Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》04/3/10

万国文化中心報告 vol.103

●2004年3月  <その2>

モンペリエ・ダンス●オペラ・ベルリオーズ

 2200のキャパを1階席ワンスロープとその上に張り出す2階席、さらに両サイドと正面に3層に重ねたボックス席で確保した、巨大な劇場空間です。最上階照明から舞台端までの距離は約50mとのこと。これだけ客席によって条件が変わってくると、同じ作品を見たとは思えないくらいの感想の差は、当然あるだろうと思います。満席にしていただきましたが、申し訳ない気持ちで一杯です。

 モンペリエ・ダンスは市内の劇場や会場が組織するプロデュースのための団体で、1月から4月までをシーズンとして1ヶ月に4本程度の公演を招聘しているようです。実質はそれぞれの劇場の主催公演だったり、いろいろのようですが、共通のパンフレットを作り、会員を募集して、この巨大現代オペラハウスのほか旧オペラハウス、フリースペース様の会場、に観客を動員するわけです。

 オペラ・ベルリオーズと名付けられたこの会場での上演は2度目になります。前回は夏のモンペリエ・フェスティバル、当時は新築直後で外構工事の終わらない中での作業でした。スタッフも熱く、機構の新機軸や最新の照明設備などを駆使し、楽しむように作品の立ち上げに付き合ってくれたことを思い出します。その後3年経ち、手馴れた具合の進行は南フランス人種の鷹揚さが濃く薫る感じであります。

 当会場のプログラムを見ている限りではコンサートが多く、2ヶ月に1本か2本のオペラ、他にダンスや演劇がぱらぱらとあり、会議や講演も入ったりしています。同じ建物内にオーケストラが入っているので、その練習なども日程表に入ってきます。どちらかといえばコンサートホールとしての可動状況でしょう。別に中ホールもありますが、そちらは室内楽の演奏会が主になっていました。

 内装も、赤御影石を張り、床は明るいベージュのフローリング、座席も同色、陰りや曇りは全く無いあっけらかんとした仕上げで、ホールロビーの開放的な雰囲気と良くマッチしています。舞台は間口奥行きともに10間、その奥と左右にさらに5間づつのゆとりがあり、全てを艶消しの黒に塗装。なんと反響板も渋い無光沢の濃い灰色に仕上げてあって、大人っぽい趣味を感じさせます。

 ここでのオペラは巡演物が殆ど、他の都市のオペラハウスと共同で制作したもの。なので、ショップやクチュールは最小限、普段の技術員の配置もとても少なく(舞台3〜5、照明3、音響1〜3)、我々の仕込み時はあちこちから(それこそ市内中から)応援に駆けつけたスタッフで一杯でした。夏と違って若いスタッフは少なく、勢いも少なく、そういえば劇場もあちこちホコロビが目立つ感じで。

 劇場建築が国際化して共通技術に則った機構や設備を有するようになってくると、今度は技術員にもそのように標準化された技能や判断が求められていくわけで、それは場合によると作業者を疎外することにもなるし、若いやる気のある(発見精神が旺盛で創作に意欲のある)スタッフにはとても窮屈なことになっていくように感じます。それを回避して活気のある職場を実現するにはプログラムのあり方が大切。

 とはいえ、プログラムを組むにも独自の財源が必須ということになれば、結果的には地域地方では職場の活気を一年中維持するのは至難の技でしょう。確かめないと断言ないんですけど、日本にだって同じ状況はあるだろうし世界的に見ても大よそ、その傾向はあるのではないか。となると、劇場建物が国際化することは、一見素晴らしいことだが、そうではない可能性をどんどん探ってやる必要もあるんです。

(2004/3/10)


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