Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》02/7/1

万国文化中心報告 vol.65

●2002年7月  <その1>

湖厳ホール●中央日報社のアートホール

 ソウルです。サッカー大会の興奮が韓国を覆っています。さて。

 日本でも同じことだったのではないかと想像するのですが、公開施設や劇場・コンサートホールなどの施設は、始め新聞社の自社ビルに付属して購読者サービスや文化貢献の活動のために建設されたものが目立つようです。記憶に残る名称では毎日ホール・サンケイホール、読売も朝日もそれぞれホールを持っていたように思います。

 この湖厳ホール、現地の発音ではホアンホール、は代表的な韓国の新聞社が自社ビル内に持つコンサートホールです。前回8年前に公演をしたのもこのホールでした。
ソウルには他にも国立劇場やミュージカルの専門劇場などがあるようですが、今回のようなフェスティバルが借りて公演をする制作スタイルの場合、このホールほど設備とスタッフが揃っている小屋が他には無いということで、またお世話になったようです。いわゆる多目的ホールの造りになっています。
 ホールのエントランスと同じレベルにはギャラリーが有り、こちらでは伝統的な朝鮮家具の展覧会中。ほかに、情報スペース(コンピュータなどを使って過去の新聞記事にアクセスしたり出来る)や喫茶コーナーも設置されていて、ビジネス街・大使館街の中のちょっとした文化的オアシスが演出されています。ホールではクラシック音楽のコンサートが主で、その他講演会が目立つ程度のプログラム。ビル全体は赤御影石張りの豪華な内装に仕上げてあり、新聞社の権威というか威力を感じさせます。

 最近になってしっかりとした改装が行われていました。客席床・椅子の入れ替え、カーペットがフローリングに・椅子は肘掛からメモ用のテーブルが出て来ます。字幕投影システムの更新、下上の大臣に投影スクリーンを設置・スライド装置他でリア映写出来ます。楽屋もきれいです。スタッフは全く入れ替わっていて、とても若い感じのスタッフチームになりました。サムソン、という家電等のメーカーが有りますがそこの社員さんということ。管理業務請負で出向して来ているんです。
 以前から韓国・台湾や中国・シンガポール、ジャカルタなどには日本の舞台照明会社が基本的な照明設備を輸出していました。日本と同様な照明用語が流通しているのもそのせいで文化輸出なのか進出なのか、極東地域での山海塾公演の度に、便利で楽な反面「そんなことで良いのか」的な、微妙な気分を味わってきたことは確かです。
でもしばらくすればサムソンや他の有力メーカーが舞台照明にも台頭してくるのは間違い有りませんね。その折、どんな機器・システムを投入してくるのか楽しみです。

 街にはハングル文字のほかに中国語・日本語・英語が並びます。学ぶことを厭わない若い人たちが多くいるようで、通訳に入ってくれていたのは大学生や留学準備生の女性陣。もちろん照明音響チームは英語で仕事が出来ます。舞台・大道具には日本語ができる人と英語ができる人がいて、仕事の進行は大変スムーズでした。言葉だけの努力ではなくて、受け入れ側の姿勢として(それが仮に貸し小屋で自分たちの主催や企画でなかったしても)出来ることはすべてやる・出来ないことについては代案を用意する、それがごく基本的な態度にまで反映している。
 ひるがえって私は、こんなに親切で丁寧に外国人を迎え入れることが出来るだろうか、いや同国人の集団に対してさえ寛大に接していることは稀なのではないか、と反省していました。受け入れることは学ぶこと、そういう働き方もあるんだなぁと帰りの飛行機の中でひどくしみじみしておりました。
 ヨーロッパや新大陸に出かけることが殆どの我々ですが、成熟より成長の時期にある地元・極東地域では日進月歩の舞台劇場状況、燈台下暗しにならぬようせいぜい情報収集に務めねばと思います。

(2002/7/1)


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