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「かなちゃん通信」vol.5

『平安のハナナガ〜はやしカナ展1』

 はやしカナは2000年6月22日から2週間、大阪弁天町のギャラリーはたなかで個展をします。毎日日記をつけておこうと思ってかいてます。

 6月22日 あめ

 今日は初日というのに雨。お客さんの足が遠のくだろうけど、色々準備がととのってないし今日はちょうどいいかも。

最初のお客さんは昨年11月の展示のときも1番だったひとだ。
「まあたくさん持ってきはって・・・」とおっしゃるので、
「描きかけの絵もあるので、まだ増えると思います。今(壁に)かかってる絵も、時々はずしてまた描いてそしてまた戻したりしようと思ってるんです。」
と説明した。展示スペースの一角に透明のビニールシートを敷き、イーゼルも絵の具も用意して、アトリエが作ってあるのだ。そのすぐそばの壁に、
「はやしカナ制作作業中ですけどどうぞゆっくりしてください。助言よろしくお願いします。ちなみに作品は販売致しております。」
と書いて貼っておいたし、これですきなときに絵が描けるし、助言もしてもらえるだろう。
 2人目の方も昨年みえた方。このまえ同様、ゆっくりはなしをした。この方も絵を描く人で、大学のときは東京にいて、多摩美に通っていたそうだ。この近所で幼稚園や自宅でこどもに絵を教えている。
「描けないときってないですか?」
と質問された。
「う〜ん、描けないと言うより描きたくないとき描かないでほっときますねえ。」
この会話で、今自分がそういうことあまり気にしてないってこととか、気にするひともいるんだってことに気がついた。そういえばかかなきゃって思ってたときもあったなあ。特に、課題の締めきりのある学生のときなんか。

 それから間もなく、山崎恵子さんがくる。彼女はこのまえ、ギャラリーのそとに置いてあった招き猫の看板をみて、猫の展覧会と間違えてはいってきた人だ。猫を4匹飼っていて、そのうち1匹はヒヨちゃんといって猫エイズにかかっている。さんぽひもにつないだヒヨちゃんと一緒にみにきてくれる。今回もゆっくり、興味深そうに色々質問してくれる。ヒヨちゃんは、ふだん全然大通りにでてこない。ここは車の音がすごくてちょっと落ち着かないようだ。2人はまた日曜日にきてくれるそうだ。

 前もきてくれた5年生の女の子3人がやってきた。なかでも外山舞ちゃんは、昨日の搬入のときから様子をみにきていた。きっと今回も通って遊びにきてくれるだろう。

 近所の後藤さん、高木さんが続けてやってくる。2人は知り合いで、すこし前に、高木さんがフィリピンに行った話で盛り上がる。カナは傍らで作業をしながら2人の話を聞いていた。ん〜今日は絵の話はでないかしら・・と思っていたら、高木さんおもむろに、
「前に比べて随分ハナナガとかの表情がよくなりましたね。」
と言ってくれたのだった。それは私自身も同感だったので、大変嬉しい。そうなのだ。漫画などもそうだと思うけど、第1巻と最終巻とでは登場人物の顔が全然違う。かけばかくほどキャラクターが深まり、表情がよくなるんだ。

 きっと、前回よりも今回が、でさらに次回はもっとよくなるんでしょう。そりゃ〜嬉しい。

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 「かなちゃん通信」vol.6

『平安のハナナガ〜はやしカナ展2』

 6月23日 はれ

 朝はとても暇。あんまり暇なので、プリントゴッコでペッタンペッタンポストカードを制作した。この作業中はうまいことお客さんは誰もこない。

 午後になって、由利五右衛門さんがやってきた。以前このギャラリーで展示したことのあるひとだ。「制作作業中、助言おねがいします」の文字をみつけてくれる。いろいろ相談して、「ハナナガのお祝い」に焦点を絞ることにした。そのあともお時間があるとのことだったので、将棋絵画を一緒にしませんかとお誘いする。(ちなみに将棋絵画とは、別名わくわく、瞳のおくのおく、などと呼んだりもしてますが、共同絵画の方法です。一人目がなんでもいいから絵を描き、次ぎの人がその絵の一部分を拡大模写して、なおかつ描きたして絵を完成させる。それをなんべんも繰り返していくと、だんだん奥にはいりこんでいくような感じで何枚も絵ができていきます。)それから、やはりこのギャラリーでも展覧会をされている笹岡さんがやってきた。
「私たちいまから絵を描いて遊ぶんですけど笹岡さんもどうですか?」
というと、彼はみているほうがいいとのこと。私と由利さんで共同絵画をした。うん、なかなか面白い。笹岡さんは自転車に乗ってきてのどがからからだったようで、麦茶をがぶがぶしながら横で色々言って笑っていた。

 笹岡さんが帰ってから舞ちゃんがやってくる。しばらく、由利さんと舞ちゃんと3人で、助言してもらったり絵を描いたりして過ごす。

 それから、ヒヨちゃん家の山崎智子さん(恵子さんの妹さん)、常連の青木さん、はじめてきたっぽい若い男の人、と立て続けにお客さんが来て慌ただしくなった。若い男の人はかなり興味を持ってくれたようで、由利さんが見ていた私のファイルを一緒にのぞきこんでくれたり、積極的に質問してくれたり、ポストカードも買ってくれた。
 由利さんと舞ちゃんが残って、助言の続きをしてくれる。きょう1日で「ハナナガのお祝い」は、とてもよくなった。おかげで、特にその周りの絵を、もっとよくしたいなあと思った。

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 「かなちゃん通信」vol.7

『平安のハナナガ〜はやしカナ展3』

 6月24日 はれ

 今日は、ギャラリーが開く11時より前に舞ちゃんがやって来た。そうか、土曜日は学校がお休みなんだ!

