Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》04/8/11

万国文化中心報告 vol.127

●2004年8月  <その1>

お馴染み●芸術創造館

 すっかりご無沙汰だった芸術創造館も、今となっては貴重な、大都会の中の小劇場ですね。ご存知の方も多いとは思いますが大阪市内の小劇場が減って、地元の小劇団の拠点となるスペースの不足が大変に深刻なんです。それはさておき。

 今回も清流劇場の公演です。美術家は池田ともゆき氏。床に4間四方の日の丸模様の布を広げただけ、という至ってシンプルな空間。この劇場にはこんな使い方しかないわけでもないんだけど、結構このパターンが多くて、毎度々々照明的には腕が奮え(震え)ます。今回も楽しませていただきました。

 地味に丁寧に改装され続けているのが、このスペース最大の特徴です。照明器具を吊り下げるバトンの具合とか、客席段の隅っこやステップの処理、楽屋スペースなどなど、来るたびに手が加わっていて、それにはもう本当に頭が下がります。プロの工夫で素人でも安心して安全に使える進化を遂げ、前回と比較してもびっくりするほど使い易く、また綺麗な明かりが作り易くなっていました。

 綺麗な明かりを作る、そんなに大変なことでもないんだけど、いつもその水準を保ちつづけるには根性が要る、ってな類の作業。毎昼毎晩美味しい食事を整えるのと同じ位に楽しくて、同じようにそれほど報われないタイプの仕事。調理場の物の並びとか器具の性能とかが、なにくれと料理に影響するのと一緒ですね。
 ちょっとしたバトンの位置とか、配線の処理とか、本当に何気ないことばかりなんだけれどもそのおかげで、余分な影が出なくなったり光の回り込みがコントロール出来たり。クセの無いのびのびした光景を気持ち良く作れて、嬉しくなりました。

 建ちあがった劇場を、劇場の名にふさわしい内容とするために、どれだけの時間が必要なのかを考えることは余りないかもしれませんが、ここにまだ成長を続けているスペースの実例があります。・・・いや本来の劇場とはそういう物の筈ですね、ヨーロッパの公共劇場がそうでしたもの、忘れてはいけないです。

 管理スタッフがこのスペースの隅々までを知っていて、度毎の出入りスタッフの様子や意見を汲んで、必要なことを必要なだけ、それも出来るだけこまめに対応している感じ。こういう劇場を訪れると、全く管理スタッフというのは特殊に専門職だなぁって思いますね。なんでもそうですけど、誰にでも出来る仕事じゃあありません。

 空気のようにそこに居て、何気ない感じで手を貸してくれて、作品の逐一と劇場のこもごもをマッチさせてくれる。人間関係が基本なのはもちろんとしても、その手助けスキルについては経験に裏打ちされていないと役に立ちません。ヘルパーさんと一緒で、見守りから一部介助・要支援・要介護までの各段階を適切に判定し、共に現場を進行してくださるわけですから。

(2004/8/11)


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