Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》06/6/5
●2006年6月 <その1>
10年ぶりですか●アトリエ劇研
もしかしたら、10数年ぶりに仕事をしました。アトリエ劇研です。演劇祭の一環でセレノグラフィカの公演にお付き合いしました。内部空間のたたずまいは静謐で、緊張感に溢れた立方形のフォルム。なんとも懐かしく自分の学生時代からの数年を思い返しました。ここでバイトをし、スタッフルームを作ろうとしたのでした。
いまでは制作室もスタッフルームも充実した活動を展開していて、またNPO法人劇研としての社会活動も始められています。アトリエ劇研の魅力は空間の自立した性格とあわせて、これらの活動を熱心に支えている多くのスタッフによるものです。
今回は貸し小屋ではなく、劇研とセレノグラフィカが主催しての作品創りでしたから、上演スタッフ(舞台監督、照明、制作、受付)4名がさまざまの協力を惜しまず、本当に助けられました。京都の演劇あるいは演劇のみならず舞台芸術を自分たちの手で造り出していくとの気概が感じられ、頼もしく、またうれしい数日を過ごしました。普段、京都で仕事をしていないので、こんなとき、思わずホロッとします。
山海塾で訪れる会場はどこも構えのしっかりした劇場で、ロビーもホワイエも楽屋も、それぞれしっかり計画された空間であることが多いわけですが、この劇研にはロビーもホワイエもありません。コンクリートで張られた前庭があるばかりです。しかし、この場所が、劇研の幾人ものスタッフが気遣って、時に居心地の良い、使い勝手の良いスペースとして利用できます。風通しの良い気分が満ちていて素敵です。
この風通しの良さは、アートスペース無門館時代にはありませんでした、と思います。何でしょう、あの当時には演劇をめぐる状況そのものが行き詰っていて、その空気を大切にせんがために、あえて風通しを良くしていなかったのかもしれませんが。風を通すって本当に大事で、風を通すことでいろんなものが生き返りますよね。
頑張ってGardenも舞台芸術研究センターも風通ししたいと思います。まあ、それはさておき。これだけの密度と質で上演をサポートできるスタッフがいる、という劇研組織の維持に、どれほどの注意と努力が払われているのか、その強靭な体力を今度ばかりは感じました。やはり小屋はそこで働いてみないと実際のことは見えてこないものです。観客としては何度もお邪魔していたのですが、迂闊でした。
観客の対応を、全てのスタッフが率先して引き受けようとしていること。創作の状況に応じていろいろの条件を順次変更し、出演者に余計なプレッシャーを預けないようにしていること。演劇やダンスなどたくさんの情報をこまめに収集して、またそれをきちんと循環させようとしていること。そしてまた多くの人が出入りしやすい、親しみやすい空気を絶やさないようにしていること。
そんなことを考えながら、ほぼ15年ぶりくらいに中二階の床に寝そべって、舞台を見下ろしていたことでした。
(2006/6/5)
岩村原太の「万国文化中心報告」の扉へ
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