最後の方の「ふちがみとふなとと野村誠piano」の演奏が待っているのだ。

企画した鎌田高美さんがいつになくきちんとしている。開始前の挨拶も礼儀正しい。思ったより若いお客が少ない。もっと10代のこたちが来たらいいのになあ。

宣伝美術(ちらし)は納谷衣美だ。野原のキーボード、鍵盤に置かれた3本の指に、眼がついている。

<美術家と音楽家とダンサーがそれぞれの仕事を即興でします。もしも美術や音楽やダンスが混ざりあったら、何と名付けたらよいのでしょう。>

1997.8に「自動的に絵が描けるようにな」った浜田隆司の虹色の絵(たぶん)がモザイクの壁のように背後にある。それを一部見せるようにしつつ左右に黒い幕がかかっている(後半は黒い幕だけになって、前半に書かれた「自動絵画」(黒と灰色だけで描かれたもの)がその前に置かれる)。上手の側面に絵画。
下手の手前には白い紙が立てられてそこに絵を描けるようにバケツや絵の具、筆やはけが置かれている。

上手の方にはアップライトの茶色のピアノ。舞台奥から3人のじゃんけんぽんの声がして、明るい茶色の頭になったダンスの森裕子が出てくる。床に寝てごろごろ。

前半の野村誠は上田假奈代さんから買った「シビレル」「シビレマシタ」のTシャツ(森がこのシャツで手を拭くので野村が上田假奈代さんに悪いよとかしゃべる場面もあった)。

浜田隆司は、のそっとしている。熊のように動いて(後ろに動くことが多く足元があぶなっかしい)、紙にぐるぐるぐるって線を入れる。初めはマジックインキ、それから「はけ」。

野村はピアノ。自在に鳴らす。日本民謡風のメロディーになったりもする。コカコーラの1.5Pボトル(空)は良く響くので打楽器になる。ピアノの椅子や床を叩く。胴がくびれているのでなぜか低く響くのだ。蓋を開けて空気を抜いたり調節して音程を上下させてもいた。

一つ、客席に渡して叩いてもらう(疲れたら次の人に渡してください、と)。

優しく踊ってくださいと、森裕子が言う。で、野村が踊るが、まるで山下残(口を開けて)。

逆に野村は森に力を入れて踊ってください、と注文したり、激しく暴れる踊りをしてみせたり。その野村の動きを森が真似てみると、なかなかダイナミック。

相撲ダンスというのも二人でした。

いつしか浜田のモノトーンの絵は出来て、森と浜田はいなくなる。ピアノだけに光が当たって、野村誠の即興ソロが鳴っている。ピアノの上部の蓋を開けてみたり、たぶん客席の反応とかも感じながらだろう。

15:50。休憩。鎌田高美が客席の私たち一人一人に封筒に入った手紙を配る。

当日のリーフレットに「手紙配達人:つき山いくよ(20日)、吉原ジュン(21日)、吉本有輝子(22.23日)」となっているけど、この手紙の差出人が吉原ジュンという人なのだろうか。獅子座流星群を見ている人たちのシルエットについて書いてあったように思う。

そのうち、3人も出てきて、この手紙を受け取る。休憩時間に野村誠は、炭酸ペットボトルを買ってきてみんなに飲んでもらう。楽器にしたいのだ。でもコーラのもののようにくびれがないのでうまく響かない。

後半は同じ場所に、一回り小さい紙が立てられ、今度はカラフルな色を使って描く浜田隆司。青で上からするするっと一筆。森裕子は、静謐なダンス、白いワンピース姿。

浜田がとつとつとピアノを両手で弾く。その音を聞いて、客席の後ろにいる野村が、鍵盤ハーモニカでなぞるようにユニゾン的に弾く。でも音程は違う。

なんだかいい感じの合奏になるから不思議。この演奏は野村に制約がある分、心に残る。

逆に、野村が浜田の絵に、同じ青色で人がダンスしているような線を速攻で描く(落書きっぽい)。困る浜田。今日だけだからと弁解する野村。

浜田は、かなり場内をうろうろしてから赤や黄色で少し描く。描くまでにうろうろ運動が必要なのだろう。

それを森が真似たりするのだが、どうしても森の動きはダンスになる。ユニゾンダンスをすればするほど森の足腰のバネが目立っておかしい。

黄色の絵の具を浜田が落とした跡を爪先立って辿る森。雑巾で拭く森。前半はバケツをけ飛ばしたこともあった。

野村誠がピアノ演奏を左手だけにして右手では鍵盤ハーモニカを弾くと、世界が広がって豊かになる。

森裕子の横への直線運動と静止の美しさがよくでるダンス。彼女は緩やかな方がきれいなように今日は思う。

なぜか森が折った紙飛行機が、螺旋を描いてそのまま墜落すると。
同じように上からくるくる降りてくる、浜田の筆は、緑いろ。
野村の鍵盤ハーモニカの音には、夕焼けの匂いがいつしか立ちこめる。


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