Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》01/05/02

万国文化中心報告 vol.27

●2001年5月  <その1>

滋賀県立のびわ湖ホール●お客さんがとても輝いて見えるホール

世界の劇場を旅していると、その劇場の構えによって毎度のお客さんの表情の違いがあることに気づきます。オペラハウスや古くからの演劇ホールのお客さんは大体にして劇場慣れしている風で、穏やかで、ゆったりと、お知り合いとの挨拶も丁寧に交わしながら、自分の気に入りの席に向う感じです。

対して、実験劇とか前衛芸術とか、海外からの招聘ものを主にした小中規模の小屋では、お客さんもそう度々は劇場に足を運んでいない様子の、慣れていない雰囲気が立ち込め、声の大きい人がいるかと思えば若い人たちのグループが目立ってみたりして、開演までざわざわと落ち着かない場内。

これはロビーの作り方のせいもあるんだと思いました。今回の劇場は、そのすばらしいホワイエからの景色が印象的なびわ湖ホールです。晴れていれば、いや雨の日でも眼前に広がる雄大な湖面は、見事なくらいに日常を遠くに押しやってくれます。マチネでは尚更ですが、ソワレでも天井が高い割に幅が狭く計画られたホワイエ空間は親しみやすく、最寄駅からの移動の際の緊張感を静かにほぐしてくれる感じがします。

少々他都市から遠いおかげで、現場に来ている人たちの間には何気ない一体感が醸成されて、客入れの時間は充実して流れていく気がします。ホワイエやロビーが空間的に豊かでない小屋では、なかなかこうはならんのだろうなということ。暗かったり、狭かったり、寒かったり、乾いてなかったり、うるさかったり、汚かったり、ではお客さんは落ち着かないわけでしょう。

あちこちの劇場のロビー、ホワイエを思い出しました。

さて、この劇場の特徴としては劇場つきのスタッフの熱心な作品への関わり方をあげることが出来ます。新作の日本初演、この作品については共同プロデュースということもあってでしょうが、細部にわたるまでの物心両面とものサポートには、本当に頭が下がります。勝手な感想ですがびわ湖を毎日眺め暮らしていると心が広く態度も柔らかくなるのかなぁと思います。

舞台も客席も広々とした感じでゆとりがあります。キャパは約1000席。隣には一回り大きな、オペラも上演できる大ホール、小さな音楽の発表会などの催しもある小ホール、がそれぞれ整備されて全体では複合劇場を構成。中ホールは演劇やダンスの催し向けで、今回の作品には十分なスペースが取れ、大変仕事がしやすかったです。
海外の劇場は新しいところはともかく、ちょっと歴史のある劇場はこんなに広々していないから、日本の劇場状況を本当にうらやましく感じて過ごした1週間でした。
(2001/5/2)


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