 舞ちゃんは来るなり、

「うわ、あつい。1回うち帰ってお風呂入ってくるわ」と言って帰って行き、服を変えてぬれた髪で戻ってきた。しばらくの間、カナは日記をつけ、舞ちゃんは絵を描いて、ゆったり過ごす。

 舞ちゃんはこのあとお昼を食べに帰った。

 そのあと、若いご夫婦がやって来た。選挙の不在者投票をしに区役所にきたついでによってみたらしい。このギャラリーはたなかを、区の新聞の記事でみて、1度きてみようと思っていた、とのこと。この新聞は、結構たくさんのひとが読んでいるらしい。それにしても2人ともひかえめな人だ。麦茶を出したら恐縮されてしまった。ギャラリーとか、あまりきたことないのかな?それに2人とも声がちいさい。別に自信がなさそうというわけではないが、おとなしい。特に奥さんは、直接カナには話さない感じ。旦那さんにささやいて、彼の口からカナに伝わる。直接聞こうとすると、身をのりだすことになる。

 それでも、ちょっとずつ雰囲気をゆるませるように努めると、特に旦那さんのほうはだいぶ話がはずんできた(きまずかったってわけではないけど)。そこへ舞ちゃんが戻ってきて、さらになごむ。まだタイトルが決まっていない絵のタイトルを考えたい、と相談をもちかけた。絵をみながら、
「このハナナガは憂鬱そうですね。この2人のハナナガは仲がいいんですか?(連なっていないと移動のできなかったハナナガが)独立するようになったキッカケは、この列に時々まざっている悪いハナナガが原因なのではないですか?」
というふうに、いいことをた〜くさんいってくれる。タイトル2つも決まった。新作にもつながりそうだ。

 2人が帰ってすこしすると、昨日の由利さんがきてくれた。
「いやー、あのあと絵がどうなったか気になって」
と由利さん。う〜ん、嬉しい限りだ。しかも、
「楽しくて時間がたつのを忘れる」
とのこと。確かに昨日は忘れてたかも。由利さん6時間くらいいたもんな。はたなかさんも呼んで、4人で、楽しく過ごす。絵で遊んだり、おしゃべりしたり、助言してもらって新しく”異国のハナナガ”という絵ができたり。由利さんは、自分の搬入の為に帰っていった。

 友人の日野さんが京都からきてくれたが、15分くらいで行かなければならないという。今、大阪のどこかでやっているフェルメール展をみにいったら、3時間も待たされてしまったそうだ。そして大幅に時間がずれこんで、このあとの用事までもう間がない。う〜ん日野さ〜ん、1日に3つも、しかもこんなに時間のよめない用事をつめこんじゃって、せっかく来てくれたのに。体もこわしてしまうよ。

 ゆっくりだらだら、暇であることってとても大事だと思う。話が面白い方向へいったり、新しいことが発見できるときって、大体ゆとりがあるときだ。時間のゆとりが、気持ちのゆとりを作るってことが、とても大事だと思う。

 そういえば由利さんすごいな。笹岡さんもそうだけど、今自分の展覧会を2つも3つもかけもちしてる。そんなのすごい忙しそうなんだけど、2人とも余裕がある。
「えーそんなスケジュールじゃお忙しいんじゃないですか?」
とか言っても、まあ、大丈夫、のようなお返事。今ここにいるうちはそれを楽しむ、という姿勢が、感じられる。

 ほどなく、買い物のたのまれごとを済ませて、舞ちゃんが戻ってきた。彼女はまたすぐ制作にとりかかる。この期間このギャラリーは、もはや舞ちゃんとカナの共同アトリエだ。時にはそれぞれもくもくと作業したり、お互いの助言をしあったり、展示を一緒に変えてみたりと、とてもいい関係だ。舞ちゃんはふだん家ではこんなには絵を描かないそうだ。ここへ来ると、どこをみても絵ばっかりで描きたい気分になるらしい。毎日わざわざここへ来てハナナガ関連の絵を描くのだ。今日は、そのあまりの制作意欲に関心したはたなかさんが、舞ちゃんに紙をプレゼントした。その紙でハナナガこものいれまで作ってしまった。すごい。しかも絵もすごくいいのだ。

 すこしして、近所の山岡さんという奥さんがやってくる。常連さんだがカナは初めて。とてもにこやかで、自信に満ちているようにみえて、でもそれが全然強烈でなく、嫌みな感じもまったくない。

「こうやって、作っているところをみせてるのって、すごくいいことだと思うわ。でもとても勇気のいることなんだと思う。だってみんなやってないものね。」

そうか。そういえば、じぶんが描いてるところみられるの絶対いやだって人もいるなあ。カナは逆に、誰かに助言してもらいながら描くととてもいいんだけど。1人で集中してぐわ〜っと描くのも、よくなるときもあるんだけど、いい意味の冷静さが失われるときがある。だから、たくさんの絵をちょっとずつ描くのがいいんじゃないかな〜と思ってるし、人にすぐそばにいてもらって色々言ってもらうと、1人じゃ気が付かないことにもきづくことができる。もちろん1人の時間もあってこそだと思うけど。

 話をしてるうちにわかったが、山岡さんは、染色や陶芸をするひとだった。
「作品って終わりがないと思うわ。」
と山岡さん。絵の場合、一度完成と思った作品でも、思い立ったときにつづけて描けるが、染色や陶芸はそうはいかない。できあがったものに100%納得いくことはなかなかむずかしいが、仕方なく次にすすまざるをえない、とのこと。なるほど。

 このあとはたなかさんもきて3人で色々お話する。なかでも印象に残っているはなしがある。山岡さんが染色の先生をしてたときのこと。生徒たちがかげで、「先生は環境に恵まれてるから、なんでもうまくいくんだ。先生は自分を中心に世界がまわってる」というふうに言っていたらしい。まあなんとも勝手な生徒たちだなあ。

 山岡さんは、いつも明るく、前向きなひとだから、そういうふうにみられてしまったのだが、実際そのころは、彼女にとってとてもキツイことがいろいろあったのだそうだ。生徒たちにそれを話したら驚かれたという。ああ、腹がたつなあ。そのひとがどんなに自分の力を駆使して、自分にとっていい環境をつくろうと努めてるか、なんて考えもしないで、勝手にひとのことを決めつけて。ただのやっかみじゃないか!別に1人で思ってるぶんにはかまわないけど、口にだすのにはあきれる。そんなこといってる間に、自分も正直になって努力したらいいのに。でも、弱いんだろうなあ、そのひとたちは。逆に、やっかみでそういうふうに言われてしまうひとたちもそうやって攻撃されることを覚悟をする必要があるし、かわしていく工夫がいるんだろうなあ・・・

