Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》04/11/02

万国文化中心報告 vol.131

●2004年11月  <その1>

さらさーら●長良川国際会議場

 金華山を長良川越しに見上げる立地、「世界イベント村ぎふ」と名付けられた体育文化エリア施設群の一つが、この安藤忠雄氏設計の国際会議場です。同通ブースを備えたワンスロープの1600超の大ホール、幾つもの会議室、屋上庭園と卵形ドームを擁します。素っ気無さを感じさせるほどシンプルな造りなのですが、ごく細部には恐れ入るほどの気配りがされていて、劇場とも言いがたい、独特のスペック。

 建物のエントランスには正方形5階分の吹き抜け(市民ギャラリー)があり、会議場部分とメインホール部分を区画していますが、開場前はここが待合いの列で埋まっていました。安藤氏の打ち放しコンクリートは決して冷たい印象はなく、床材に配慮のあるインテリアデザインを伴って、仲々の居心地の良さ。親しみ易さはないものの、モニュメンタルな雰囲気が入場前の気分を盛り上げているようです。

 びっくりするのは、ロビーやギャラリーなどの公共エリアからは金華山や長良川を見渡せない造りになっていること。屋上庭園に上がっても植栽が目隠しになって広々とした景観は無いんです。びわ湖ホールとは対照的ですね。小さなガラス壁や窓から穏やかな山と空が見え、それが逆に建物の廻りの景色を思い起こさせ、却ってホールの催し物に気を集中させられるという主張なのかもわかりません、何と云うか。

 客席時のワンスロープは微妙な段差で見易く整えられており、断面的には緩やかな凹曲面なんです。1階が舞台と同じレベルでそのラインから客席前方3分の1ほどが舞台面より徐々に下がり、3階レベルがスロープの最後部ですから、客席観にはかなりの迫力があります。客席段は各列微妙に段差が変わる訳ですが、客席通路のステップはそうなっていなくて、通路と席列の段差には小さなスロープを挟みます。

 舞台面より低くなっている客席は1列ごとの収納式座席、通常は微妙な段差の階段状、それを平土間状態にすることも、オケピ風にも前舞台にしても使うことが出来ます。会議場的には天井も高くなく、客席と舞台に親近感があって、グッド。ただ、前明かりが全般に低く、また間口が広いので客席壁からの投光も必ずしも万全ではなく、多目的ホールとしては使いづらい部類でしょう。内壁は白めに仕上っています。

 ここには岐阜市民芸術祭の一環で、岡登志子さんの振付作品のお手伝いに来ました。会館には管理の技術スタッフが常駐されているんですが、何しろ数多くの大規模会議室を同時に運営していくので、お忙しそう。名古屋から若尾舞台の皆さんが1部4作品、2部1作品の進行を勤めに来てくださっています。聞けば17回目、今年は洋舞の部はモダンダンス。昨年はバレエとモダンとジャズの合同舞台だったとか。

 折からの好天で、大変気持ち良く滞在させていただきました。ちなみに、表題の「さらさーら」は長良川国際会議場の愛称です。

(2004/11/2)


岩村原太の「万国文化中心報告」の扉へ

無断転載禁止 掲載:アーク編集室