Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》04/12/10

万国文化中心報告 vol.133

●2004年12月  <その2>

文京シビックホール●後楽園の、そのもうひとつ後ろ側で

 鼓童12月公演、東京会場は文京シビックセンター・シビックホールです。パブリックシアターと真逆の概念で、こちらでは貸し館ベースに運営されている模様。シビックセンターとは区役所や他の文化施設複合のこのビル全体の名称、JR線からだと後楽園の後ろ側に位置するので、建物正面が北側を向いていて、表に立つと大層しかめつらしい威圧的な外観。交通は地下鉄からも直結していて便利です。

 後楽園には球場と遊園地があり、最近には温泉施設もお目見えしています。南側のJR線水道橋駅からはこうした明るい賑やかなアクセスです。ところが一転してシビックセンターの裏側には窓が無く、トラックヤードになっていて、電車も高架で通り過ぎたりするので、どきどきします。こんな感覚は大阪でも味わうことがありますが都会の文化施設ですねぇ、なんというか「密着」している感じです。

 勿論前身は区の公会堂ですから、文化殿堂的風情はそんなに強烈には匂いません。それでも、しっかりとフォーマルな印象を創り出そうとはされていて、ロビーの雰囲気はかなりのものです。路面と同レベルにホワイエがあり、ガラス張りなので場外の往来も見え、かなり際どく親しみ易さと芸術的環境の両立を探ろうとした形跡があります。ロンドンのサドラーズウェルズをちょっと思い出しました。

 愛称がシビックホール、正式には響きの森文京会館。本格的コンサートホールとしてオーケストラとの協働企画などもあり、京都に住む身からすれば東京のふんだんな会館環境に頭が下がるばかり。首都一極集中の文化ハード状況を身をもって体験しますね。でもまあ前出のロンドンもパリもそれを非とせずにハードと、それとソフトが棲み分けている訳だし、これを是とする納税者の皆さんに感謝せねば。

 ホール内部は落ちついた木調の壁面、柔らかい薄紫色の座席、高い天井は白く、床はコルクタイル。「クラシックコンサート用に作りました」ムード満載。客席勾配が程よく、一階席からも二階席からも舞台をきちんと見渡せます。ただ、二階席が大分奥にあるので、舞台からの客席観は一体味に乏しく、親しみ易さを醸成するには厳しい条件です。音はしっかり届くので視覚聴覚のバランスが悪いと言うか。

 舞台設備機構は大変立派で、照明音響施設も全く問題ありません。非情にカチッととしているので、格式高い効果演出はやり易そうです。仮花道やフロントサイドのあしらい、客席中央通路のレベル(=舞台高と+−ゼロ)、プロセニアムポータルの仕様、などなどを見れば多目的対応も図られており実に合理的な会館設計の決着例ではないかと思います。市民会館と区民ホールの違いはこの合理性の差にある。

 こうした合理性は計画段階でのソフト戦略、ハードの棲み分けを積極的に進めた成果だと考えられます。ホールと同じ建物には生涯学習室や図書館、区民ギャラリー、他に公民館的な集会室もあり、日常的なニーズと祝祭的なユースとにスペースが分節されている。シンボリックなポジションにこのホールを位置付けることが必要だったのかも分かりません。

(2004/12/10)


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