Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》04/12/02

万国文化中心報告 vol.132

●2004年12月  <その1>

アミューズメント佐渡●ドリーミィホール

 鼓童12月公演、立ち上げの現場です。仕込みを1日、リハーサルを2日、公演を2日。鼓童さん方の本拠「鼓童村」から車で40分ほど走って、相川・佐和田の町を見下ろす丘陵に建っています。時折吹きぬける強い風や、霰混じりの雨をくぐる様にして、丸いかまぼこ屋根が日本海を臨みます。キャパ1200、ほぼ長方形のワンスロープに、張り出して2階バルコニーがレイアウトされた場内です。

 多目的ホール、としては大分とコンサートの開催に比重を置いた設計の様で、反響板の設置に工夫が凝らされている感じです。正面は反響板の前にホリ幕や大黒を降ろし、側面反響板は回転式で黒幕で囲って袖の様にして使います。勿論天井反響板はしかるべき場所にきちんと吊られて格納、ポータルは無し、結果的に第一照明バトンが前吊り天反の裏に来て、日本の小屋では珍しくサスが効きやすい作りです。

 反響板と同じ意匠で客席内も仕立てられていて、真っ白い、凄く清潔な印象のある内装、直方体の空間が広過ぎず狭過ぎず、仲々中庸な、見事な多目的感です。こうした白内装は僕の中では多目的観と極めて無理無く直結してますが、明るさを感じさせ、館創設の意図から起こせば、どうしたって白基調の内装計画に落ちついていくんだろうなぁとも思い、日本の平和を噛みしめてみたりしました。

 ご存知の様に佐渡滞在中は拉致被害者の方を巡っての報道が日本中に喧伝され、また中越の大地震の被害も全く他人事ではなく、今年は台風被害も格段に多く、そうした環境・状況での鼓童公演は公演とは銘打つものの、実質的にも実際的にもコンサート以外の何物でもあり得ません。太鼓の響きが場内に満ちるそのときに、その響きに身を委ねて、今年の納めを暖かく嬉しく迎えていただけたらなぁと考えます。

 新劇の巡業や、民音の企画、もちろん地域芸術・芸能団体の発表公演など、様々に利用されているであろうこうした公共館の使命に応じて、内装や舞台設備の仕様が定められ、施工される。営々たる日本のホール史、つまりは箱物行政と揶揄されてしまうに至った運営上の無策はさておき、集会場・公民館の頃からホール計画に期待されているのは先ず「明るさ」や「清潔感」と不可分の、文化的先進性なのでした。

 しかしその文化的先進性の内容となると、テレビ・ラジオの放送番組と紙一重で隔てられているばかりで、劇場芸術・舞台芸能の特異性をいたずらに無視したホール設計が横行してしまう素地が、そんなところに顔を出します。劇場史舞台史的には、その実体はまったく明るくも無く清潔でもないのが演劇だったり舞踊だったりしている訳で、現代のテレビ文化に横溢する大衆性とは別趣の先進性が、本来は必要です。

 とはいえ、音楽、それも大衆芸術的もしくは伝統芸能的な、日本文化の伝承のある先進的局面を切り拓く、切り拓いていこうとしているこの(鼓童という)団体性は、自分の仕事には珍しく白内装がハマリました。季節や風物、時間の流れ・人々の想い、それらが真っ白の無地の画面に一つ一つ描かれていく様に、ホールの白壁に光がこだまする感覚。私の忘れていた舞台芸術の実相の一つを思い出しました。

(2004/12/2)


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