Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》04/5/09

万国文化中心報告 vol.117

●2004年5月  <その4>

そしてジュネーブ●BFM

 フリブルグの小屋は本当に倉庫だったんです。自転車屋さんと靴屋さんのテナントが入る貸し倉庫を、劇場として改装して運営されていたんでした。今年の7月でこの会場はクローズ、来年の1月に竣工予定の新劇場にて活動を継続するとのこと。ニューシャテルのアドミニストレーションと協働でプログラムを組んでいるそうです。新しい小屋はキャパ400、現在の280と比べてだいぶ大きくなるわけです。

 仕込中はロビーが休憩室代わりでした。ちょっと気が利いたインテリアのバーが、そのまま私たちのグリーンルームになって、良く分からないけどコーヒーやビールは飲み放題。幾つもの企業協賛を受けている様子は、壁に掛かった看板からしみじみ伝わって来ます。来年からの新運営を心から応援したいです。スタッフさんたちはそのまま新劇場に異動、素晴らしい小屋になりますよ、きっと。

 さて、そしてジュネーブです。例によって本番を本隊に預け、早朝にフリブルグを発って電車で到着致しました。すごい大都会(に見える)。ホテルの早朝チェックインではNY並みの素っ気無さで部屋の鍵を渡され、少々げんなりしながら劇場へ。BFM。バティメント・フォース・モトライス。川の中州に建つ元工場を再生した立派な(そう感じた)会場です。外側はそのままで内側に劇場を造り込んでいます。

 30mもの奥行きを持つ舞台で、そこに間口一杯、3分割で四角くトラスを組み、それぞれをホイストチェーンで昇降します。スイスのこうした文化施設はともかくホイストチェーンを多用してますね、元々の建物を保存することに命をかけてる気がします。この劇場はそれがなお徹底していて、実際の建物の底面から1m弱持ちあがったところにベースメントがあり、内壁も数十センチ浮かせてあります。

 1stフロアに楽屋受付や休憩所、2ndフロアが楽屋と舞台、さらに8mの高さが舞台空間として確保されていてその上に屋根があります。これらの構造物も内装材も、また客席の床も壁も椅子も、全てが木。大きな窓が客席の両サイドにあってそこからはジュネーブの景色が見渡せますが、その遮光は厚い紅の別珍でドレープを取った豪華なカーテン。クラシックのコンサートも出来る、本格的なホールです。

 プロセから奥は全てを黒塗りにし、客席側の紅そして壁天井の白とコントラストがつけてあります。ワンスロープはゆるく、奥の方に数列の2階席が設けられてあって、客席観は京都のいくつかの歌舞練場とそっくりです。オーケストラピットもあり、スタジオやショップも完備、何やらびっくりするほどの大劇場テイストでした。羨ましいね。働く人々も都会的で(でも歌うのはウエストサイド・ナンバー)。

 実はここに至って始めて認識しましたが、スイスは連邦制なの。そりゃいく先々で違う風合いになるわけです。ジュネーブはスイス切ってのリッチエリアだとか。このBFMはスイス全土で評判の劇場なんですが(行った先々のテクニシャンは皆知っていた)、それもわかる気がします。一度訪れたら忘れられないインパクト、豊かさの感じとサプライズがあるんです。その成り立ちを知りたいものです。

(2004/5/9)


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