Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》06/9/8
●2006年9月 <その1>
二人の祖母から●飯田文化会館ホール
アパートメントハウス1776、最終公演地は白井剛さんのホームタウン、長野県飯田市です。夏の名残はまだ感じられますが、それでも四方を山に囲まれた高原地域ですから、けだるい夏休み明けの空気がこの作品には似合うようで、短くも長かったこのツアーを懐かしく思い返します。乗り仕込み、リハ公演バラシ、の繰り返しで10日間、山海塾慣れした自分には、しばらく振りにハードなツアーでした。
会館は古く、小規模の職員体制でありながら、たっぷりしたプログラムをこなしています。貸し館も元より、クラシックのコンサートが充実していて、同じ信州松本との関係などもお聞きしましたが、こちら南信州は名古屋文化圏(セントレア空港からバスで4時間です)とのこと、独自の方針をお持ちです。
同じ敷地に隣接した人形劇場が気になりました。そういえば、飯田には人形劇フェスがありますね。
反響板を降ろした舞台は、これまでの5会場のうちではもっとも深く広く、仕込にも微調整が多発しましたが要領よく作業を終えました。その間、出演者は白井さんのご実家にてティーセレモニィ。お二人のおばあさまがおもてなし。もちろん私たちの仕事する劇場のロビーにもすでにお花が飾ってあります。忙しい中にも、アットホームな空気が漂うのは、白井さんの妹さんが企画の劇場側担当者だからでしょうか。
場内は、これもまた懐かしい見上げの客席観、白く塗り上げられた場内は明るく、清潔な感じが維持されていて良かったです。技術の方は常駐1名、その人形劇場と近くの公民館からそれぞれ1名の応援が入って、都合3名で、私たちの作品をお手伝いいただきました。なんとなく、フランスの山岳地帯を思い出す、ふわんっとした現場の手ごたえに、たまらずのんびりさせられて、駆け抜けてきた数会場を忘れます。
上演成果が一定しないことがこのプロダクションの魅力だったとは思いますが、その要因のひとつには、私たちスタッフグループそのものの結束が弱体(当然この座組みが初めての顔合わせの3名ですし)で、様々の現場の雰囲気に呑まれまくる状態だったこともあるんだ、と思います。私自身は即興的な仕事が好きなので、こんな機会は逃さずに羽を伸ばしておりますが、メンバーの皆さんにはご迷惑でした。
なにぶん、照明の条件が自由ではなかったので、端から優しくて易しいプランにしたものの、それがゆえに妙に厳密な明かり作りが必要になってしまったりで、これもまた、久しぶりに照明家ライフを堪能いたしました。小編成の明るいオペラなんかの現場があれば、是非参加して、音楽と照明の関わりを学んでみたいと思います。細かくこだわるのではなく、シンプルに凝ったことを目指したいですね。
しかし一歩、山海塾を離れるだけでこれほどまでに出会う人も会場も違うというのには感激しました。人間として一つ仕事を大切にするのは大事なことですが、人類としては多くの仕事を経験していかないと、大変な勘違いや見失いがありそうで、如何に日々、多くの種類の体験を求め続けるか、は、技術者にとっても表現家にとっても「生き死に」に関わる、職業能力の有る無しの評価に関わる、大問題ですよ。
(2006/9/8)
岩村原太の「万国文化中心報告」の扉へ
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