Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》02/12/5
●2002年12月 <その1>
扇町ミュージアムスクエア●ああ、小劇場!
今年の夏、利賀に同行した清流劇場のOMS最終公演。思えばここで学んだことは数多く、月並みですけど閉館が実に残念。元倉庫の空間、タッパもなく全てが仮設の小劇場ではありましたがそれ故に、関西小演劇業界(そんな不採算な業態で業界を構成していたらの呼称ではあるが)標準を提供してきた17年間だったのではないかと思います。ありがとうこざいました。そしてお疲れ様でした。
例えば受付の仕切り、客入れの作法、客電の扱い、チラシの組み方配り方、照明音響のシステム構築、舞台美術の収め方、楽屋処理、全てがスマートで親切で丁寧で人情味があっておしゃれで。ぼくのようにいつも適当なプランニングで現場処理の多い照明屋にも適切なアドバイスと、さらには何がしかの新知識も提供を惜しまず、本当に有り難い=滅多と無い「劇場」でありました。
文化中心的にも震災の時や戯曲賞、DIVE、等々印象に残る企画が多かったです。愛されていたからこそ、信頼されていたからこその空間運営とは思いますが、学ぶべきの多い存在でした。小劇場の社会的使命をまっとうに示し続けたという感じ。
この小屋から舞台人・演劇人としての第一歩を踏み出した人も多いのではないでしょうか。若い入門者を「育てる」意識もまた旺盛な場所でした。
OMSの閉館に際して、小劇場についてをいろいろ考えることが増えました。良く云われることに、歴史の浅い劇団(集団)がその経験値を上げるのに有用だというのがありますが、これは全くそのとおりだと思います。それはつまり、いわゆる会館・ホールはその役割を果たし得ないと言うことでもあるわけです。このことは世界的にもそうだと思えるので、ことは劇場文化・舞台芸術に全般的な課題性を持ちます。
中央の大ホールでは洗練された観客が磨き上げられた作品を待ち望んでいて、地域の小舞台にはその萌芽となる集団や卵達が活躍していて、そうした小舞台に対面した観客席には才能を見出さんとスタンバイした中央からのスカウト=プロデューサーやその志望者がいて・・・。こうしたピラミッド構造が予定されているような気がします。でも、小劇場の魅力はそんな構造の一端を担っていることなのでは無い筈。
小劇場ってSHOW劇場だったり、衝撃場だったり、つまり空間性の限定されていない危うさ、もっと云えば出演者と観客(聴衆)の出会い方の自由度が高いのが、面白いんだと思う訳です。その集団が若いと言うことは、彼らはまだ観聴衆に充分出会っていないということなんで、だからこそ悪戦苦闘しながら自分たちなりの観客との対面の仕方や聴衆との交わり方を探せる。小劇場のフレキシビリティは、そうした彼らには必ず有益なんだと。そして同時に、キャリアの有る団体にだってその方面の実験精神があれば、これもまた必ず収穫があるんだと、そう思います。
そして文化・芸術では、そんな果敢たる挑戦こそが期待され、求められ、認められ。小劇場であることを標榜する空間はこうした挑戦を受けて立つだけの、至極立派な覚悟がなければならんでしょう。
西陣ファクトリーGardenが、華やかな場所たり得ない原因がここに一つ発見されました。2002年は終わりましたが、2003年にはともかくいろいろ挑戦してもらえるような空間に脱皮したいと考えています。手始めはダンスの清水さんと岩村の「インプロ×コラボ」、そしてアーツワークスの「アーツコンペ」です。
OMSの在り方を心の支えに、nfGを成長させていきたいと願う毎日です。
(2002/12/05)
岩村原太の「万国文化中心報告」の扉へ
無断転載禁止 掲載:アーク編集室