Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》01/07/01

万国文化中心報告 vol.33

●2001年7月  <その1>

正面の無い小屋●相模大野グリーンホール

 相模大野は小田急線沿線の「まち」です。新宿から40分、まあまあに、というか大変便利な立地の衛星都会といっても良いでしょうか。華やかな駅前ビル群が印象に残ります。その谷間を抜けて徒歩5分ほど、複合ビルの中にこのホールはあります。

 デパートの伊勢丹、図書館、メヂカルセンター、そしてホール、駐車場。空から見ればきっと五角形の建物なのだと思いますが、地上をうろうろしている自分の目からはいくつもの入り口が並ぶだけの巨大な建造物で、どんな建て方のどこに正面のある造り方なのか、にわかには判断できません。駅からのアプローチでは伊勢丹をくぐりぬける形になります。

 ホールの入り口は目立たず控えめな構え。一階席と二階席に分かれて入場することになりますが、客席は思いがけず大きくてびっくりします。間口もタッパも充分あり、客席も扇型に広がって天井も高く、本格的なオーケストラコンサート会場に違いありません。案の定、舞台にはごく立派な反響板が吊り収納されてました。

 駅の反対側は幾棟もの高層住宅が連なる大住宅地になっています。搬出口はそのうちの一棟に面しているわけですが、夜の作業には細心の注意を払うよう求められました。うるさいのは良くないのです。当たり前のことのようですが実現するのは大変なことで、飛行場や清掃工場に引き続き、住民パワーと戦わねばならぬ担当部署第3位というのもむべなるかなというところ。そのうち公立劇場はすべて公園のど真ん中か山の上、場合によると海や湖の上に建てなければいけなくなったりするのではないかしら。この会館の努力にも尋常でないものがあって頭が下がります。

 ホールの空間容積というのはどんな段取りで決まるものなのか、大変興味があります。天井が高いと結果どうしても散漫な舞台印象になります。かといって壁をせばめ客席を少なく設定すれば上演できる作品の幅もせばまります。適度な客席とちょうど良い天井高の関係は、例えば残響何秒などという目標値を得る計算によって導き出されるものなのでしょうか。多目的ホールとはいえ、そうした聴方(ききかた)と観方(みかた)のバランスのとれていないものが多い感じなのが気になります。
 観ることを大事にするなら壁や天井は暗い色目で、必要以上に視野を広げず、舞台の間口だってそんなに広々とは要らないはず。聴くことを優先するならたっぷりした視野と舞台と、できれば明るい場内の雰囲気で華やかにしたいわけ。
 これだけ日本中にホールやら会館やらが建っているわけなのだから、そろそろ地域ごとに観るホールと聴くホールを専門化して、互いに動員協力など進めてみたら良いんじゃないかと思うんですけどね・・・・・

 150・250・400・800・1200・2000・3000、という数字をホールの規模を示すものとして使うことが良くあるのですが、果たして意味のあるものなのかどうか。それよりは壁の白いホール・黒い小屋・グレーの会館、などと主とした目的別の類別の方が実際的な気もします。この項、続く。
(2001/7/1)


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