 山岡さん、魅力的なひとだと思うなあ。お話してると、考えさせられることが色々でてきて面白かった。


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 「かなちゃん通信」vol.8

『平安のハナナガ〜はやしカナ展4』

 6月25日 はれのちくもり、のち夕立

 今朝は舞ちゃんが10:30にきた。やる気満々だ。まだ開いてないブラインドすきまから、
「カナさん、おる?」
「おるよ」
しかし、きて5分としないうちに、
「今日も暑いな。舞ちゃんまたお風呂はいってくるわ」と言って帰っていき、また服を変えてぬれた髪であっというまに戻ってきた。

 2人とも時々しゃべりながら絵を描く。そうしてると、お客さんがやってきた。にこやかだが強そうなおじさんだ。
「すいません、みせてもらってもいいですか?」
と、とてもていねい。ゆ〜っくりじ〜っくりみてくれる。そしてカナの作業してる近くの椅子にすわり、こう言った。
「いや〜とても暖かい感じのするいい絵ですねえ。心が暖かくなりますわ」
「うわ、ありがとうございます。嬉しいです。」
すごく素朴で純粋な感じのひとだなあ。高野さんといって、お仕事は現役の船長さん。年齢は75歳だが、55歳くらいにみえる。組合でも先頭にたって、随分活躍されたようだ。結婚前は、サハリンの氷だらけの海をいくなどの危険な仕事もしていたため、学校の校長先生などの3倍以上の給料をもらえたらしいが、大変で立派な仕事だなあ。

 彼は絵も描くし、自費出版で本も作ったそうだ。「小学校しかでてないが、ひとの3倍勉強した」とのこと。非常に真面目で、努力家なひとのようだ。書いた本を夕方みせにきてくださるって。楽しみだ。

 ほどなく、住田有子さん、阪本佳子さんと娘の響ちゃん、息子の良介くんがやってきた。有子さんと佳子さんは双子の姉妹だ。このひとたちはとても面白く、また面白がってくれるので、絵や話が一気に変わっていったりすることが多い。絵をみながら、4人でああだこうだと盛り上がる様子がとても面白い。そこへ、京都市立芸大の濱田さん、ヒヨちゃん家の山崎恵子さんが立て続けにやってきた。なんと、前回の展覧会の「uniこのお葬式」に立ち会ってくれたひとが3人も。面白いことが起こりそう。

つづく  

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 「かなちゃん通信」vol.9

『平安のハナナガ〜はやしカナ展5』

 6月25日のつづき

 大きなハナナガがいるところに小さなハナナガが降ってくる絵があって、まだタイトルが決まっていない。有子さん、佳子さんに相談すると、有子さんから思いがけない提案。
「なあ、まだ描いてなくてタイトルだけ決まってるのもあるん?」
「ありますねー。ハナナガのストレッチ、満員電車のハナナガ、妖怪ハナナガ、ハナナガのハナ掃除・・・などなど」
「それな、このあとこういうのが増えてきますって予告みたくどこか書いといたら、楽しみなんちゃう」
なるほど。近日中に実行しよう。

 ハナナガの降ってくる絵のタイトルが決まった。「ハナナガの結晶」だ。うーん、いいな。

 前回お葬式した絵のほうに、話はうつる。この絵にも小さいハナナガが降ってきている。この小さいのが「結晶」ということに決まったので、絵がまた違ってみえてくるのでは、とみんなで絵をのぞきこむ(さすが、今いるひとたちはお葬式に立ち会ってくれているだけに、こういう状況に慣れている。話がはやい)。

 まずヌーヌー大王を消してみることにする。ほかの絵に描きうつしてから、ヌーヌーを消した。私は、いちどちゃんとお葬式をしたせいか、上から描いて下のものを消してしまうことがそんなにつらくなくなっていた。もっといい絵に生まれ変わらせられるのならそっちのほうがいいと、さらっと思えるようになったのだ。

 しばらく考えて色が違うなと思ったので、赤茶色の部分を青白くしてみた。そのうえ、ほかのものを画面に登場させよう、ということになり、「ぞうとハナナガ」という絵にでてくるぞうを描くことにした。

 すると・・・す、すごい。ふみしめるぞうのハナから水がでて、ハナナガの行列は荒波のなかを急ぎ足で逃げていく。降っていたようにみえた小さいハナナガは、振動で舞い上がっているようだ。そして、ちょうどこの洪水を描いているとき、外で降りだしたいた夕立がしめしあわせたようにさらに強烈になったものだから、なんとも世界はうまくできているものだと感心した。

 今日はこの絵はこれ以上いじるのはやめて、また壁にかけた。ここで山崎さんは、
「また来ます」
と言って帰っていった。

佳子さんがかえり際に
「はがき注文してもいいですか?」という。もちろん。今回はおおっぴらにはやってないが、私は前から、あれこれ注文を言ってもらいながらオーダーメイドではがきを描く、というのをやっている。今回の注文は「ハナナガの結晶」をそのままの感じで描いて欲しいとのこと。ハイ、描いておきます。

つづく

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 「かなちゃん通信」vol.10

『平安のハナナガ〜はやしカナ展6』

 6月25日 さらにつづき。

 有子さんたちが帰ってから濱田さんが、
「私もはがき頼んでいいですか」という。注文は、「平安のハナナガ」だ。絵の具が厚いので、かわかすのにゆっくり待ってもらう。そこへ、友達と2時間ほど遊びにいっていた舞ちゃんが戻ってきた。
「舞ちゃんみて、この絵」
「(ぞうの洪水の絵をみて)ああっ、変わった!」
彼女はほとんどここにいたのに、ちょっといない隙に一気に変わってしまったりするんだから面白いものだ。

