Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》01/03/09
2001年2・3月 <その6>
エクサンプロヴァンス、テアトロ・デ・ザラン、セーヌ・ナショネール・デ・マルティーグ●地中海の北岸、マルセーユの近郊は海と入り江が複雑に入り組んで漁港や観光港、貿易港その他があちこちに大小取り混ざって散在します。今回の会場地はマルセイユの北西の汽水湖に面した小都市です。
ヨットハーバーを眼前にした文京地区(というか、再開発地域)にある劇場は、急勾配の850席。図書館・画廊・情報センターと中庭の昼夜に営業するレストランが併設されたこじんまりとした国民施設です。元は塩田地帯だったということで劇場名にも名残があります(サランは塩田の意=塩田劇場)。夜になると閑散としてしまいますが、隣にはサッカーの競技場、市役所、イベントホール、大きな駐車場、ヨットを脇に見ながら橋を渡ってレストランが沢山の小島を抜ければ、郵便局や学校、美術館や博物館が建ち並ぶ旧市街に至ります。ここのところ天気が良いのでまるで初夏の陽気、なかなかのリゾート気分が味わえます。
劇場そのものは月に5・6本のペースの稼動状況で、ダンスと演劇、音楽、フィルムなど、外の文化会館の催し物と大体似たようなラインナップです。大きなイベントや大掛かりな出し物は別の市立の施設で開催されているそうで、きれいな立派な舞台ですが人の気配はあまり感じられない管理状況。客席側が木の質感を大切にしたスクエアな単一スロープなのに対して、舞台そのものは10間×15間ほどの大きな真っ黒の直方体空間になっています。普段は照明・音響機材はすべて奈落にしまわれて、がらんとした裸のスペースのままということ。
舞台から見る客席は見上げるのがきつい位の角度で、感覚的にはちょうどギリシャのアンフィテアトル風。客席から舞台を見下ろすと角の席でも隅々までが目に入り、今までの山海塾のツアーで回ったどの劇場よりも親密な距離感が贅沢です。ロビーも人間的なスケールで設計されているので、全体的には親しみやすい中劇場という評価になりますか。搬出口は奥舞台の壁がそのまま横開きのドアで、すぐ街路ですからそのまま作業をしていると近くの学校の生徒や買い物・散歩途中の人がみんな気さくに覗いてきます。
ドイツから戻ったばかりのせいか、南仏での仕事の進み方がいかにも気楽で、そう言えばアヴィニョンのフェスティバルの会場までもすぐ近くにあるわけで、「合理的」とは果たしてどういうことか、「人間的」な現場のほうが制作・創作には有効なのではないか、などそんなことを思いながらの作業が続いています。
今日が初日で明日までの2回公演です。本番についてはまたレポートします。
(2001/3/9)
岩村原太の「万国文化中心報告」の扉へ
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