Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》welcome to CAP HOUSE
84.
一人でぶらぶら神戸の元町駅を北に上る。
急な坂をあがると、もう半年も続いたCAP HOUSE(99.11.3-00.5.10)の垂幕が見える。受付で1000円を払い、特製の透明なwelcome to CAP HOUSEというbookをもらう。赤い風船も所望すればもらえたかも知れない。これはまたCAPARTY Vol.8でもある。
このbookは初めと終わりに文章が入っていて、真ん中は展示室に置かれたハガキ大のカードを自由に差し込んで完成させるようになっている。まず、カレンダーには手書きの1行できごと日記が書き込まれている。
続いて原久子の文章。
《・・これまで既にあるアーティスト・イン・レジデンスでは、アーティストの自発的な行為というより、あらかじめ用意されたプログラムにしたがってアーティストが一定期間仕事をすることが強いられることがある。アートセンターでは短期間のイベントによって、その成果の一部を見ることが許されたに過ぎないが、CAP HOUSEとこれまでの場との決定的な違いは、すべてを見せてしまっていることと、成果の発表についてもアーティストの自発的な行為と、方法に任せているというところだろうか。》
今日は、実は夕方から来て、19時から始まるkahmというグループによるダンスとパフォーマンス『穴』を見るのが一番賢い訪問の仕方ではあった。野点の木村俊郎じんじんは体調を崩したらしくて「野点」はお休みだったし(ラストは見えたそうだ)。
パーソナルミュージックパーティ番外篇は、どこでやっているのか判らないぐらい独自で廊下でやっていた。
Ken Kohdaさんがやっていたのは、キウイやリンゴを半分に割ってそこから何らかの電圧の違い?による信号を取って、音楽にしようとするもの。外すときに太い音が鳴ってなんだか生き物のようだ。オレンジを切るとすごい香。あきゑさんやこの前精華小に視察に来ていた男性もやっている。
岩淵拓郎(ブッチー)さんは階段でおもちゃの鳴るビニールシートをぐにゃぐにゃにして変な音を出していた。彼はまぐまぐの日記配信を4月初めにやめたことをとても残念に思っていた。けど、それでもよく続いたしデジカム写真はとり続けているから大したものだ。ぼくだって、この日記を全部毎日配信しようと思えば憂鬱になるだろう。
ブッチー企画による「星直樹デビュー曲発表会」が1Fリビングルームで16時から始まる。メリケン波止場でチュチュチュ?(ここには、麦酒や豚まんが売られているきれいなカフェ、本棚あり。テーブルではCAP代表の杉山知子さんがCAP PAPERvol.4の相談をしている。)
すでにプロモーションビデオがモニターから流れているし、椿組によってCDも製造されている。14時からのギャラリーツアーで、椿昇さんから明かにされたように、椿組のパソコンなどを使ってすべてCAP HOUSE内で作られたもので、作業人件費などをカウントしないならシングルCDは90円でできちゃうらしい)。
2階には、CAP GALLERY。藤本由紀夫の企画である。広いぼんやりした空間に、倉地久美子や杉山知子、藤本由紀夫、塚脇淳らの作品がかかっていたり置かれている。木村望美の回転するアクリルの羽、奥にはほんとの水と分子のH2Oをテーマにした樋口よう子の作品などがある。
あと、イラストレーターNAOKO TANIのアルファベットをテーマにしたかわいい部屋、キッズアートスタディの木村健の部屋など。椿組の部屋の前にはパソコンが並んでそこでごろごろパソコンのワークショップ。球体を変形するソフトは驚きだ(誘われたのに断って残念なことをした)。
3階は作家のアトリエ的な感じでもあるし、作品とともに作者と訪問者が語る交流ルームでもある。倉地久美子さんは、棚や押入をとっぱらって(本業は大工さんのベンジャミン内村さんらが活躍)、彼女の作品と同じくミニマムぽい部屋を作っている。でも棚の跡が残っていて、収容所としての痕跡は逆に強く自分には伝わってくる。
収容部屋の面影を一番留めているのは樋口部屋。古い襖までが残されている。樋口よう子さんは、1月に見たブロックの作品から一転、このブラジル移民センターの残された断片の写真を額に入れ、6か月間に飲まれたドリンクビンやワインボトルなどに、ここの住人や訪問者のアンケートなどの言葉をワープロにして張り付けて並べている。
また、階段にはここの移民センターの歴史が独特の字で書かれていたが、これも彼女の仕業だ。岡山の「自由工場」のことを、私は行かなかったのにとっさに連想させる。
藤本由紀夫さんの部屋に行くと、赤く塗られたテーブルがあったのでお茶を出してもらい、少しくつろぐ。このセンターにあったテーブルや机を持ち込んで赤と青に塗って活用している。棚に置かれた緑のカードには美しい詩。音楽が流れる。藤本さんは話し出す:
《自分のアトリエから持ち込んだものは鞄一つ分しかありません、この部屋は鯉川通りをずっとくだってその先の海まで見える部屋なんです。この部屋をどうしても私は使いたかった。ここに入った人たちはここからあの海に行ってブラジルへ渡って行ったんだなあ、と思えるから。》
藤本さんはもうここには通えないけど(ずっと水曜日は来るようにしていたという)、ここのお客さんで来た人とかがそのうちアーツワークし出す、というような流れが出来ているから、そうやって続くといいとみんな思っている。
杉山知子の部屋は相変わらず綺麗。でも彼女は少女のままの気持ちで描いているんだな、と見回すと思えてくる。若い女性二人が熱心に色鉛筆で何か描いている。邪魔せずにそっとでる。視聴覚室というところに入るとヘッドフォンを貸してくれる。6つの箱があって、ジャックを差し込むと、覗き穴から見える視覚と関係がありそうでなさそうな音が耳元で鳴る。足で何かを踏みつけようとする映像とリンクしているものとか、ミニマムぽい組み合わせ。
ベンジャミン内村さんの映画会を少し観て、中華料理店の並ぶ夕暮れの元町へと降りていく。豚まんを小さな広東料理店で買い、中華料理素材の店で中華菓子とかきんもくせいの花と葉のお茶を買って帰った。帰りは行楽客でいっぱいでその余熱で電車はむっとしていた。
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