Arts Calendar/Art's Report site/《NOTEJAPAN Report》WadaKei*hougaku_note
Arts Report 2005/1/15 出演/朴 根鐘(テグム、チャング)、朴 順雅(カヤグム)、和田啓(パーカッション) 今年度から「邦楽ノート」という和楽器セミナーでは、通年で一人の講師を招いて「プレゼンテーション/講演会」、「ワークショップ/楽器体験」、「コンサート/演奏会」という三段階でひとつの楽器を楽しむという切り口にした。今年度のテーマは『日本とアジアの打楽器』。講師は江戸里神楽出身、バリ島のクンダンという打楽器のほかアジア諸国の打楽器を演奏する和田啓さん。 1回目のプレゼンテーション(2004.7.24)では、打楽器演奏の映像資料や音源、楽器などを駆使して和田さんらしいユニークな講師ぶりを見せてくれた。演奏家の講演というのも、研究者の先生方とちがって生々しくて面白いし、当然だけど、場の空気を読んで盛り上げていく才だって比較にならない。ただ本人は「講師ってガラじゃない」って恐縮してたけど。 2回目のワークショップ(2004.9.4)では、和田さん持参のいろんな国のめずらしい打楽器、参加者持参のタンバリン、手拍子などで、日本からシルクロード周辺諸国・環アジア地域などのリズムを実際に叩いてみた。外国のリズムは「7拍子」とか「10拍子」とか長い周期で回ってるのが多くて覚えられない。どっちにしろ打楽器は、運動神経鈍い&飽きっぽい人には向いてなさそうだ(私のこと)。 最後のコンサートでは、ゲストに在日コリアンの2人。北朝鮮籍のパク・スナさんと、北朝鮮から韓国に移籍したパク・クンジョンさんで、「朝鮮半島」というニュアンスでカタカナにしたようだ(クンジョンさんのプロフィールがそうなっていた)。 今日のプログラムは、1.アラブの打楽器ソロ/2.チョンソンゴク/3.ウルサン タリョン/4.天の川/5.鎌倉〜江戸里神楽より〜/6.ウッタリ /7.昇龍譚(作曲:和田啓)で、打楽器ソロ〜ゲストのデュオ〜トリオという構成、それに各々がいくつかの楽器を持ち替える。 曲間のトークでずーっと笑わせてくれるクンジョンさん。人を笑わすことが生き甲斐らしい。臆しないかんじの大音量のチャング(両面太鼓)とテグム(笛)。広島のライブは初めてで、これでもいつもの調子が出なくておとなしいなあ、と和田さんに指摘されていた。そしてコリアンの女性らしいスナさんの上品なトーク。紺とピンクのチマ・チョゴリが花のよう。21絃カヤグム(伽耶琴=朝鮮の琴。改良で絃の数が増え、楽器の幅も広くなっている)は通常はイスに座って弾くので、今日のようにひざに乗せる古典的なスタイルは他の2人が下に座るのに合わせたんです、とまた上品な声で話してくれた。 この2人のデュオで聴かせてくれた古典曲と現代曲(プログラム2〜4)は、どちらかというと優しく明るいイメージ。今日のためにそういう選曲にしてくれたのか、あるいは彼らの複雑なバックグラウンドによるのか。よく「恨(ハン)」という言葉で表現される、強く感情的な朝鮮の民族音楽とは違うような気がした。 それと和田さんらしくて面白かったのは篠笛とチャング、カヤグムで味付けされた江戸里神楽の曲目『鎌倉』。締太鼓と朝鮮の打楽器でジャズのセッションみたいに盛り上がった『ウッタリ』。締太鼓ってただ力ずくでダカダカ打ってもあまり面白くないけど、この締太鼓は力一杯なのに饒舌な感じ。生まれも育ちも浅草の、本物の凄み。 そういえば『鎌倉』の後、和田さんが観客にちょっと気を遣ってか「合いますよね?」と訊くと、客席から拍手が起こった。里神楽に朝鮮の楽器を組み合わせたアレンジはいかがでしたか?という意味。なにげないやりとりなのに、私にはちょっと違和感。 邦楽(日本の音楽)というと混じり気のない生粋のもので、しかも何やら難しい定義が出てきそうに思うだろう。だけど現に日本で生活する人の日常を考えれば、何がリアルな日本の音楽かはおのずとわかってくる。私たちは毎日洋服を着て日本語を話し、3食のメニューがトーストとピビンバと豚汁だったりする。
今回のメンバーは、そもそも和田さんが手掛けている『今様神楽』というプロジェクト(陸と海のシルクロードを伝播してきたアジア各地の芸能を融合させて、日本の芸能「神楽」を現代に再構築しようとするもの)の音楽の一部を切り取った形である。いつもは音楽・芝居・舞踊と大勢で取り組んでいて、たった3人という編成は今日の広島が初めてとのこと。 主催/(財)広島市文化財団 東区民文化センター |
伊藤多喜子の「別冊 邦楽ノート」の扉へ
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