Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》03/7/4

万国文化中心報告 vol.94

●2003年7月  <その1>

アートシアターdb●ダンスボックスの今

 新世界といえば大阪、通天閣のホン鼻先のフェスティバルゲートに、ジェットコースターの地響きと共に活動する文化中心が出来ました。オープンからかれこれ1年、こじんまりしたスペースではありながら活動領域の広く深いNPO法人、ダンスボックス。今回はアンサンブルゾネの新作デュオと主宰・岡さん&ギタリスト・内橋さんのインプロヴィゼーションというプログラム。

 4間四方のステージと、同じ幅で3間ほどの客席。有効高は3m半程、黒く仕上げられた壁とスプリンクラーなどがむき出しの天井、いわゆる小劇場的空間がこのダンスボックスです。隣接してオフィスと、4デシリットルという名のカフェレストランがあります。入り口はフェスティバルゲートの吹き抜けのアトリウムに面し、見下ろせば回転木馬、見上げればジェットコースターという、祝祭空間的立地。

 NPO法人の職員とボランティアスタッフで運営が為され、実際の仕込や本番の進行・バラシ、その後の打ち上げもすこぶる和やかでスムーズでした。基本的には制作担当と舞台担当の2チームでメンバー配置が整えられ、公演団体や作品の内容によって柔軟な対応を心掛けているんだと思いますが、決して広くはない空間を様々の工夫や話し合いで高密度に利用している感じには頭が下がります。
 以前のトリイホールでの経験を元に計画設計されてこその成果と拝察します。客席勾配や入場導線、待合いのムード、どれもここならではの、つまりダンスに専門化したカルチャースポット味が豊富で楽しく、そうした雰囲気は楽屋にも伝わって来ます。アットホームな親しみやすさを伺わせることで、ダンス一般への偏った理解を穏やかに解消させる、そんなねらいもあるのかしらんと考えたりもしました。

 フェスティバルゲートはご存知の方はご存知でしょうが、多少異様なテナントビルでストレートなキッチュ感覚が満載、微妙な空漠感と荒涼感に身を晒す、何とも言えない反未来・反都会環境を体験できます。こうした場所にダンスボックスが開設された経緯についてはあちこちに報告があるので、ぜひ検索をかけてお読み下さい。その精神的に殺伐とした外観と対称的なハートウォーミングさがこの会場の魅力。
 ボランティアスタッフの熱心さが、とても心に残りますね。ダンスを愛する姿勢、というかダンスを支える気持ちというか、踊ることの精神性をとてつもなく肯定的に捉えるダンサーとしてのあり方というか、あり様がひしひしと伝わります。打ち上げも結局ダンサー対ダンサーの邂逅の場としてあるようで、さすがに小空間ならではの親密さを思います。

 ひとつの回答がここにあります。文化中心という構え方の「力」の抜き加減は、こうした手造り感をベースにする方法もあるんですね。文化芸術、民族としての芸能観、敷居の高低ではなく受け入れ者としての分け隔てのなさ、まさに区別も差別もない踊るアホと見るアホの出会い、舞踊とは言わずダンスと言うその見識。大阪という風土が威力を発揮したベタの感覚。きっとユニバーサルに通用する考え方です。

 世界的に見ても私の知る限りもっともファニーな「ダンス」ボックスであります。

(2003/7/4)


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