 若い男の人が入ってきた。寺井さんといい、絵を描くひとだ。ライブペインティングなんかもするらしい。展覧会をするいい場所を探してて、ここはどうかしらと思ってみにきたのだそうだ。ハナナガとかを面白がってくれているようで、色々思うところを話してくれるので興味深い。
 濱田さんが帰ってすこしすると、高野さんが本をもってきてくれる。おや、そのすぐあとに山崎恵子さんも戻ってきた。
「30日演奏を聞きに来ようと思うので、一緒に演奏する野村さんってどんな人かすこし知っておきたいし、これ買いますわ」
といって山崎さんは、「路上日記(CDブック、野村誠著、ペヨトル工房、2800円。カナは、中の似顔絵コーナーを描いたり、CDの演奏に参加してたりして、本文にもたくさんでてくる)」を買ってくれて帰っていった。

 みんなで、高野さんの絵の写真をみたり、寺井さんの作品のDMをみせてもらったり。はたなかさんも一緒におしゃべり。

 寺井さんがカナの作品やファイルをみて、こんなことを言っていた。

「いや正直なところ、もしカナさんが最初からハナナガとかばっかり描いてたら、ん?と思うかもしれないんですけど、こういうの(いわゆる基礎デッサン風)も描けた上で描いてるから(納得がいく)」

 彼は、「こういう絵」を習ったことはないそうだ。だから、羨ましく思うという。素直だ、とても好感のもてるひとだなあ。でもべつに、「こういう絵」が描けようが描けまいが、いいものはいい、とカナは思うが。

 カナの楽器を色々もちだして、太鼓ととりぶえ(スライドホイッスル)でセッションもした。いい感じだ。このひとと何か一緒にできそうだなあ。しかも彼は嬉しいことに、芳名帳にこんなことを書き残してくれていた。
「今月、カナさんと、このギャラリーに出会えて幸福です。今後ともよろしく」
嬉しい。

 小暮宣雄さんがやってくる。
「この展覧会の日記みましたよ」
という。う、はずかしい・・・。なんかマズイことかいてなかったっけ。

 おみやげをもってきてくれた。沖縄の「はちゃぐみ」という米のお菓子をみんなで食べ、高野さん、はたなかさんと4人でおしゃべり。このお菓子は大正区で買ったそうだ。大正区には沖縄出身のひとがなぜかたくさん住んでいるそうで、沖縄系のお店もいっぱいあるんだって。ドームみたいなところができていて、そこでの催しをみてきたのだそうだ。

 小暮さんは、私が初めてギャラリーはたなかで展示させてもらったときにきてくれていて、当時の話をしてくれる。そのときは「ひねもすふわり」というグループ展で、イーゼルをもちこんだりはしなかったが、はがきのオーダーメイドを受けてサインペンやマーカーで描いたりしていた。

 そのときの小暮さんの注文はご両親へのおみやげで、おとうさんには「老人コーラス(なんじゃそりゃ)」。コーラスが大好きではまってるんだって。おかあさんは、そうとうなカエル好きだから「3びきのカエル」を描いた。

 それを聞いて思い出し、自分が今に至るながれがみえて、なんというか、ふ〜むふむふむ、と思ってしまった。私は、作品ファイルをちゃんとまとめてない。大学6年間のぶんは、すごくみづらいが一応まとまっている。でもそのあともまとめないとなあ。その作業をすると、また新しくみえてくるものもあるだろうし。小暮さんが前の展示の話をしてくれたので、そんなことに気がついた。

 そうこうしてるうちに7時。今日はカナもいくところがあったので、小暮さんと一緒に駅にむかった。

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 「かなちゃん通信」vol.11

『平安のハナナガ〜はやしカナ展7』

 6月26日 はれ

 今日は月曜日だし、きっと暇だろう。午前中は日記をつけた。昨日は色々なことがあって、日記がなが〜い。

 12時ちょっと前に野村誠氏がくる。野村くんには、30日に一緒に演奏してもらう。おひるごはんを食べてから、彼は身の周りの用事をはじめた。仕事で韓国にいって、帰ってきた1日後にもう関西に来たので、ガス代を払ったり、写真を現像したり、郵便局にいったりと忙しそうだ。ひとだんらくしたところで、色々と助言を求める。

 まずは、絵の値段。世の中のほかの美術作品がどーだろーとか、もとがとれるかどうかとか、自分が思う価値だとか、そういうことを一切無視して金額を考えてみる。
「大概のお客さんは、ごはん食べるとかCD買うとかと同じ感覚で考えるはずだから、そう考えるとこれだと高いよね。欲しい、と思ってくれたひとが買える値段がいいと思うよ。この値段だったら、僕やったら買うかなって金額言ってってみようか」
書いてあった金額を修正液で消し、一応相談しながら、言われた金額をどんどん書いていってみた。おお、確かにこのくらいなら、気にいった人は買うかも。自分自身を考えてもそうだなあ。8000円だとちょっときついが、5000円札1枚ならだしてもいい、ってこととかあるもんね。そうして、6000円だったものが4000円とか2000円になり、3000円4000円だったものが1000円。8000円が5000円とか。一斉大幅値下げをはたしたのだった。そうだよね、高いのが少々売れるより、安くて完売したらそっちのほうがいいもんね。それに、絵ってやっぱりそう簡単に売れるものではないと思うし。

 それにしても、今日は徹底的にお客さんがすくない。夕方までにきたほかのお客さんは4人。しかもみんな長居はしない。そういえば今日は舞ちゃんもこない、展覧会始まってから初めてのことだ。だから野村くんにたくさん助言をもらうことにする。

 変わったばかりの、ハナナガとぞうと洪水の絵にだいぶ驚いてくれたようだ。
「う〜ん、この絵いいねえ。このぞうとかみてると、ほかのはまだ表情がかたいよね。ちいさい絵とかでも、これくらい何にもとらわれずに描けてたらいいと思うよ。
とか、
「とにかく、例えばこれ(ハナナガ探検隊)とか、ハナナガが中途半端で全然魅力的じゃないんだから、もう昔のは消して、違うの描いちゃったら!?とにかく完成させようとか思わずぶちこわしていくに限ると思うよ」
さすが野村氏。過激だが、言ってることは大当たりだと思うし、その意見には大賛成である。どんどん実行していく。「ハナナガ探検隊」はほぼみる影もなくなり、「うしとぞう」が誕生する。「月をみているハナナガ」は、描き足してよくなったなあ。それから、まだみるからに途中、という感じの絵が床に(一応お客さんにもみえるように)10枚程おいてあったのだが、2回以上きてくれるひとが変化がわかって楽しめるように、今あるぶんは全部飾ってしまった。色鉛筆の絵がまばらに貼ってあったところを、近付けて揃えて貼り、主にそのへんに、床にあったものをかけていった。

