Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》04/10/28
●2004年10月 <その1>
京都芸術センター●講堂
木床のたっぷりとした講堂は、階下のフリースペースと並んで、このセンターの貴重な大会場です。かつての小学校教室を改装した展示のためのスペースが二つ、それぞれ南北棟の東端にあり、西側の元の校長室や職員室を利用した管理棟の、その一階と二階が公演会場利用されているというわけです。今回はこのセンターの主催するクリエイターズミーティング事業のお手伝い。
企画はJCDN(ジャパンコンテンポラリーダンスネットワーク)、東京から音楽家を招き、関西の振付諸氏が提出したダンスとそれぞれがコラボレーションする内容。大変豪華な顔ぶれで、JCDNの企画力・京都芸術センターの制作力をまざまざと実感することが出来ました。会期最終日が公演でしたが、そこに至る準備の二日間と数ヶ月の競作の日々はいかにも京都なら、芸術センターではというモノ。
実際には窓もあり開放的な空間なのでしょうが、照明の事情で全てを暗幕で覆い、壁面は黒くつぶして使いました。ユニット式の簡便な客席に平台などを積み増しして急勾配の椅子席を仕立て、既設のシャンデリアを取り外して漆喰天井とし、改装時に仮設された鉄パイプ数列を照明と道具のバトン代わりに用いると、なかなか使いでのある小劇場となります。スズナリほどのボリュウムのスペースと思います。
当然スペックまでが豪勢とは参りませんが、旧学校正門からのアプローチ、ぎしぎし鳴る階段を上がって、鉄扉の前にテーブルを並べて作られた授業参観の受付のような出迎えを過ぎ、しずしずと入場する一連の雰囲気は、何物にも変えがたい独特の演出となりますね。新出来の中劇場が逆立ちしても真似できない、真実の時間経過が、確実にここには沈着しています。おっとり構えてじっくり創る為の空間でしょう。
運営的にも貸し館をせず企画事業・主催事業ばかりなのが独自的で、センターの方針に関して安心感を持つ材料になります。以前フリースペースでお付き合いをした茶会の場合、余り事前に時間が取れず慌しく仕込・準備に突入したのが惜しまれます。稽古場・会議室として何度も何回も会場に足を運ぶことが可能なセンターの立地と、そしてその制作の姿勢は、是非このまま維持されると良いなぁと思いました。
会場として技術スタッフの常駐、あるいは企画関与が薄いのは弱点かもわかりません。実際にパフォーマンスの上演に関わって見ると、公共館的な管理体制の長所と思われる自由さと、裏腹に短所と思われる合理性の不在さが、もったいなく感じられます。芸術家ばかりを育成の対象にしているからなのか、創造をサポートする技術・あるいは技術家が、センターの空気感を醸成することに熱心になりにくい。
建物ハードが持つ雰囲気とならんで、技術ソフトが醸す一定の空気感は、観客は元よりそのスペースで活動するクリエイターやアーティストに、絶大の方向性・影響力を与えてしまうはずです。この館が・あるいはセンターが、この街で・あるいは地域に、どのような存在として維持されようとするのか、を技術面でも明快に意識することは決して不必要なことではないだろう、と考えたりしました。
(2004/10/28)
岩村原太の「万国文化中心報告」の扉へ
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