Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》04/12/16

万国文化中心報告 vol.134

●2004年12月  <その3>

愛知厚生年金会館●名古屋・池下

 今回の旅中で、もっとも楽しみにしていた会場がこの大ホールです。名古屋には友人も多く、年に一度は訪れる機会もあるのですが、いかんせん京都からの距離が災いしてじっくりゆっくり街に滞在することが多くありませんでした。佐渡初演から出発し東京公演を乗り切った旅の勢いに、今はこの名古屋で一息ついたような恰好です。街ではすっかりクリスマスの飾り付けが終わっていて。

 来春開幕の万国博の宣伝にも余念は無く、地域経済の勢いが伺えます。一年のしめくくり期真っ只中、大ホール隣の結婚式場も素晴らしく華やかで、名古屋の街の晴々したムードを堪能させます。思えばご当地では、ぼくは県立芸術文化センターや七つ寺共同スタジオ、市立美術館くらいの会場経験しかないわけで、こうした普通の会館作業そのものが珍しい。乗り打ちの緊張感も新鮮ひときわ、というところ。

 会館の外装は綺麗に整えられて、車寄せもあり、最寄地下鉄駅からすぐの立地。舞台設備機構や音響照明施設は旧来のものを工夫しながら現代的な演出に対応させています。舞台床や客席椅子は新しく交換されていたり、楽屋も新装されていたりで、居心地は良い小屋です。客席勾配や舞台高の具合が何とも言えずクラシックで、客席観は抜群にフレンドリー、こんな多目的会館は今からでは建たないだろうなぁ。

 大概は地域公演地毎に上演作のニュアンスは変わるものですが、こちらでは親密さが求められたりする様子。名古屋のお客様方の嗜好もさりながら、例えば受付の雰囲気とか、最寄駅からの道中の景色とか。会場はキャパだけではないんですよ、劇場スタッフの思いも含めて、その現場が醸し出す雰囲気と言うものには敏感になっていきたいと、今度もつくづく考えさせられています。小屋は見かけによらん。

 ロビーには明るいオレンジ色の瀬戸物タイルが使われています。雨の日とかは滑りやすそうだけれど、足元が華やいで、結構素敵に良い感じ。70年代独特の生真面目な開放感が漂う、優しい建物です。厚生年金事業の一部なので、この会館は他に体育施設とホテルも持っています。それで東京とほぼ同じ1600席超なんですから、会場条件で見えるものが違ってくることの面白さ=怖さは抜群にありますね。

 公演回数を重ねて出演陣の中にも流れに対する安心感が出て来、演劇や舞踏と異なるとは言えこのコンサートも劇場作品で、お客様の観ようとされている事象を何とか実現する向きに、少しずつ、変わっていくのが当然なこと。今回、佐渡での立ち上げの2日間・東京での練り上げの4日間、仕上ったと思う間もなく更に大きく、作品として成長していく舞台は本当に楽しみです。

 たまには、こういう旅もしないといけません。このあと4回の公演を残すばかり、コーチンの手羽先と味噌煮込み、愛知万博の準備たけなわ、トヨタ自動車やノリタケボーンチャイナで名を馳せるご当地、名古屋からのリポートを終わります。

(2004/12/16)


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