 うん、よくなったなあ。それに今日はプリントゴッコのハガキの下描きもできあがったし、いろいろよかったなあ。

 野村くんが、山辺さんが作ってくれたCDをもってきてくれた。今回譜面を展示してあるが、将棋作曲の曲である。山辺義大、野村誠、林加奈作曲の「日没の海」という曲。うん、なかなかいい曲だなあ。

 今日野村くんはこのあとマルガサリの練習に行くという。マルガサリは、京都芸大で先生などもしている中川真さんの主催するジャワガムランのグループだ。もうすぐ東京でコンサートがあるのだが、野村くんは新曲を頼まれている(野村氏は作曲家)。その新曲に、カナも出演させてもらうのだ。さすがにそろそろ練習にくわわらないとな〜とちょうど思っていたので、5時30分ごろ、あとをはたなかさんにお願いして、一緒に練習場のある豊能町へむかった。

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 「かなちゃん通信」vol.12

『平安のハナナガ〜はやしカナ展8』

 6月27日 くもり時々はれ、夜は雨だった。

 今朝は、プリントゴッコでつくるハガキがやっとできあがった。版画ってやっぱり面白いな。手描きや、もちろんカラーコピーではだせない、い〜い味わい。

 朝、小暮宣雄さんからの郵便が届いた。カナとはたなかさんにそれぞれ、小暮さんのつれづれ日記2か月ぶんを送ってくれたのだ。しかも、ついおとといのぶんももうはいっている。「弁天町で林加奈さんに会って、彼女の日記にいれてもらおうかな・・・」という書き出しのところから23行にわたって、この展覧会についてふれてくれている。それにしても小暮さん、確か1時間くらいしかいなかったし、それに船長の高野さんとずっと話してたのに、よくこんなにちゃんと書けてるなあ。

もう何年も日記を書きつづけているし、さすがだ。またこられたら来て欲しいな。

特に午前中や午後いちならの〜んびり。あ、でも仕事があるのか。

 朝のうちはたなかさんが、野村誠くんのおいていったチラシをみつける。彼の作った「たまごをもっていえでする」という曲のことをすこし説明した。色々なひとの5才の頃の夢を聞いて、それが歌詞になって、曲の中に登場するのだ。はたなかさんは5才の夢をはっきり覚えていた。彼女の5才の夢は、新聞をくばるひと。よくざぶとんを折ってこわきにかかえ、「しんぶ〜ん、しんぶ〜ん」と言いながら、家のなかをぱたぱたはしりまわっていたんだって。すごく想像できる。かわいいなあ。

 お昼すぎまでは誰もこない。でもここにいると退屈はしない。絵を描いたり日記を書いたり、考えたり外をながめたりウトウトしたり。

 2時すぎくらいに若い女のひと(雰囲気はどちらかというと女の子という感じ)が、とても明るくはいってくる。

「わあかわいいですねえ。私よくはがきとか集めてるんですよ。で、ここのギャラリーっていつも扉しまってて誰もいなくて、でも、あー今日はあいてるーと思って入ってみたんですよー。あ、でもひとがいるっていうのはここくるまで気付かなかったんですけど」

なんだか、とてもとおりのよいひとで、話がはずむ。舞ちゃんが描いた作品群をみせると、自分もかきたくなったようだ。カナは自分の作業をし、彼女もなにか描き

はじめる。しばらくしてのぞいてみると、おおっと、なんとアポロ(チョコ)ハナナガを描いているではないか。面白いぞこのひと。しかし、すでに展示してある

「ハナナガアイスキャンディー」に気がついてくやしがる。で、くやしいからもう1枚、とふえていく。このひとは、営業の仕事の最中によってくれた。今さっきの営業先のひとが自分とあわず、ちょっといやな思いをしてしまったらしいが、絵を描いているうちにふっとんだという。よかった。彼女は1時間くらいいて、リフレッシュしてから仕事に戻っていった。

 30〜40分して、おそらく20代半ばの男性。彼も仕事の移動中で5分しかいられないけど、絵が気になってはいってきてくれたそうだ。お年寄りの家にいって、色々とケアをするお仕事だって。またゆっくりきてくださいね。

 それから、23日にはがきを買ってくれた若い男性がまたきてくれた。丸山さんという。あのときはひとが多かったけど、今日ならゆっくりはなせそう。

「絵、だいぶ変わりましたね。あれも、これも。」
「この絵変わったのわかります?(以前お葬式をした絵。ぞうが登場したところ)」
「あ、ほんとだ。ぞうが」
彼は、新しく展示した「ハナナガタワーにのぼるハナナガ」が気になるらしい。
「あれ、なんかいいですね。大きいのがきたなって感じで」
話をしてるうちに、「うまき模写とハナナガ」に手をいれてみることにする。う〜ん、さっきまで描いてあったのがほとんどきえてしまったな。でもよくなった気がする。ちょっとやすんでお茶を飲む。丸山さんが机上にあった、小暮さんのつれづれ日記をみつける。小暮さんの説明をしながらパラパラと日記を一緒にひろい読みしていると、丸山さんが通っている学校の先生の名前がみつかった。椿昇さんだ(5/4)。わりと小人数な学校で、椿昇さんと学生たちが、色々な企画をうちたてたり、実行したりするらしい。面白そうだな。

 丸山さんは結構ゆっくりしていってくれた。色々話できてよかったなあ。近所だし、またきてくれるかも。

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 「かなちゃん通信」vol.13

『平安のハナナガ〜はやしカナ展9』

 6月29日 はれかくもり

 休みあけ、展覧会も後半にはいった。あさ、ひょうたんオーケストラプロジェクトの奥田扇久さんから郵便がとどいていた。あ、HOP(ひょうたん・オーケストラ・プロジェクト)通信だ。6月4日に「さきらフェスティバル」でひらいたひょうたん笛づくりワークショップは大盛況だったようだ。またHOPの皆さんと曲つくったり演奏したりしたいなあ。カナも今年は、HOPの森さんにもらった苗を植えて、ひょうたんを育てている。展覧会中は友達に世話を頼んであるが、よく育っているだろうか。

