Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》03/10/10
●2003年10月 <その1>
シアター・トラム●今度はコンクール
お馴染みの世田谷パブリックシアター、その隣のシアタートラムです。今回はトヨタ・コレオグラフィ・アワード、昨年から始まったコンテンポラリーダンスの振付家を発掘応援する催しに、岡登志子さんとアンサンブルゾネのお供で行って参りました。4チーム×2日、計8チームの競演ということで現場はかなり大変そう、仕込とリハに各1日づつ、そのスケジュールの調整だけでも目が廻ります。
トラムの空間構造はその極端なタッパと間口の構成比に特徴があるのですが、こうしたコンクールでこの空間の特徴をどこまで作品に取り入れたものか、そこに悩みます。一応は既に初演された作品を映像審査でふるい落とし、最終審査でその作品を上演するのが建前。劇場に応じて作品を作りなおすアレンジ力も求められているようで、照明担当的にも挑みドコロの定まらない楽しみにくい現場となりました。
コンクールというのは、その劇場と運営の、体力・能力・知力の限界が試される催しですね。審査員も一般観客も、この場ではただ純粋に各作品を比較する目的で来ているわけで、劇場の雰囲気とか運営の手際とかは全く感じさせてはいけない。それでいて参加者はその舞台機構のあれこれを極力自分の作品に有利になるよう活用したいわけだし、それにはそれで対応しないといけないし。
シアタートラムはまさにその点では現在東京で唯一と言えるコンクール会場なのかもしれません。この会場だからこそ、数多くのスタッフもいろんな工夫をしながらコンクール運営を進めていけるのだろうし、工夫が上滑りしないだけの手応えがあるからこそ、出場者も納得してコンクールを終えられるのだろうし。コンクールは劇場成熟度を測る良い物差しになりそうです。
コンクールと言えば高校演劇ですが、高校演劇の指導書などを読んでいると、時間と空間の制限、予算の限界、等々に翻弄されながら表現の未熟に悩む、風がよくあります。会場とされる会館やホール担当者のお話を聞く機会もたまにあるのですが、同じように対応に苦慮される事例も多いみたいです。劇場もしくは舞台表現と、演劇やダンス作品の、そのすりあわせ作業が上手くこなせないって感じでしょうか。
表現と作品を取り結ぶのがいわゆる劇場技術・舞台技術なんですが(だと岩村は考えているのですが)、技術力の不足は結局直ちに表現力の不作につながってしまって、それは悪循環してデフレスパイラルならぬ「不満スパイラル」に陥り、指導力の欠如(!)みたいな結論だけが取り沙汰されたりしているとすると、切ないですね。
表現に精通した技術者を沢山育てないといけませんよ。
今これを書いているのは秋も盛りの10月です。忙しくてこんなことになってしまいました。8月には利賀の演出家コンクールにも行きましたので、次回はそのレポートを。連続3年目、今年もまたいろいろ発見がありました。
(2003/10/10)
岩村原太の「万国文化中心報告」の扉へ
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