Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》02/11/20
●2002年11月 <その3>
2年ぶり3度目のBAM●ネクスト・ウェイブ・フェスティバル
今回が20回目のこのフェスティバルは、ブルックリン再開発事業と深い関連があると言うことです。1906年創建のオペラハウス、ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック・オペラハウスが主会場ですが、通りを一本隔てたバム・マジェステッィク(現在はバム・ハーベイと改称)や、催し物の内容によっては野外会場なども借りて開催されてきました。期間は10月から12月の3ヶ月。
これまでのラインナップではピナ・バウシュやジンガロ、ピーター・ブルックなどが記憶に鮮やかです。どこが“ネクスト”なんだ、って言う声もありそうですけど、つまり、これはニューヨーク市ブルックリン地区でのフェスティバルなので、世界的に「次世代」を背負ってきたカンパニーの「現在」を展覧する、という趣向になってるんです。アメリカって国には不思議なモティベーションが存在しますね。
で、記念すべき今回のフェスティバルは、フィリップ・グラスのオペラ「ガリレオ・ガリレイ」をオープニングに、有名どころをあちこちから集め、ロバート・ウィルソン&トム・ウエイツ「ヴォイツェック」、蜷川幸雄「マクベス」、ほかにも大きな舞台作品が目白押しになっています。またコンサートやレクチャー、ライブ、フィルム、エクシビションも同時に企画されていて、凄いことになっています。
ロバート・ウィルソンの伝説的超大作オペラ「浜辺のアインシュタイン」もこのフェスティバル発だったりしていたので、昔は多少なりともリアルな“ネクスト”感が盛り込まれていたのかも分かりませんが、現在は「ニューヨーク・ブルックリン国際舞台作品フェスティバル」として認識した方が良いだろうと思います。東京国際演劇フェスティバルの様なところでしょうか。
会場になっているオペラハウスはピッツバーグのベネダムよりも古い建物なので、2000席を3層に分散して積み上げています。プロセニアムは既に形骸化していて、楕円平面の卵形ドームの頂点をすとんとサクッと切り取った開口部が舞台。天井にはシャンデリアもなく、いわゆるオペラハウスに付き物のボックス席もかなり無理してドーム側壁に組みこんであります。アメリカ風大劇場、発展途上期の様子。
1階席の勾配が結構きついのが良くて、見やすい造りにはなっています。プレイハウスと言う小劇場が付属しています。表にはレストラン、客席部上階はフェスティバル関係の広大な事務所、薄壁一枚隔てて外を交通量の多い幹線道路が通ります。手に取るようにパトカーと乗用車のチェイスの具合が聞こえて来たり、派手な立ち回りの怒声が響いたり、大都会の臨場感が絶妙な旅情を味合わせてくれます。
山海塾がこのフェスティバルに招待されて3回目、それ以前のニューヨークでの公演会場はシティセンターという小屋というか、大劇場で3000席、現在でもモダンダンスのメッカのようになっていて「アルビン・エイリー」「ハーレム・ダンス」「アメリカン・バレエ」などの常打ちです。典型的なユニオンハウス。お父さんが大道具、その弟が小道具、3人いる息子はそれぞれ綱場と照明と音響、てな感じ。
全くその組織の拘束力は強く、マフィアも斯くや、との印象。比べてBAMのスタッフはフェスティバル慣れしているというか、外人相手が苦になっていないというか、ユニオンの技術者とユニオン外の技術者を上手く組み合わせて、極めてスムーズに劇場と舞台を運営しています。こうした劇場で経験を積むことがユニオン外の若い技術者にとってはこの業界への足がかりにもなっているようです。
またアドミニストレイターにも若いスタッフが多く、そうした勉強中の世代がこのフェスティバルを下支えしているんですね。・・・ネクスト・ウェイブの真価は案外そっちにありそう、と思います。
(2002/11/20)
岩村原太の「万国文化中心報告」の扉へ
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