 はたなかさんが、朝あうとすぐ、
「カナさ〜ん、あとで暇なときにこれ考えてみてくれます?」
という。はたなか家の三女、内子さんが大学で聞いてきたクイズで、はたなかさんは昨日寝る直前にこれを聞かされ、答えが気になってなかなか寝付けなかったそうだ。このクイズは結構たいへんそうだ。

 ある家族がいて、父、母、息子2人、娘2人、召し使い、犬(犬も1人と数える)の8人である。川の向こう岸からこっち岸へ渡りたい。ボートは1槽、2人乗りで、漕げるのは父、母、召し使いの3人。ただし、恐ろしい条件がついている。1、父は母がいないと息子を殺す。2、母は父がいないと娘を殺す。3、犬は召し使いがいないと家族を殺す。以上の条件をふまえて、全員生きて川を渡るにはどうすればよいか。

 これを聞いてびっくり。こんな家族・・・無事に渡れたって、そのあと暮らすのに不便じゃないか。父と母はひとりでトイレにもいけないし、だいたいなんでこんな犬を飼ってるの?

 まあクイズだし。ひとりでかんがえてるとゆきづまるので、はたなかさんと一緒に考える。あわわ、これじゃむすこが死ぬ。あわわこれじゃ娘が死ぬ。結構色々苦労して、と、とけたのだ。やったあ、すっきりした。これではたなかさんも眠れる。

 午後になってもお客さんがこない。はたなかさんに、老人ホームのお年寄りと一緒に音楽を作ってる話などをしているとお客さんがみえた。
「私絵みると元気でんねん(もちろん、気にいった絵、いい絵)」
彼女は西濱ハルエさん。へびどし70才。
「今おとうちゃんとケンカしてきたんやけど、こ絵みてたら元気でてきたわ」
なんでも、年の近い親しいひとが亡くなって、そろそろ私らもお葬式のこととか考えなあかんね、という風に言ったら、死ぬ死ぬゆうなー、と怒って話してくれないのだそうだ。
「そんなことゆうたかて、みんないつかは死ぬんやからなあ。若く死ぬひともおるんやし明日のことはわからへんで」
うんうんそのとおり。怖がったり寂しがったりそりゃあするけど、考えるのは大事だよー。
「こんなん初めてみたわ(絵のこと)。面白いなー、元気でるなー」
そういいながら、これもあれもとはがきをたくさん選んでくれる。暑中見舞いにだしてあげたいから、涼しそうなのを、とかなりこだわってらっしゃる。

 もうひとつ印象的な話。なんでも、彼女には、お互いをとてもわかりあえてる従兄弟がいるのだそうだ。血が濃いとよくないと思い、一緒にはならなかった。彼は絵を描くひとで、昔ハルエさんをモデルに絵を描いたことがあり、それがすごくいい絵なんだそうだ。ハルエさんはその絵が欲しくて「ちょうだい」となんべんもいうが、彼は「宝ものだからダメー」というんだって。しかも、ハルエさんがその従兄弟の家を尋ねていくと、いまだに奥さんはしっとしてしまうらしい。なんだかとても、どきどきするはなしだなあ。

 しばらくして舞ちゃんがやってきた。
「舞ちゃんひさしぶり、どっかいっとったん?」
カナは舞ちゃん相手だと、最近関西弁がでるようになってきている。舞ちゃんは、ギャラリーがおやすみの水曜日のまえ、2日間もこなかった。それまで毎日きてたので、たった2日でもちょと心配してたのだが、その日は友達と遊んでたんだって。なんでもなくてよかった。

 しばらくしてやってきたのは、北野さんという女性。あとからきいたら、ハルエさんと同じへびどし70才。でも2人とも、きりっとしてしゃんとして、年令そのものを感じさせないなあ。北野さんも面白がってくれているようだ。はたなかさんもでてきてみんなでおしゃべり。北野さんはいう。

「なんかちょっとバックの色がキツイ感じすんねん。ハナナガって空想の生き物やろ。森とか現実の場所やし、卵たべてるのも現実的やん。なんかせっかく空想なんやから空想の場所のほうがええんちゃう?ああ、でもあんたにとっては現実なんやもんなあ」

つまりはどういうことをおっしゃりたいのか知りたかったので、つっこんで聞き出したところ、どうやら色の対比がきつかったり、線がつよかったりが原因で、雰囲気がキツイ絵が多いと思う、ということらしい。話の中で「ハナナガの独立」という絵をみせたら、

「ああ、これや、これやったらキツくない」

とのことだった。カナとしてはどうしたいのかというと、欲張りなんで両方したい。両方つーか全部したい。

 そうこうしてたらお客さん、と、ありゃ?由利さん!?今日は自分の展覧会場にいるのでは??

 じつは昼間、ギャラリーはたなかに由利さんから電話があった。地下のギャラリーでお客さんぜんぜんこないし、ギャラリーのオーナーとはうまがあわない。すっかり滅入って逃げてきたそうだ。

 そのあとはみんなで絵を描いたりしてすごす。由利さんは、こんなことをいっていた。
「あーもーやっぱりここがいいですわ、絵描くのが楽しい。でもこういう色鉛筆とかもしあっちのギャラリーにあっても、絶対描いたりしないですよ。やっぱここがそういう雰囲気なんですわ。それに展覧会するならもう、ぜったいここ!」
うん、そうか。うん、嬉しいが、でも由利さん、自分の展示のほう、我慢したり、オーナーとの関係も工夫したりできると思うよ。ちなみにはたなかさんいわく、このひとはすごーくひととしゃべりたいひとのようだ。あっちのギャラリーで誰とも話せず、堪えられなくなったんだなあ。
 このあと舞ちゃんがすばらしいものを作った。ハナナガ新聞だ。中にはやしカナさんのコメントという欄があった。
「外山舞さんのコメントは?」
というとコメントをいれてくれた。さて、できあがった新聞をみてみよう。
「こんにちは、ハナナガ新聞です。このギャラリには、いろいろなハナナガがいます。私が初めて、カワイイ、と思ったのが「ハナナガの青春」という絵です(その絵が描いてあり、批評家ハナナガがカワイイネ!!カワイイネ!!と言っている)。フワフワ〜としていてとてもフワフワと青春てきおうしていますね(風呂であったまるハナナガのイラスト)」そして、「ハナナガタワーにのぼるハナナガ」がおおみだしで、写真(イラスト)でっかい。 

