Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》04/2/18

万国文化中心報告 vol.100

●2004年2月  <その2>

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「だれか、来る」シリーズの第三弾です。
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あしびなー●沖縄市民小劇場

 コザ市が1974年に沖縄市となってから30年ということです。コリンザと名づけられたショッピングセンターの3階に、公民館のようなに、250〜350席のこの小劇場が存在しています。2000年5月の開場。窓から見える程のところに1500席の市民会館があり、当劇場ロビー入口の周りにはハローワークや遺族会事務所などなど、両劇場合わせての行政文化ゾーンといった風情になっています。
 窓の外をさりげなく戦闘機が通りすぎていくとか、バス道の片側は延々とフェンスにさえぎられていたり、街の店々の看板が半分は英語というような訳で、普天間基地のすぐ脇に立地する事実をともすれば突然に認識させられるんですが、あしびなーは「遊び庭」とのこと、普段は琉球芸能やライブ、アマチュア演劇などで大変に賑やかな毎日のようです。国境のある町、という言葉をふと思い出します。

 観光シーズンはずれのこの時期、街は閑散とした空気を湛えています。陽射しばかりは鮮やかに海の近いことを感じさせ、朝晩の冷やっとした風までが何とも言いがたい粘っこさで港町独特の味わい。建ち並ぶビルや住宅も洗い晒され、漂白したような肌合いがエキゾティックで嬉しい。静かな季節だからこそと思いますが、沖縄という言葉の持つ「ハジケ」る感じはかなり遠くにあるようでした。

 開館直後の北九州芸術劇場ではショッピングモールにまだまだ素晴らしい勢いがあって、却って劇場の静けさが印象に残りました。キャパが2階席合わせて約600とは思えない冷静さでしたが、逆にこちらはショッピングゾーンの落ち着きの方が強烈で、ちょっと銀座の博品館を思わせるロビー、円弧状に並ぶベンチ式の座席が存分な賑わいを予感させるほど。つくづく劇場はキャパじゃないのねと思います。
 平日の仕込み本番というのもこの印象に荷担したかとは思いますが、きけばピアノや民謡の発表会でとても人気の会場なんだそうで、そんな時はおじいちゃんおばあちゃんから親兄弟までぎっしりの客席になるとか。私たちの公演もおかげさまでほぼ満席の盛況で、とはいいながら町と立地と館のバランスを把握しきれず、小屋のあり様のイメージはできないままに、仕事が終わってしまった気がします。

 特記すべきは内装色とベンチの造りでしょうか。ベージュ色を主にオレンジと茶色のコンビネーション、臙脂色がアクセント。舞台が暗いときには適度に会場も沈み、明るくなれば浮き立つような雰囲気を醸し出します。床面はグリーン系のフローリングになっていて、全体は適度に上品な居間の様な感じです。ロビーには蛍光灯も使われていてクールな空気があり、その内外の対比も見事。そしてベンチ。
 肘掛をはね上げられるように造られています。各個の椅子として使うとちょっとゆったりしたソファ分の幅があるものが、肘掛をなくすと一並び10人掛け程度のベンチシートになり、全体キャパも250席が350席にまで可変する訳です。すごーくフレンドリーになります。ラヴリーと言ってもいいです。客席容積の割りにキャパが少ない計画だからこそ、窮屈でなく温かいムードになるんでしょう。

 舞台はこじんまりしていて必ずしも充分なスペックとは言えませんが、建築的に細かな工夫があちこちにあり、働くスタッフも皆若くて親身な対応ですから、評価としては「二重丸」です。お稽古事の発表会で人気抜群なのもなるほど良く分かります。
街に活気溢れる別シーズンにもう一度訪れ、おすましとは違う表情に彩られた「あしびなー」を見てみたいですね。

(2004/2/18)


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