Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》04/12/23

万国文化中心報告 vol.136

●2004年12月  <その5>

新潟県民会館●12月公演千秋楽

 いよいよ最終公演地です。新潟市は日本海側ではもっとも大きな市街、その文化ゾーンに市の芸術会館「りゅーとぴあ」と並んで、この県民会館が建っています。地元サッカーチームの本拠地となる競技場などもあり、一帯が公園になっています。駐車場も豊富にレイアウトされていて気持ちの良いエリアですね。繁華街からも歩ける距離ですし、羨ましいくらいの充実ぶりでした。

 古い建物ですが、内装設備共にしっかりとリニューアルされていて、実に得がたい良い劇場です。コンクリートをはつって凸凹した内壁に仕上げてあり、華やかではないものの暗くもない落ち付いた視環境が整えられています。天井は木目調のウッドパネル、座席も深い茶色と濃いグレーのコンビネーションで、大人っぽい、渋い感覚です。客席上部空間が大きすぎることはなく、音の響きは実に親密です。

 前明かりの具合も近すぎず遠すぎず、大変使い勝手が良かったです。なによりプロセニアムが無いので、客席と舞台が断絶せず、自然な一体感を演出することが可能です。さりげなく框と舞台蹴込みが白御影石になっていて天井パネルと好一対の高級感を見せてくれます。ホリゾントも今時珍しい湾曲壁。しっとりとした良い加減の明かりがそんなに苦労もせずに実現できました。

 ロビーのインテリアも同じ感性で統一を持たせ、階段室の高い吹き抜けが上手に照明されているのにも目を奪われます。キャパシティは1700。オーケストラピットにもなる舞台前の客席列から、一つながりのスロープが二階席の張り出したバルコニーの下にもぐりこみ、また二階席は天井パネルの屈曲した天蓋を頂いて同じように少し急目のスロープが一気に立ち上がり、ドラマチックです。

 良く見て歩けば天井が低かったり無理な動線計画が残っていたり、古さを感じさせる部分もあるのですが、相対的には非常に合理的でモダンな会館という事は言えると思います。扇型に広がる客席では無いことも幸いして、どの座席からも舞台が見易く、散漫になりがちな明るい場面でも集中をそぐことがありません。多目的には造られているはずですが、殆どそういう不自然な感じがしないのは奇跡の様です。

 中庸なサイズのオケピを設け、両花道をつけ、タッパを高くして3階席を確保し、見切れが出ることを承知で扇型に客席列を展開し、という事共が如何に劇場性を失わさせるか。同じ会館と名付けられた建物でも、その設計哲学次第で全く内容が変わるのが驚きです。ほんとに、いろんな劇場があるものです。ただ、この小屋の場合、座席のポジションによっては演目の印象が大分変わります。

 その謎については、これから又、考えなければいけません。ともあれ鼓童12月公演は音楽会でしたから、聞こえてくるものと見えてくるもののバランス・さじ加減が肝でしたね、大変楽しい旅回りとなりました。明るく見えれば音は大きく感じるし、暗ければ音を聞きにくく感じる。かといって常に明るい状態では音楽の背景を見せることが難しくなるし、楽曲の背景が見えてくるのは場合によりけり。

 演目の印象が変わるというのは、結局、この辺りの視覚的な情報の多寡に拠るものとは思いますが、そうやって様々に見える舞台表現を良しとして、たっぷりした見所の豊富な照明デザインを心掛けたいものです。

(2004/12/23)


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