Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》04/5/11
●2004年5月 <その5>
ジュネーブの続き●仮設オペラハウスでした。
BFMは1892年に建てられた水動力利用の市立施設を、ジュネーブのオペラハウスが改装する間の代替施設として、仮設大劇場に転用したものという事です。レマン湖からローヌ川が流れ出すちょうどその場所に、川の流れを分断するようにL字型の橋状建物があって、その曲がり角のところに大きな回転機械が今でも撤去されずに置かれています。ロビーとホワイエを分けるオブジェの役に立っています。
ロビー側は展示場として使われています。今は写真展の最中。大きな窓からの採光とインテリア風にデザインされた照明器具とで、いかつい年代物の機械類と写真やパネル・観葉植物・ベンチなどがカジュアルにライティングされていて、大層魅力的な空間です。入り口のドアが小さいので建物に入った途端の大階段やその先の高い天井などが印象的なんですね。古い鉄骨の梁の様子がよくわかって興味深いです。
ホワイエはカフェになっています。椅子とテーブル以外何も置いてなく、梁にそのままにされている大きな起重機やチェーンホイストが空間のアクセント。アルミトラスに一杯取りつけられている舞台用の照明器具も、そこに違和感なく存在しています。窓と同じ高さに仮設のベランダがあって、喫煙はそちら。終演後はそこから公園に出ていけるようになっています。川は今でも建物の下を流れています。
公園は中州です。アーツセンターが一方の端にあるので、左岸と右岸の間のこの場所は、ちょっとした文化コーナーなんですね。BFMは現在は貸し会場が多いみたいですが、ムジーク・シュール・ローヌという音楽プログラムもあって、オペラティックなムードは小屋のあちこちに残っています。楽屋がたくさんあるのも、オケピが広くて深いのも、呼び出し用のスピーカがあちこちにあるのも。
キャパシティは1・2階席合わせて1000程でしょうか。多くの市民に愛されて代替施設期間の終了後もそのまま使われているような感じです。開演間近を告げるベルはヘンデルの水上の音楽(録音)。こんな山の中の地方都市(失礼!!)に、こんなに気を効かせた会場が運営されているなんて、勉強不足で全く知りませんでした。スイスは小さい国なのにホントに様々で、今回は学ぶことが多いです。
前回もお伝えしましたが、内部は全て木で造ってあります。階段がきしんだりするんですけど、それはご愛嬌ですね。楽屋の天井即舞台床なので、後片付けの音などは響いて聞こえて来て、しんどいのも確かです。それを補って余りある窓からの景色!
新築ばかりが能じゃないと思いました。永世中立が創り出したものは鳩時計だけではありません。例えばこんな文化施設もあるんです。
(2004/5/11)
岩村原太の「万国文化中心報告」の扉へ
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