Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》06/12/05
●2006年12月 <その1>
佐渡市佐和田●アミューズメント佐渡
鼓童12月公演3年シリーズのフィナーレ。今年は鼓童が鼓童としてスタートして25周年の、記念の一年間だったそうです。東京と京都で坂東玉三郎さん演出・出演の特別公演があり、座団として多くの収穫を得られたようにお見受けします。
こうして1年に一度、歳収めの時期に定期的に伺うという経験は、つまり自分とそのグループのこの一年間を振り返ることにもつながるわけで、今年もまた、良い体験をさせていただくことが出来ました。例年通り今日は初雪、冬将軍の到来です。
3年シリーズでは、初回・太鼓の見せ方を考えるところから始まり、2回目には太鼓と打ち手の関わりを如何に見せるか、今回は打ち手の「人」としての見せ方をさまざまに工夫すること、へと僕自身のデザイン内容・興味が変わってきています。
特に今度は、生アカリ、色を使わないことで鼓童の新たなる四半世紀への旅立ちをピュアに形作ろうと挑戦してみました。お付き合いいただいているチーフの芦辺さん・オペレータの魚森さんにも、こもごも相談しながらの現場となりました。
結果、とてもシンプルな明かりの造りになってしまったので、打ち手の移動や動き、幕のアップダウン、照明の点け消し、全てに妙な厳密さが要求される事となり、メンバーの皆さんにはデザイン成就のために(!)大層お世話になっております。
アミューズメント佐渡には映写室も兼ねた調整室があるのですが、これぐらい何も無い部屋のほうが利用しやすいと思います。会館機材で公演する際には贅沢を言えないことになりますが、大きなスペースが自由に使えるのは何よりです。田舎の会館だからこそ、仕込み稽古期間が充実する。会館職員の方達も私達の作業をほぼ放任してくださっていて、これはこれで、理想の在り様の一つだなぁと思います。
もちろん条件はあって、私達の側が、技術的に充分の修練を積んでいる必要はあります。アメリカのような全国共通の技術フォーマットがないわけですから、この場において、本来実現できるはずのことが出来ないとすれば、そのクリエイションのマネジメントが不十分ということでしかありません。経験則で出来不出来を判断するのではなく、合理的な創作技術をベースに可不可を論議する環境が必要なんです。
昨年と今年の、鼓童の座団としての格段の差は、その点にありました。玉三郎さんの指導者としての素晴らしさを、陰ながら、感服いたしました。日本では「創作の技術」が形を成していないと考えていて何とかそこを改善していかなければいけないと大学などで細々と工夫を続けていたのですけど、申し訳ありません。きちんとあるところには実践者がいるんです。気張って追いついていかねばなりません。
「創作の技術」があるところには「創作の管理(監理が字義的には正確だと思いますが)」も必要とされます。ヨーロッパの現代的な組織システムで運営されるオペラハウスのような、そのシステムが鼓童さんには芽吹き、成長を始めた感があります。あるいは(玉三郎さんの激励を受けてなのか)目に見えて座団としての魅力を発揮し始めたというか。年に一度の佐渡での仕事、今年も大いに収穫が上がりました。
(2006/12/05)
岩村原太の「万国文化中心報告」の扉へ
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