Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》04/5/26

万国文化中心報告 vol.125

●2004年5月  <その12>

素敵な国立劇場でした●デン・ナショナル・セーネ

 客席を含め、3年前に大きく改装を行って見違えるほどきれいになった、とのこの劇場ですが、最新装備を惜しげなく投入しています。装飾などは古くのものを考証し創建当時の様子に復状してあって、大理石やガラス、マホガニーや真鍮などの素材が磨き上げられ、森の動物たちをモティーフにしたさりげないデザインがそこここにあしらわれていて仲々見所があります。マッキントッシュの意匠を思い出します。

 プロセニアムは灰青色に金で魚や豚(?)、狐や猫、リス、鳩の飾り、客席は暖かな濃いベージュ色の壁、白とグリーンが基調のロビーにはハート型をした木の葉のバリエィション。裸電球を使った照明器具は幾何曲線をシンプルに扱ったもの。ホワイエのベンチなども重苦しくなくすっきりとしていて素敵。今の季節だからとは思いますが、窓からは豊富に外光が入り、明るく、実に楽しいムードに満ちています。

 デンマーク領だった頃、1850年代の建物、木製の客席椅子も古めかしく、馬蹄形プランのプロセニアム劇場ですが、大きすぎず(1階平土間席・2&3階バルコニー席合計で400席程度)、遠すぎない舞台との親密な感じはかなりのもの。天井画はこの街を背景にして描かれた天の川のデザイン。往時は王立劇場として、グリークも働いていた、との由緒を誇ります。旧市街の公園の中にあります。

 客席天井に設置された照明機材はリモコン操作でフォーカス、スピーカーはウォールとメインとそれぞれ常設されたものがあり、客席扉は非常時などには自動で開閉できるようになっています。舞台には廻り盆があり迫りがあり、プロセニアムの裏側に常設ポータルもあって、使い勝手は悪くありません。オーケストラピットも深く、仕込み時間さえあればなんにでも対応できる構えになっています。

 楽屋部分は下手上手で男性用女性用と分かれ、地下には大部屋と衣裳部屋、広々した食堂と喫煙室も完備、実際に動いている劇場って感じがとてもします。私たちの公演にかかわりのない沢山の人たちが、今日もそこここを行き来して日常業務をこなしているんです。舞台裏の作業スペースには山盛りのセット。レパートリーのもので金のヤシの木やホテルリッツの玄関など、楽しげな道具で埋まっています。

 我々の公演がフェスティバル中の特別番組ということなのでしょうが、もともと人数は多い小屋のようなので、照明部8名・大道具(舞台部)10名・音響3名がローテーションを組んでいるのも当たり前みたいです。一人約6時間見当で交代していきます。こちらの刻々と代わるタイムテーブルに合わせ、次々とローテーションを組替え、無駄のないように無理のないように、監督さんは大変です。

 フェスティバルの野外会場も次々と新しいものが建ち、コンサートが終われば撤収され、目まぐるしく街の景色が変わっていきます。高台に登って街を見下ろすと、旧市街に劇場などの会場が集中しているのがよく分かります。かつてはノルウェーの首都だった頃の、大層な文化遺産なのでしょう、美しい街並みが海に接しています。遠くでは空と海が接して境目もわからず、もうすぐ夏本番という気分ですね。

(2004/5/26)


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