Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》00/4/22

万国文化中心報告 vol.3

●テルアビブのパフォーミングアーツセンターで無事初日が開きました。<その4>

サンタフェ・デ・ボゴタ、コロンビアの首都に入っています。前回の会場はミネラルウォーターで成功した実業家の個人の劇場とホテルで、ホテルもそうだったのですが、劇場はとてもとてもハイクラスの社交人士のためのスペースということで、自ずからぼくがイメージしていた文化中心とは違っていたわけでした。ほとんどの観客が自家用車で乗り付け、もちろんドレスアップし、そして帰り際の混雑を避けるためか途中退場する、みたいなことが初日にあってこれはびっくり。聞くと、法定月最低賃金が151レアル(現地通貨)=約12000円という状況下で、私たちの公演の入場料は20〜100レアルだったとのこと。月間のインフレ率が2パーセントを割ったという報道があって経済も安定を見せてきたとはいえ、所得格差はぼくなどが想像する以上のものがありそうです。

各国各会場での観客構成も多分に高所得者層、かつ高学歴者層に偏っているはずだとは思いますが、あのサンパウロのアルファ劇場は恐らくは意図的にそうした観客を集めているのだろうと思いました。複雑な気持ちですが、そういう文化センター(正確にはなんて言うのでしょうか、彼らの表記を引用すればコンフィレンスセンターですが)も、ありうるということですね。地域や社会・環境が楽しくなったりはしてないと思うけど。

そして今回のボゴタです。大きな演劇祭に招かれています。詳しくは把握できていませんが、結構町は大騒ぎです。
(16/4/000)

この国は今現在、まだ懸命に国を作ろうとしています。そうした国の首都で毎年開催されている演劇祭は、今ではこの国を代表する文化行事であり、各国の参加者もバラエティに富み、大変盛り上がっています。5大陸からの82カンパニーが、34会場で、述べ245公演を繰り広げる、4月7日から23日までの約2週間。中にはサーカスもあり、大道芸的なものもあり、テント会場、闘牛場や大統領官邸前広場、小劇場から大劇場まで、組織委員会の行動力、資金調達力、諸問題調整の手際、などなど、感心することが多いです。海外からの招待者・参加者は市街の大きなホテルに集中して宿泊、同時にそのホテルのロビーが昼間の間のフェスティバルの情報ターミナルになり、人と機材の移動や公演・会場の変更、また特に、安全管理についてのニュースを、一括して配信しています。

ゲリラが多いのと、マフィアコネクションが暗躍するといわれるコカインの主要な産地を背後に持つこの町は、観光地としても魅力的で、フェスティバルの期間中、多くの人が訪ねて来ています。そうした中で少年犯罪が目立ち、ナイフやガンを持ってのひったくり・ホールドアップ、慎重に行動しなければ生命の危機さえも、そこここの街路に潜んでいるようです。実際頻繁に安全に関するニュースが関係者には伝えられ、フェスティバルの進行管理と同じくらいの配慮が私たち参加者の身辺警護にはらわれています。各劇場、ホテル、移動、すべてに警備が付いて、物々しい感じです。

山海塾の会場はここボゴタでも最大級の劇場で、企業共済組織の持ち物=管理だそうですが、メディカルセンター・銀行・美術館、スーパーマーケット、ちょっとした専門店街からなる集合施設です。劇場についてのレポートはまた追って。
(20/4/000)

アートセンターといわれるものが、ここボゴタにはありません。図書館や大学、観光センター、そうした物は立派にあって、社会的上層階級が利用しています。はっきりと調査したわけではないので、どのくらいの所得がある層が政治的経済的主導力を握っているのかは分かりませんが、コロンビアの他の町はいざ知らず、首都の街では、アートについての一貫した施策はなさそうです。

コロスブシディオという劇場については前にもお伝えしたように、企業(恐らくは有力大企業)の連合体と政府が出資しているある種の共済組織に管理運営されています。スーパーマーケットを主に銀行などが入った複合施設ですが、その界隈に集まる人たちを見ていると大変興味深いです。家族連れが圧倒的に多く、つぎがスーツを着た男性連れ、女性連れ、時々カップルが混じり、子供の集団というのが見当たりません。決して危険な地域ではないので、警備する人の数も多くはなく、ボゴタのほかの地区とは明らかに雰囲気が違います。ちょっとした小金持ち地帯な感じがします。

劇場を訪れる人もたいていは気軽なおしゃれを楽しんでいる感じ、劇場文化は恐らく間違いなく、ある種の教養とステイタスをもつ層にのみ開かれていると思います。この演劇祭の約半分のプログラムが野外会場で無料で催されているのも、そうした劇場文化の閉鎖性を打破していきつつ、新しい担い手を育てようという試みなのでは、と思いました。

美術についても伝統的なものは全てプレコロンビアの時代のもの、つまりインディオの工芸品なので、絵画や彫刻というものは戦後に開拓されて今に至る新文化なわけです。音楽だけが力強くコロンビアのアイデンティティを奏でているように感じるのは当然なのかもしれません。
(22/4/000)


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