Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》05/04/27

万国文化中心報告 vol.144

●2005年4月  <その5>

セーヌナショネール●ラ・クーシブ

 フランス西北部、大西洋に面して港町のラ・ロシェルがあります。前回1993年に訪れたときには雨ばかりで暗い寒い印象ばかりでしたが、幸いに今日は春の陽射しに満ちて暖かく、石灰岩で建てられた町も白く明るく、当地がバカンス基地の一つになっているのも頷けます。スイスとは違って町は人に溢れている様で、これはこれで楽しく気分も盛り上がっています。劇場はその港の直ぐ近くです。

 魚市場のファサードを残して裏側に、地下2階・地上3階の劇場が建てられたのは恐らく1960年代ですね、フランス各地のメゾン・ドゥ・ラ・キュルチュールとほぼ同じ客席勾配・配置、設備規模も良く見るものです。天井はフラットで、客席壁が反響板を兼ねており、合理的な作業計画と経済的な建築資材を基本とした、現在でも極めて機能的な劇場運営が可能な建物です。

 四分の一円ほどの円弧状に舞台が張り出し、それが特徴的なのですが、オーケストラピットまでが舞台として区分されているせいで、結果的にプロセニアムの間口は大変広くなっています。放射状の客席もその円弧に添って展開するので、屋内で天井は高くないはずなのに、すり鉢状の不思議な風通しと拡がりのある、それでいて舞台に集中しやすい、悪くない劇場ですね。

 恐らく景観に配慮して低層の建物に仕上げたため、舞台面が地下1階と言う事になっているんでしょうが、地上階が運営部、地上2階に技術セクションが入り、最上部3階はワンフロアがすべてヴィジターカンパニー用のエリアという訳で、決して広くは無い敷地をよく考えて活用しています。また、機材資材などの倉庫は全て舞台と同じレベルにあるのも珍しく、古びたりとは言え、現役劇場の迫力には欠きません。

 プログラムにはダンスの他、演劇やサーカス、映画、などがラインナップされセーヌナショネールならではの、ポピュラー路線プログラムぶりが地域に根付いた劇場であることを伺わせます。やり手のディレクターらしく、近々隣の建物を改装して小劇場を開設するとか。景気の良い話が羨ましいです。

 技術スタッフはベテランが殆どで、この劇場と歩みを共にして来た、何となくの誇りを匂わせつつも、次々に繰り出される新型機材やパフォーマンスの質の変化には若い者が主導的に対応している様子。健康的な世代交代が進んでいるのでは。

 照明部では見習いの女の子が、今回はコンピュータに関して研修中。女性スタッフは彼女の他は運営部ばかりなので、その辺りは海の町という感じ。

 丁度プチバカンスのフランス、日本に戻ればGWです。

(2004/4/27)


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