Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》05/12/03

万国文化中心報告 vol.152

●2005年12月  <その1>

鼓童十二月公演●アミューズメント佐渡

 昨年に引き続き照明デザイナーとしてお呼びいただいた、鼓童十二月公演初演、ツアー初日です。1度仕事をして会場やプロダクションの様子がわかっていると、何においてもゆとりを持って準備が進められたりするもので、おかげさまで大変充実した日々を過ごせました。時折の吹雪、まさに冬将軍到来の佐渡島です。

 佐渡の、鼓童さんの稽古場はそれ自体、万国文化中心(世界の中心で日々を過ごす)の典型であります。今年はほぼ2週間滞在させていただき、晩秋の穏やかながら寂しい陽の光、厳しくも浩々と夜道を照らす月光、星空、森をなぎ倒すほどの勢いで暴れまわる雷鳴、銀灰色に鈍く光る海面と俄かに雲間から射し入る金色の光に輝く波頭、他にも、豊かな自然の光をたっぷりと目に収めることが出来ました。

 5年前にもプロダクションをご一緒していて、彼らの稽古場環境、稽古状況などに強く興味を持った記憶がありますが、その解答が漸く乍ら見えてきた感があります。
この豊かな鼓童の創作現場、その魅力こそを十二月公演のステージに載せたいと願っています。豊かとは、宝物のような光も沢山あるということです。

 アミューズメント佐渡は、佐渡中央文化会館を正式名称とし、この春から合併して佐渡市となった佐渡全島のほぼ真中、広大なショッピングモールや中央郵便局などのある佐和田地区に位置しています。昨年もレポートした通りホールホワイエからは湾と日本海が遠望でき、また従来の公民館機能も維持していて例えば、佐渡トライアスロン大会の事務局なども入っている施設です。

 シューボックス型の空間は白く、明るく舞台を照らすことが出来ます。日々の自然光はコントラスト強く、影の目に付く視環境ですから、こうした文化施設の内装は隈なく光に溢れ、輝かしい世界を舞台に提示するのが、劇場人としての使命ですね。そう思えば、自ずからコンサートの照明計画も固まっていきます。

 今回は色光を使わず、コンバージョンという光の見た目温度を操作するフィルター類のみの組合せで全編を照らそうと思いました。滞在が劇的に陽光の衰えていく時期だったおかげで、その光の諸相の様々が太鼓の音色や、叩く仕草、移動や何かの所作に、ごく馴染み無理なく世界観を照らし出し、これまでのお付き合いから今年になって新たに発見することとなった鼓童さんの、集団としての魅力を彩るはずです。

 ちなみに、今年編集された彼らのイヤーブックは、プレイヤー個々人の魅力以上に集団としての鼓童の個性を強く打ち出したものになっています。来年が25周年、鼓童村と称される彼らの本拠・そして稽古場の開村は再来年が20周年、世界の和太鼓芸術を文字通り牽引していこうとする強い意思の力にみなぎっています。

 世界の中心は「私」に在る。文化中心ならではの、自ら以外何物をも裏切らない場所の真実を、是非コンサートで、そしてイヤーブックで、お確かめいただければと皆さんに、さりげなく宣伝させていただきます。

 舞台芸能から劇場芸術へ。岩村原太としての照明デザインの方向性も、再び新たな挑戦課題を見つけました。

(2005/12/3)


岩村原太の「万国文化中心報告」の扉へ

無断転載禁止 掲載:アーク編集室