 そして、舞ちゃんのコメント。「トヤママイです。私はトマトと学校でいわれて、みんなとわらって「えもかいて〜」とよくいわれています。ギャラリーを大人になったらつくりたいなあ(ハート)」

  ワオ!たのもしい、嬉しい。なんでもお父さんが不動産屋さんで、ギャラリーを建ててくれるんだって。たのしみだ。 

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 「かなちゃん通信」vol.14

『平安のハナナガ〜はやしカナ展10』

 6月30日 朝あめ、あとははれ

 今日は朝1番にマルガサリ(ガムラングループ)の代表、中川真さんと、みんぱくの仕事で一緒だった筒井はる香ちゃんがきてくれた。でも2人ともあまり時間がないようなので、ちょっと急ぎめに話をする。今回や前回あったこと、この絵がこう変わったとか、お客さんが絵をかいていくとか色々。真さんが、

「じゃあ僕もハナナガ描こうかな」

といって、筒井はる香ハナナガを描いた。そしてそのお礼(お返し?)にはる香ちゃんは真ハナナガを描いたのだが、これがそっくり。笑える。真さんを知ってるひとが来たらみせよう。

 カナは、今日真さんがくると聞いていたので「ガムランをするハナナガ」が描きたくなり、描いておいた。なにがこの絵に足りないか、このあとどうしたらいいか助言してもらう。ちなみに、この絵のガムランはマルガサリのものを描いている。ふつう、たとえばクンプール(市販のフライパンの倍くらいの容量の金属のドラみたいなの)とかは、横にずらっとならべて、面積をとらないような置きかたをするらしいが、マルガサリのは正面をむいている(おそらく、テンポの速い現代曲も演奏するため)それに、ゴング(直径1m?くらいのドラ。ゴングは神様)を吊すものはてつぼうみたいな形をしているが、ここのは日本風に鳥居形だ。

 この絵にたりないのはバナナと、インドネシアに咲いてる赤いはな。ゴングへのお供えものだ。それから中央のクンダン(たいこ)奏者をもうすこし男前に、とのこと(このハナナガは真さんをあらわす)。う〜ん男前ったって・・しかたないのでほかのハナナガは黄色のまま、そのハナナガだけ金色にする。すごいな、なんかキング・オブ・ハナナガって感じ。で、つぎはばちのまわりに赤い布を巻いて・・というふうにどんどん助言をくれる。すると、おお、なんかすごく感じがでてきた。いい絵じゃん。

 それから真さんは、はる香ちゃんとカナにごはんをおごってくれてから、大学で授業をするために帰っていった。

 はる香ちゃんあと30分くらいしかいられないが、ギャラリーにもどってきてから、カナハナナガややくざハナナガ、カナの絵の模写ハナナガがぶどうをたべてるやつなどを、勢力的に完成させていった。おしゃべりして、ファイルもみて、だらだらすごす。時間がきてもしばらくいてくれた。はる香ちゃんは「現代美術のハナナガ」とかを気にいってくれているようだ。はがきを何枚か買ってくれて、授業をうけるために大学へむかった。

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 「かなちゃん通信」vol.15

『平安のハナナガ〜はやしカナ展11』

 6月30日 つづき

 お昼過ぎ、納谷衣美さんがきてくれる。おや、なんか疲れた様子、と思ったら、地図を忘れて(しかも彼女は方向音痴)だいぶ迷ったんだって。そうか、納谷さんにカナの電話番号言ってなかった。ごめん〜。

 麦茶でひといき、どうぞのんびりしてください。絵をみていろいろ話したり、将棋の譜面を、音を聞きながら説明したり。なかでも納谷さんが興味をもったのが、将棋絵画のわくわくだった。と、そこへ、将棋作曲創始者の野村誠氏がきたので、3人で将棋絵画をやってみることにする。納谷さん、野村くん、カナの順番で。

 納谷さんはそーとー面白がっている様子。だんだんできてきた絵を、1枚、2枚と順にみていくと、あはははははと、つぼにはまって大笑い。絵そのものも面白いし、納谷さんの笑いがまた面白くて、あとの2人も大笑い。あははははは。そのとちゅうで舞ちゃんがきた。
「あ、わくわくしとんの?」
舞ちゃんは前回の展覧会でたっぷりやってるのでよく知ってる。

 終了して、床にならべて置いてみる。また笑う。順番にみていくと、どんどん奥にはいりこんでいくようで面白い。また、逆の順番からみてもなかなか面白いのだ。そうこうしていると、近所の橋爪さん(たぶん30代、の男性)がきてくれた。す・ごーーくにこやか〜に
「どうもお知らせありがとうございます。おひさしぶりです。あ、この方が今日一緒に演奏される野村さんですね。どうも。今日5時からでしたっけー」
「へ、いえあの一応6時からで」
このとき4時30分。ひょっとして橋爪さん、演奏を聞いてくれるつもりで、時間を間違えてきたんだ。でもそれならゆっくり待ってもらったら好いし、と思い麦茶をすすめたら、すごい勢いで恐縮&遠慮されてしまった。
「い、いえいえ、ぼくもうかえりますから」

