Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》04/5/05
●2004年5月 <その2>
テアトル・デュ・パッサージュ●ニューシャテル
ニューシャテル湖のほとり、ニューシャテルまではジュネーブからバスで約2時間、山と湖水とブドウ畑が続く景色の中、古い建物の町々、落ちついた旧市街区まで、あっという間の旅程です。折からの霧雨がしっとりとした佇まいの湖畔を湿し、この国でも春から初夏への移り変わりが進んでいるのをまじまじと体験します。フランス語圏に入りました。同じスイス人とは思えないほど、ノリは軽くて可笑しいです。
劇場新築後数年。表道路からは全容が見えずわかりにくいものの、鉄筋コンクリート造の恐ろしく合理的な現代劇場で、とってもフランス的な全手引き2重グリッド、そっけない客席内装が特徴的。さすがに要所々々の収まりはお見事、比べちゃいけないかもしれませんがテルアビブの小屋の施工業者には是非見て欲しい完成度。楽屋エリアはガラスとコンクリートと磨き木材とを使い、実に美しく内装されています。
一方、客席配置と勾配はドイツで見たものと似ています。センター通路はなし、ゆるく弧を描いて連なった客席、なだらかなワンスロープ。最前列に座ると胸の高さに舞台があります。ペンキで渋いブルーに塗られた壁面はわずかに舞台に向かって閉じていますが、基本的には垂直、途中からは作業用開口部、プロセニアムにさえほんの飾りッ気もありません。メインスピーカーが唐突に壁から吊られています。
アドミニストレイションとチケットビューローの建物は古く、そういうことから考えると地域再開発の一環事業とも思えます。劇場のすぐ山側に自然史博物館、湖側に美術史博物館、どちらもエントランスは改装されたガラス張りの建物、近在の映画館やレストランは揃ってリストア中、夏のオンシーズン前のお化粧期間という具合です。そして一帯はショッピングゾーンとして歩行者天国になっています。
山と湖に挟まれた急斜面に張りつくように街があるわけで、城があったりケーブルカーもあるそうですが、どれほどの観光地なのかはわからずじまい。晴れていれば湖面も見渡せて気持ち良いことでしょう。地図に拠るとアルプスが望めそうです。ホテルの目の前にはヨットハーバーがあって、こうなると慌しい旅程は恨めしいです。
残念ながらこの劇場はここまで、ぼくは仕込だけを済ませて次の劇場に移動、前仕込みの段取りをします。道中は電車、何となく滋賀や長野を移動しているような気になりますね。所々でヤギやヒツジの散らばる絵本のような景色が広がって、フッと我に返ったりします。本隊は本番後バラシをして翌朝の移動です。
次の小屋は倉庫のようだ、と下見してきた舞台監督が言ってます。映画館・屋内馬場・宴会場・現代劇場、と廻ってきて会場館較差に翻弄され気味ですがはてさて、どういうことになりますか、ちょっと楽しみです。
(2004/5/5)
岩村原太の「万国文化中心報告」の扉へ
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