Arts Calendar/Art's Report site/《RANDOM Sketch》Tanno2000-AKi Tokyo

この原稿は、アーツカレンダー編集室の鈴木が、去る11月20日,21日六本木オリベホ
ールにて上演された『丹野賢一/NUMBERING MACHINE』「009−COLLAR」「010
−SKIN」「011−DOT」「012−RAG」東京公演の感想を、制作の方へお送りした原
稿をもとに、参考資料を添えてお届けします。
公演の詳細などにふれていませんので、ご覧になっていらっしゃらない方にとっては
不親切な原稿となっています。お詫びいたします。2000/10/20所見。

公演レビューは、大阪トリイホールでの模様を「こぐれ日記」でご紹介していますので、
《丹野賢一/NUMBERING MACHINE『009,010,011』TRII HALL》
http://www.arts-calendar.co.jp/KOGURE/TANNO_K=009*010*011.html
上記のURLに掲載されたレビューをご覧いただけると幸いです。
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『丹野賢一/NUMBERING MACHINE』
「009−COLLAR」「010−SKIN」「011−DOT」「012−RAG」東京公演の私信

前略

4つのテーマをどうまとめるのか、物体のない舞台空間の中でストーリーをどう展開していくのか、興味深く観させていただきました。
今回の制作転換? は、大成功だったのではないでしょうか。

各パフォーマンスともに、コンセプチュアルにまとまり、個性が表出していたと思います(照明、音楽との関係性と差異化も含め)。
ブリッジとなる部分に映像を使い、4コマで構成された起承転結のアクセント(というにははばかる見事な完成度でしたが)にしたことによって、休憩・終演も含めた全体が、ひとつの統一感を創出していた構成も、考え抜かれた見ごたえを感じました。

僕がいつも気になっていたのは、丹野さんはなぜあそこまで自虐的に自分を捨て去ることができるのか、という疑問でした。ある種のトランス=無意識状態に入ることで、今回の場合は、ひざの打ち付けや床への頭突き、背面への倒れ込みができるのか、と。でも、それにしては音楽や照明との連動が成されている。
この疑問はアフタートークでのやりとりを聞いて解決しました(と自分で思い込んでいるのですが)。
自らが表現する意志へのこだわり=意識が、無の境地へ解放してくれる(解放されることを望む)から、痛みや恐怖や不安(自己を否定されることへの不安も含め)などといった感情を打ち消し、身体的に受け身のない、妥協の許さないパフォーマンスを展開することができるのだ、と。
自らを無の境地へ導くための素材として、衣裳があり、(今回はありませんでしたが舞台美術があり)、音楽の振動や照明があり、そして、この組み合わせにアイデアを加味することで、闘争心?が芽生え、意欲が増幅していくのではないかと。稽古によって練られた動きが身体に染み付き、それが音や光とあいまって、ある種のトランス状態を感じさせるパフォーマンスを舞台上に誕生されるのではないかと思いました。

プロック3000個が運べないからといって、4つや5つではやりたくない。スタッフには呼吸のつかめる、息のあった人たちを選ぶ。演出(自己犠牲を伴う)されることに対する懐疑。
ダンス(無から生まれる動きではない、計算された振付)のカテゴリーは不本意である・・・。

一ファンという以上に共感や清清しさすら覚える公演であり、やりたいことを無の境地で満足に行ないきれない僕=人間のやるせなさも感じました。

確かに濃密な公演でした。
ますますのご活躍をお祈りしています。

それではまた。

カノン工房・鈴木英生

参考資料/当公演のリリースより。
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■丹野賢一/NUMBERING MACHINE■
「009−COLLAR」「010−SKIN」「011−DOT」「012−RAG」
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これまで、大掛かりな舞台装置に定評のある丹野の作品でありましたが、今回は一切の舞台装置を排除した空間でのパフォーマンスとなります。
約10分程の短時間の4作品を構成するのは、丹野が衣装とメイクで扮する、異形のオリジナルキャラクター達。「009−COLLAR」は詰襟、「010―SKIN」は偽者の皮膚、「011―DOT」は水玉模様、「012―RAG」はボロボロの着衣。これらのイメージを動機として姿を作られた、丹野の新たな表現への挑戦をぜひご覧頂きたく思います。


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無断転載禁止 掲載:アーク編集室