あーっと・・、残念だなあ。ゆっくりお話したかったが。ひとが多くていづらかったのかなあ。彼は繊細なひとで、でかけてくるのに勇気がいる方なのだ。では、またぜひお会いしましょう、とみんなで見送ろうとした瞬間、ごい〜〜んというすさまじい音。ああっ橋爪さん、ガラス戸に思いっきりおでこをぶつけてしまったのだ。い、いたそう。大丈夫ですかと聞くと
「だ、だいじょーぶ、だいじょうぶ。パフォーマンスですよ、パフォーマンス」
と、おどけて帰っていった。笑ってたけど、あれはそうとう無理してると思うな。ぜったいすっごい痛かったと思う。その場にいたひとみんなびっくり。ガラス戸には痛々しい跡がある。あとではたなかさんにはなしたら、ここに、開いてるつもりでぶちあたってしまうひとはほかにもいた、いや、いるらしい。というのは、やらないひとはやらないが、1度やってもまたやってしまうひともいるのだそうだ。はがきや芳名帳を置く机の場所を変えてみたりと工夫するんだけど、やっちゃうひとはやはりやっちゃうのだそうだ。納谷さんは、用事があるのでかえっていった。ゆっくりしてくれてありがとう。

 5時をすぎると、演奏するのにあわせてくるひとたちがどんどんやってくる。前の展示のときお泊まりさせてもらっていた下牧さんが後輩を連れて、作家の飯田くんが友達を連れてきてくれた。山崎恵子さんは体調をくずしてしまい、いかれなくなってしまったと電話をくれた。「路上日記」を買ってCDを聞いて、あわせてうたまでうたっていたのに・・と、とても残念がってくれた。でもからだ治してください。画家で彫刻家の浜田さんもやってきた。近所の後藤さんは今日演奏があると思って、でかけた先できれいにさいていたクチナシを摘んでもらってきてくれた。つき山さんは、友達をまっているのでちょっと遅れると電話をくれた。う〜んだんだん賑わってくるな。

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 「かなちゃん通信」vol.16

『平安のハナナガ〜はやしカナ展12』

 6月30日 さらにつづき

 6時。お客さんは知っているひとが殆どで、しかもギャラリーなので照明があかるいまま。なんかてれくさいな。みんなに手伝ってもらって、ささっと会場作り。ステージはいつもアトリエにしているところ。

 まずさいしょに野村くんが韓国で買ってきた鍵盤ハーモニカの話をし、音を聞かせているうちにだんだん2人とも演奏になる。それがひとだんらくして、今度はこの展覧会の絵についての即興うた。特に、前回お葬式した例の絵が、今回どんなふうに変わっていったかということを語った。みなさんなるほどそうか、と思っていただけたようだ。

 次は野村くんが韓国でしいれてきた手遊び。野村氏はスパルタである。カナは今日5時ごろはじめてこの手遊びをおそわったがすごく難しい。しかも2つも。はい、これ今日やるよといわれて、げげっっと思い、15分ほどではあるがとんでもない集中力で練習したのだ。その甲斐あって、本番は成功! ふ〜。そのあとは、鍵ハモで曲メドレー。あばれんぼう将軍、ガッチャマン、ます、ジェンカ、UFO、イパネマの娘などからサザエさんへ。サザエさんがはじまると、後藤さんが嬉しそうに手を振って、自分を指さしている。たぶん後藤さんは、自分がサザエさんに似てると言いたいのだろうと思った。あとから聞いたらやはりそうで、まわりのひとからサザエさんて呼ばれてるんだそうだ。だってそっくりだもん。そのあと、お客さんとも一緒にどんつくどんつくし、最後は空手タンゴ(黒猫のタンゴにあわせて即興空手形をする)でしめた。

 終わってからもしばらく皆さんとおしゃべり。途中で、ついこの前まで京都で展覧会をしていた山内鈴花さんや、ダンサーの荻野ちよちゃんとかも来てくれていた。ちなみにちよちゃんによると、きいろを家の西側に置くといいことがあるんだそうだ。ハナナガはほとんどの場合がきいろなので、今ちょうど西側の壁に大量にかかっているし、大変いいようだ。彼女も家で、カナのハナナガを西側に飾ってくれているそうだ。ちよちゃん、また空手デュオをやろう!

 小川恭平くんもいる。久し振りだなあ。すこし前までは東京で居候していたと思ったが、最近は京都にいるそうだ。「キョートット出版ニュース」と言うのをくれる。キョートット出版は本をつくってがんばって売ることをしたいです」という書き出し。エロデパートシリーズというなまえで原稿を募集したり、盛大な出版記念パーティーをしたりするらしい。いま、恭平くんが寝泊まりしているある下宿の押し入れ下段で、展覧会をしませんか?!とかいてある。ふむふむ。恭平くんは、「たくさんいるのがいいと思いました」と芳名帳に書き残してくれた。

 飯田くんが絵を買ってくれることになった。「ふたり1」という絵だ。飯田くんは仕事で、いろいろなひとの夢をインターネットをつかって集めたりしてるらしいのだが、たぶんその関係かなあ。この絵が、今やってることに必要になるんだそうだ。なんにせよ、うれしい。それにしても、飯田くんがまさか絵を買ってくれるようになるなんて。

たしか1年とか2年前の彼は、納豆ともやしで殆どの栄養をとっていたと思ったが、人間わからないものだ。カナもがんばろう。 

 つき山さんは、手作りの本をもってきていた。彼女が以前やっていた「こころのとり」というパフォーマンスの本だ。それは、たった1人か2人のお客さんに見せるものなんだそうだ。カナはそれに申し込みそびれて、どんなことをするのかしらない。今日はあわただしいが、またゆっくり本をみせてもらおう。

 それから、お名前だけはあちらこちらできいててお会いするのは初めての、上田假奈代さん。今日は着物できてくれた。かっこいー。色々な活動をするひとだが、この4月から、奈良の旅館で料理をしてるそうだ。きょうは休んできてくれた。假奈代さんはこんな嬉しい、すてきな提案をしてくれた。

「ねえ、カナちゃん、ハナナガアイスキャンディー作って。きっと売れるよ」

わあお。すごい、絵で描くのは易いが、え〜っと、どうやってつくるんだ?アイスキャンディー屋さんにきいてみなくちゃ。

 みんながだんだんかえっていった。演奏が終わってから青木さんや高野さんが仕事帰りによってくれた。

 う〜んひとりひとりとゆっくりはなせるわけではないが、ひとが多くて賑わうのも楽しい。結局今日の演奏には、20人〜30人のひとがきてくれていたようだった。多すぎず、少なすぎずでよかったなあ。

はやし カナ  


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