Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》05/09/05
●2005年9月 <その1>
神戸あちこち●神戸文化中ホール、ジーベックホール
この夏、おかげ様でのんびりと過ごしました。仕事が無いのは困りものですが、いわゆる夏休み、家族と過ごす機会としては世間並みで、悪くない気がします。その、休み終わりにかけてバレエとダンスの現場を神戸で過ごしております。
子供の為のバレエ発表会、神戸文化中ホール。2度目ですが初回の焦りや慌てもなく、そこそこつつがなく、作業を進めることが出来ました。こうした貸し館体験が殆どない照明屋人生を歩んで来ておりまして、朝一番からお昼までにフォーカスまで終わらせるというのは、様々の経験や諦め開き直りに支えられた職業的スケジュールなんだ、と考えつつ分かりつつ、完成度とは何を指すのかを想います。
日本では元々公民館として整備が始まった市民会館・市民ホールの歴史、現在でもこの会館は立派にその役目を果たしています。大ホールも合わせ、殆ど休みなく発表会や講演会などが入り、また館内表示は日本・中国・ハングル・英語と4ヶ国語、神戸市の規模の大きさと国際性をごくさりげなく感じさせられます。
前回にも増して、こうした会館の手回りの良さを味わいました。スペシャルな事への対応には時間も人手も必要なのだけれど、オーソドクスで定式的な仕込みに関しては本当にすばやく作業が進められます。多くの経験に裏打ちされての大手ゼネコンによる設計施工、その後、より多くの事例を踏まえての改修。そこに無駄はなく、素晴らしいです。会館と劇場は全く別の思想を基にした建造物なんです。
もう一つは1989年にスタートして、一時は関西のある文化的局面最前衛を突っ走っていたジーベックホール。アンサンブルゾネ・岡さんの即興の試みに、招かれました。ある時節のトレンドを巧みに取り入れた設備設計でお洒落です。
今でも決して使いにくくは無く、ただ、内装やごく僅かの装飾的部分に、現時代とはそぐわないテイストが漂う。使い込まれておらず、垢にまみれていないだけに尚のこと、その風情を強く感じたのかもしれません。アイホールやスパイラルホールとは、そこが違います。時代の記念碑というか、設備史の史料というか。
音響機器(スピーカ)の専門メーカー本社ビルに在るので、現在でも一定の評価とプログラムに対する期待が持たれ、勿論知る人ぞ知るホールですが、どちらかと言えばスタジオ的な設計なので、即興的な公演には大変相応しい作業となりました。
神戸にはまだまだ謎のホール、スタジオが眠っています。ぼくが知っているだけでも四つ以上の、記念碑代わりのスペースが多いと言うことなんですが、それはこの港を元に発達した地域性にも負うのではないでしょうか。震災後、明らかに街造りのモティベーションに変化が起こり、それ以前とは街の開かれ方が異なっているように印象しますが、それでも訪問者に親切な街ではあります。
この街、案外に劇場都市なのかもしれません。
一度横浜との比較で文化中心調査をしてみたいと思いました。
(2005/9/5)
岩村原太の「万国文化中心報告」の扉へ
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